7 初夜

文字数 760文字

 シェアハウスにて、フェリーと、初めての夜。
 少し緊張。

 というのはウソですが。

 だって、フェリーは100%癒し系のソンザイだし。

 問題は、ベッドの小ささっすね。
 つまりここは客室ではなく、いわゆる『メイド部屋』。
 壁際(かべぎわ)の木製ベットは(はば)(せま)くて、今はいいけど、冬になったら、ふとんとか、猫とか、眠っているうちに横から落としてしまいそう。
 落としたらごめん、先に言っておく。

 爆音ドラムさえなければ、静か……ということは、なかった。
 夜な夜な、2階から金管(きんかん)の音が響いてくる。
 まあ、聞こえるけど、わりと(なご)やかな音色ではある。
 トロンボーンと、ホルンかな?
 正直、すっごくうまいというわけではない、と私は感じた。
 しかし、金管のことはわからないし、案外合奏になれば、立派なプロの演奏になるのかも。

 私も、元気があれば、対抗(たいこう)したかったけど、今日はつかれた。
 このベッドのシーツや、部屋のカーテンだって、自分で買いに行ってきたのだ。
 食事のルールとか、シャワーのルールとか、リリーは丁寧に説明してくけたけど、新しいことって、それだけで心が疲れる。
 
 私は、体力・精神力はありません。
 攻撃スキルも防御スキルもないです。
 みなさま、ご承知おきを。

 新天地(しんてんち)は、なんか緊張が続いて疲れる気がする、が、しかし日本にいたときのような”窮屈(きゅうくつ)さ”は明らかにない。
 歳上でも年下でも、英語は、ユーで済む。
 社長さんも、メイドさんも、みんなユー。

 キリスト教があったから、神のもとでみんな等しい、という発想になってきたのだろうか。
 私がキリスト教を信じずに、平等ってところだけ、おそそわけいただくのは、ずるいことかな?

 ま、そのくらいゆるせ、キリスト様。
 あなたのことは、きらいじゃないわ。

 フェリー、君もそう思うじゃろ?

 って、もうねてるのか。
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