シンについて

文字数 3,621文字

(A)概略
(B)略歴
(C)ふわもふちゃんについて


(A)概略
本名は桜坂慎太郎(さくらざか しんたろう)。23歳。2月22日生まれ。身長188センチ。医療機器メーカーとして世界的に有名な桜坂コーポレーションの御曹司(一人息子)。今は訳あって絶縁状態で、一人暮らしをしている。好きな言葉は唯一無二、愛。好きな色は無彩色。好きな季節は春。趣味は読書、プラネタリウム観賞、自然の中でのんびりすること。一人称は私(わたし)。

生まれながらの特異体質により、声質を自由に操ることができる。柔らかく可愛らしい女性の声や、低くて落ち着いた男性の声などを発声可能。幼い子どもの声は出せない。日常生活で活かされることはほぼ皆無で、アーティスト活動中のみ解放される能力である。普段の地声は男性のもの。

アーティスト活動の幅を広げるために、ヨガ、ピアノ、俳句教室に通っている。


(B)略歴
厳格で現実主義な両親に育てられた。両親の呼び方は「お父様、お母様」、です・ますをつけての会話が基本だった。実家にいた頃の私服は糊のきいたシャツ(冬はジャケットもプラス)、パンツ、革靴の組み合わせで、制服のような雰囲気を漂わせる。その色は白、黒、紺のいずれかで色味がなく、身の回りも、家の中も同様にモノトーンで統一されていた。唯一華やかだったのは、生け花教室から持ち帰ったお花のみ。

二人とも教育熱心のため慎太郎は幼稚園からお受験をし、小・中・高校全てにおいて偏差値とブランド力が抜群に高い学校へ通学、大学も一流大学の法学部に所属していた。これは親の強い勧めもあったが、何より慎太郎自身の努力の賜物。

人生の流れが変わったのは大学入学直後のこと。そこにはとある教授との出会いがあった。大学1年の4月、「西洋哲学入門A」の初回講義にて。担当教授は年齢および性別不詳の風貌で登場し、涼しげな顔で講義の全体概要を淡々と説明していく。そして一言だけ、メッセージを添えた。

「諸君らには、哲学の何たるかを教えよう。それは人生の指針となり、心豊かに生きるヒントになり得る。だが、自身の生きる意味となり原動力たり得る夢は、たとえどんなに彷徨っても、己の手で掴みたまえ」

その言葉に、目が覚めた気分になる慎太郎。そして自らに解放宣言を出す。

「与えられた存在理由はもう不要です。何者でもなかった過去を乗り越え、いまこそ私自身で夢を見出し、私を生きるのです」


物心ついた時から「あれをしてはダメ、これをしてはダメ。こちらの言うことだけを正しくやりなさい」と制限ばかりかけていた両親。よって慎太郎には必然的に諦めぐせがつき、いつしか希望や期待、自分の意思や意見を持つことを避け、同時にやめていた。本人としてはそれらを諦めていた自覚はなく「そういうものなのだ」と受け止めていたに過ぎない。だが教授の言葉により自分で考えることの重要さに気づくことができ、生きる意味、自分の望む在り方、そして夢を探し始める。

そしてすぐ両親にバイトの許可をとることに。社会科見学という名目で、その実、一人暮らしのための資金調達を始めたのだった。大変ではあったが見事に勉強と両立させ、その年の秋口には実家を脱出する。それと同時に、勉学(学校)以外の世界を見聞きするために大学を休学することに決めた。どちらの行動も両親に相談せずに進めたためか、以来両親とは連絡がつかない。

大学休学後はバイトをしながら過ごす日々を送る。資金を貯めては見知らぬ土地へ旅行したり、映画館へ行ったり(それまでは行ったことがなかった)、美術館を訪ねるなど、自身の好奇心に素直に行動していく慎太郎。もちろんバイト先でも学ぶことはたくさんあった。バイト仲間は十人十色のバックグラウンドを持ち、様々な人生経験をしてきている。これまで出会ったことのない個性溢れる方ばかりで、コミュニケーションから多くを感じ、思い、考え、学んだ。そんな時間が好きだったし、そこから人の繋がりも広がって、ますます世界も広がっていった。


