第5話(2)食

文字数 1,077文字

                  ⚽

「お待たせしました!」

「おおっ!」

 テーブルの上にデカい丼にさらに山盛りになったラーメンがドンと置かれる。

「こ、これは……実際に見るとすごいわね……」

「ほ、本当に食べていいんだべか⁉」

 クーオがななみに尋ねる。ななみは笑って頷く。

「ええ、好きなだけ食べちゃっていいわよ」

「おおっ! 本当だべか⁉」

「本当に本当よ」

「よし!」

「きちんと挨拶をしてね」

「あ、い、いただきます……」

「良く出来ました。どうぞ」

「うおおっ!」

 クーオがラーメンに貪りつく。

「どんどん食べなさい……」

「ごちそうさん!」

「は、早いわね⁉」

 ななみが驚く。

「いや~美味かったべ……」

「て、店員さん!」

「は、はい!」

「次、お願いします!」

「た、ただいまお持ちします!」

「次?」

 クーオが首を傾げる。

「も、もうちょっと待っててね、クーオちゃん」

「はあ……」

「お、お待たせしました!」

「うおっ⁉」

「カレーライスになります!」

 どデカい皿にこれでもかと盛られたカレーライスがテーブルの上に置かれる。

「こ、これは……?」

 クーオがななみを見る。ななみは笑みを浮かべる。

「これもクーオちゃんの分よ」

「ええっ⁉ これも⁉」

「ええ、そうよ」

「食べて良いんだべか?」

「もちろん」

「おおっ! いただきます!」

「ふふっ……」

「ごちそうさんだべ!」

「早っ!」

 ななみが再び驚く。

「いや~これも美味かったべ……」

「て、て、店員さん!」

「は、は、はい!」

「ありったけの持ってきてください!」

「か、かしこまりました!」

「うん?」

 店員がテーブルを複数並べ、その上に馬鹿デカい皿をどんどん置く。

「スパゲッティ、チャーハン、うどん、オムライス、ハンバーガーでございます!」

「こ、こんなに⁉」

「ええ! もうどんどん食べていいわよ!」

「い、いただきます!」

「ふ、ふふっ……」

「……なにをしているので?」

 ななみに対しレムが問う。

「撮影して、SNSに上げるの。ここは大食いメニューが多くて有名な店だからね。この店のメニューを片っ端から平らげたとなれば、クラブにとって話題になるわ」

「ふむ、広報活動というのも大変ですな……」

「そういえばレムちゃん、大食いはイケる口?」

「え? 口はありますが、そもそも食欲というものと無縁に近く……」

「食べられない?」

「いえ、やろうと思えば、いくらでも入るかと思いますが……」

「本当?」

「お、恐らくは……」

「よっし! レムちゃんも大食いチャレンジ行ってみようか!」

「は、はあ……」

「も、もうこれ以上は勘弁してください!」

 ななみに向かって店の店長が頭を下げる。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み