第14話

文字数 600文字

「あ、ああー!!」

「んぁ……どうした、ユキト」

実家の自分の部屋でごろごろしていた僕とハピラビ。

突然の大声に、ハピラビがびくっと反応する。



「いろいろあってすっかり忘れていたけど、

ユキナへの誕生日プレゼントがない……」

「はははっ、そっかそっか。それねぇ」





そう、ユキナへの誕生日プレゼントは

今まさに目の前でしゃべっている、うさぎのぬいぐるみ。


まさかヒカリごとユキナにプレゼントするわけにはいかない。


(う、うーん。しょうがない。

なんか一緒に書店でも行って、

好きな本でも買ってやるかぁ……)






次の日、僕はユキナと一緒に書店へと向かった。

ちなみにハピラビは、カバンの外ポケットの中だ。


「ってわけで、誕生日プレゼントとして

なんでも好きな本買ってやるからな」


「わーい、やったー。

じゃあなにか探してくるね」


ユキナは嬉しそうに店内を見回りだした。





僕もせっかくだから何かみようかと

店内をうろつきはじめた。


「あ、この絵本……懐かしいな」


昔持っていた本と同じ本がそこにあった。

思わず手にとり、中身を開く。




「お兄ちゃん、なにみてるの?」

明るい声でユキナが話かけてきた。


「んーなんか決まったか?」


「ん、まだ見てるとこだけど、

なんかお兄ちゃんがいたから声かけちゃった」

「あ、そう」

「あーそれ、懐かしいね。

お兄ちゃんが、昔私に読んでくれた本!」

「……そうだったな」

「お兄ちゃんが、楽しそうに本を読むの聞くの、好きだったよ~」

「……へぇ」
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登場人物紹介

来海ユキト


声優のたまご。23歳

上条ヒカリ


ユキトの憧れの声優。

ハピラビ


ハッピーラビット。幸せを呼ぶうさぎ。


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