そして、初めて一人で過ごすお正月をこえてあっという間に翌年2月。友達に誘われ、初めて野外フェスに行くことになった。その名も「Melty Snow(メルティ スノウ)」。聞けばとても有名な音楽フェスで、深雪をも溶かすごとくホットなアーティストばかりが集うらしい。音楽といえばクラシックしか知らぬ慎太郎にとって、そこはあまりに衝撃的なメロディのオンパレードだった。エレクトリックギターの躍動感、電子音の機械的で軽快な旋律、E D Mとかいうノリ重視の楽曲。人生で初めて、音楽を聞いて心が躍った瞬間だった。

「私もこんなふうに、人々を感動させたい」

気づけば、新たな夢が見つかっていた。


フェスで様々なジャンルの楽曲に触れた慎太郎は、自身はどの路線でいくべきか真剣に検討し悩むことになる。考え抜いた先でたどり着いたのは「好きなように、自分らしくやればよい」だった。結果、自身の声質を最大限に活かしつつ、ポップで可愛いを追求した「アルティメットハニー」、雄々しくかっこいいを探求した「インソムニアダーク」を掛け合わせた「表裏一体」という唯一無二のジャンルを確立させることとなる。19歳の誕生日より、アーティスト活動を本格的に開始する。

ステージ上ではサイド変更時の早着替えや、ステージ装飾の瞬時変更、ライティングやスモークをふんだんに活用して盛り上げるなど、視覚的演出に凝っており来場者を飽きさせない。また、最初は見た目の奇抜さから興味本位で惹かれた人も、シンの抜群の歌唱力やしっかりメッセージ性のある歌詞など、独特の世界観に魅了されて本格的なファンになることが多い。たまにノリだけの楽曲もあるが、そんな例外もファンウケする要素のひとつ。

確かな実力で知名度と人気度が次第に上昇。23歳、アーティスト活動4年目にして初めて、「Melty Snow」への参加を確定させている。もちろん、アーティストとしての参加だ。

ちなみに、あの大学教授とはいまだに連絡を取り合っていて、教授はシンの正体を知る唯一の存在。そんな彼の勧めもあり、そして慎太郎自身の希望もあって、大学卒業資格取得のため、元いた大学の通信課程へ編入手続き中である。


【慎太郎、頻出単語】
(基本)育った環境により、どんなに親しい間柄でも「ですます調」で会話する。

ありがとうございます、嬉しいです、恐れ入ります、申し訳ないのですが、もしよろしければ、つかぬことお伺いしますが、おかげさまです、失礼します、お時間よろしいですか、ご安心ください、はい必ず、もちろんです、どうぞ○○、ご機嫌よう。


【シンの印象】
観客の前ではテンションをトップギアに入れているので、盛り上げ上手で颯爽としたアーティストだが、ステージ前後、特に後はギアが「桜坂慎太郎」に戻りがちで上品で落ち着いた雰囲気を放つ。本人曰く、アーティスト活動中はライブ後でも人前であれば「アルティメットハニー」および「インソムニアダーク」の雰囲気およびキャラクターを維持したいらしいが、なかなか難しい様子。

素は言葉遣いが丁寧で物腰柔らか、人当たりが良い。「お前ら」のように上からものを行ったり「みんなぁ、またねぇ〜」のように語尾を伸ばすことはない。分け隔てなく優しく接するので、行く先々でスタッフさんの心を鷲掴みにしている。

(一緒にお仕事をしたことがあるスタッフさんに共通するシンのイメージ)
品行方正、上品、優雅、落ち着き払っている、動じない、揺るがない、安定、安心感、気配り上手、かっこいい、素敵な大人。


(C)ふわもふちゃんについて
慎太郎による命名。「ちゃん」を付けたが性別はない。ペットというより家族的な存在。基本的に名前で呼び、お前やこいつとは言わない。

ふわもふちゃんは直径50センチ程度の丸っこい羊雲。感情によってフォルムが伸び縮みする。ふわふわと浮いている。触り心地は低反発マシュマロ。アルティメットハニーのパートでタンバリン、またはダンスによる応援担当。雲なのでタンバリンやペンライト以上に重いものは持てない。体の中に飴やひと口チョコを隠し持っており、慎太郎が疲れた時や彼を褒めたい時などに取り出す。

人の言葉はわかるが話せない。話せる言葉は「もふ」のみ。慎太郎はその表情から感情を読み取っている。感情が顔に出やすくわかりやすい生き物ではあるが、慎太郎はもともと相手の感情を読んだり察するのが得意である。2人の出会いは慎太郎が一人暮らしを始めて間もないころ、バイト帰りに空から降ってきて、あまりの可愛さにそのまま連れ帰った。食事は不要で、新鮮な空気を吸っていれば元気。慎太郎のことが大好き。

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