第2-3話 つるの恩返し(3)

文字数 590文字

○数日後、圭太の自宅



(区の民生委員)福井県警に問い合わせた所、橋本ツルという少女の捜索願いは、出されておりません。
そうですが…(やはり、DVかな)
ここはひとまず、区の児童養護施設に預けることが順当かと。
いやっ、施設はいやっ。

ずっとお兄ちゃんと一緒に居る。

…ワタシの養女として、引き取らせていただけませんか。
男気を見せる圭太。
可能ですが、失礼ですが経済的な裏付けはあるんでしょうか?
いざとなったら、道路工事でも何でもやってみせますよ。

何しろ、北陸の百姓の出なんでね。

大丈夫かしら。
アタイ、お金ならあるしさ。

それに、働くし。

アッハハ、

ツルは中学を出るまでダメだ。

仕方ない、民生委員の保護観察付きという条件ならば。
こうして後日、橋本ツルは山田ツルとして、圭太の養女となって一つ屋根の下で生活することになった。
(天国のおばあちゃんの導きだな)
数日後、圭太が家にかえると豪華な品揃えの夕食が。
えっ?

これは、ツルが?

そうっ、アタイが全部作ったんだ。
でも、生活費はまだ一円も渡してないぞ。

(家賃を払うと、いっぱいいっぱいだけど)

お金なら、あるよ。

それに、アタイ夜内職するから。

(内職ならいいか)

あまり、こん詰めるなよ。身体こわすぞ。

だけど、決してのぞいたらダメだよ。

見たら、だめ。

う、うん。

(ますます、お婆ちゃんの話に似て来たぞ)

コンコン!

トントン!

夜になると、別室にて内職に励むツルであった。
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