第3話 川辺優希

文字数 388文字

毎週休日の度に仲介業者を訪れ内見をし、トントン拍子に部屋が決まり来週入居だ。彼と一緒に住みたかった。気付けば振られて1ヶ月が経とうとしていた。やはり彼から連絡は来ない。

クローゼットを開けるとピンク色の花柄ワンピースが掛けてあった。彼と出会うまでピンク色の服なんて着たことがなかった。自分には似合わないと思っていた。勇気を出しデートに着て行くと彼がかわいいと褒めてくれた。嬉しかった、でも時間は戻らない。もう彼と会うことすら出来ない。

涙が溢れそうになったが机の方を振り返るとタコがいた。大丈夫だよ、優希と言ってくれている気がした。最近以前ほどタコが話しかけてくれなくなった。

「これから一人の時間が増えるのにな…」そう呟きながら荷物をまとめた。

親しい友達が一人もいないのに、心配する母を押し切ってまで本当に一人で生活出来るのだろうか。これで良かったのだろうか。不安が募るばかりだ。
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登場人物紹介

川辺優希

主人公 29歳の女性。実家で暮らしている。

タコ

妹に貰った大阪土産のぬいぐるみ。

3年間付き合ったが振られた。

その後音信不通。

優希の母

川辺紗耶

優希の妹 家族思い。

優希の父

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