第2話 彼女の父親は古流武術家

文字数 1,271文字

ワタシこと、田中幸夫(34)はT大を出てから霞が関の外務省に勤務する官僚。そう、世間はワタシのことをエリート官僚と呼ぶ。

ワタシには、将来を約束した女性がいる。

木村淑乃(29)だ。彼女もまた外務省に勤務する仕事の同僚だ。

○東京霞が関、外務省庁舎の庁内 17:00

東アジア韓国班

リンゴーン♪

ほーたーるのひーかーり

皆さん、新型コロナウィルスには気をつけて、

また明日も元気に頑張りましょう。

リンゴーン♪

(田中幸夫 班長)はー、今日もやっと一日が終わったスミダ。

疲れたスミダ。

アンニョンハセヨ〜班長。また、明日。
続々と帰路に着く班員たち。
オフィスに取り残される田中と木村。
(木村淑乃)今晩、うちの実家に来てお父さんに挨拶してくれるんでしょう。
あー、その約束だったね...

ところで、キミの実家ってどこだったっけ?

墨田区よ。隅田川の近くなの。

案内するから、一緒に帰りましょうよ。

そうだね、お願いするスミダ。
○東京墨田区、淑乃の実家 19:00


お父さん、この方が田中幸夫さん。

わたしの職場の上司で、もう五年間も交際させていただいてるの。

初めてお目にかかります。

田中幸夫と申します。

(なんか、ごっついお父さんだな)

(木村惣右衛門)Oh!あなたの事は、淑乃から常々聞き及んでおります。

で、今日は何の御用で?

周囲に覇気を発する惣右衛門。
ホラ、男らしくはっきり言って。
よ、よ、よよよ、淑乃さんをきっと幸せにしますので、淑乃さんをお嫁さんにく、く、下さい。
惣右衛門の無言の圧力に噛みまくる田中。
ワシは、江戸前野駆け流古武術の第十七代宗家っ、言霊に違背したとあらば、速攻で首を取りに行くが、それでもよいかっ?
抜き身の日本刀をチラつかせる惣右衛門。
はっはは、はーい。


真剣の妖しい光にビビりまくる田中。
スチャっ!
突如、本身を鞘に納める惣右衛門。
よい覚悟じゃ、それでは試させてもらう。

失礼っ! ウオリーゃさっ!

ドスっ!
田中の水月に中断突きを入れる惣右衛門。
ぐへっ!
思わず昏倒する田中。
何をするのお父さん、田中さんに乱暴はやめて!
このぐらいの中断突きで昏倒するとは..いざ鎌倉の時、物の役には立たんわっ!このヘタレがっ。
ワタシが求めているはね、そんなビーストみたいな男性じゃなくて、インテリの男性なの。

彼はね、T大を出てるのよ。

ふらふらになりながらもなんとか立ち上がる田中。
ふーっ、凄いお父さんだスミダ。

(お腹が痛いスミダ)

えっ、あの昌平坂学問所をかっ?

これは失敬なことをした...

たれか、おらぬか、たれかー。

淑乃の弟、辰雄(19)が登場。
父上っ、お呼びになりましたか?

あれっ、この方は?

淑乃に結婚を申し込みにきた田中さんだ。
姉上に結婚の申し込みに...
きえーっ!
バシっ!
辰雄のドラゴン下段蹴りが、田中の脚に炸裂。

思わず転倒する田中。

ぎゃー

(脚がもげるー)

Oh!田中殿、しっかりせい。 

傷は浅いぞー。

たれか、ドクダミをもてーい。

ドタバタ
(淑乃の母)賊でございますか?

いざ、勝負、勝負。

(淑乃)お母さん、危ないから薙刀は持って来ないで!
俺は、賊なの?
木村家の空騒ぎは、延々と続く。
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