一文小説集「失恋」等五篇

文字数 232文字

【失恋】

 月が久しぶりに失恋したというので、今夜は町じゅうの人々が電気を消してカーテンを開けている。



【運動会】

 死んだ子どもたちの運動会が終わり、火葬場の煙突から、今年は赤色の煙が出てきた。



【仕掛け時計】

 新しい仕掛け時計を作るので、十二本の首吊り縄を持って街へ出かける。



【空気清浄機】

 古本屋に置かれている空気清浄機のフィルターに詩がびっしり張り付いている。



【つるつる】

 彼らの脳味噌はつるつるなので、クレーンゲームのアームがなかなか引っかからなくてもどかしい。
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