第４話　川辺優希

「新しい家だね優希、これから楽しい事がたくさんあるよ。」タコが久しぶりに話しかけてきた。優希は驚き思わず声を上げてしまった。妹の紗耶がキョトンとした顔で姉を見た。部屋に入ると大きなベランダの窓から光が射していた。梅雨入りをしていたが、今日は快晴だった。新しい門出を祝ってくれている様な気がした。

それを見て「お姉ちゃんカーテン買った？」と紗耶が聞いた。買っていなかった。電子レンジや炊飯器など備え付けていない家電や机などの家具は買ったが盲点だった。昔から少し抜けている所があった。彼の家に行く時も2回に1度は口紅や携帯や財布など忘れて帰っていた。そう言えば最後彼の家に行った時に何か忘れていたような気がしたが思い出せなかった。

考え込んでいると「買いに行こ！今日からもうこっちに住むんでしょ？」紗耶が言った。優希の運転する車に乗りホームセンターへ向かった。

そう言えば何か彼は言っていた様な…喧嘩になり優希は頭に血が昇っていてその時の状況をイマイチ覚えていなかった。明確に思い出せるのは次の日にメールで別れを告げられた事だけだった。