一文小説集「煙」等五篇

文字数 229文字

【煙】

 体内に火葬場が出来た父が、鼻や口から出てくる煙をごまかすため、煙草を再び吸い始めた。



【動物園】

 その動物園には、拷問用の鏡があるそうだ。



【背中】

 お父さんと銭湯に行って、お父さんの背中を流している時、その背中のファスナーを見て、いつか来る自分の成人の日に思いをはせた。



【決】

「この子まだ決まってない」と言って娘が抱き上げた野良猫の影がキリンの形をしている。



【祭囃子】

 実験室の隅のシャーレの中の町から祭囃子が聞こえてきて、僕らは思わず顔を見合わせた。
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