第9話 アールグレイとミリン、ナツメグとセイロン

文字数 805文字

ずっと、言おうかどうしようか迷っていたんだけど、
…………
ミリン、俺とは結婚を前提につき合ってくれないか?
え?
重い? じゃ、婚約を前提に? いや違う、婚約して欲しい。婚約してください。


婚約なら、ミリンが嫌になったら破棄できるから、いやダメだけど、なにを言っているんだ俺は。

…………
びっくりさせたかな? こんな話でさ。
……よかったぁ……
安堵して胸をなで下ろすミリン。
ど、どうした?
別れてくれって言われるかと思った。
まさか。
だって最近、えーと……先輩、リコリスのことばかり誉めるし、だから、やっぱり女の子の方が、いいのかなって、
ごめんミリン! 少し妬いて欲しかったんだ、本当にごめん。
先輩……俺が先輩のこと大好きだって知っているくせに。
婚約しよう、今夜みんなに発表する。もうミリンは俺のものだって。
先輩、みんなの前では恥ずかしいからあんまりベタベタしないでください……
いや、今日は無理。ミリンもこれからはもっと俺にワガママとか言ってよ。
公民館裏手、建物の影にナツメグとセイロンの2人。


いつものベンチで干し柿を作ろうと準備してきたけど、アールグレイとミリンがイチャイチャしていて出られなくなってしまった。

(小声で)婚約おめでとうだね。
アールグレイが29歳、ミリンが17歳、12歳差か。
干支の分、ひとまわり違う。
バジルとチャイの場合、24歳差。ダブルスコアだ。
じゃあ俺とナツメグの場合、7歳差だから、2組と比べたら全然違和感無いね。同世代みたいなもの?

ちょっと無理あるか(笑)

フフッ、セイロンさんってチャイやアールグレイより年上に見えますよね。
どうせ俺は老けているよ~
私は落ち着いた大人の人が好みですから。

そうは言っても、セイロンさん、割と天然ですよ!(笑)

ナツメグだってけっこうマイペース……(笑)
見つめ合ったあと、2人の間に少し沈黙が流れた。
俺もずっと考えていた。


ナツメグ、婚約してください。ナツメグを支えたいんだ。

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