第1話

文字数 14,709文字


SHAM
色即是空


     登場人物



        黄生

        咲明

        耶納華

        八央

        宥海

        結羽実

        炎涼

        陸

        大地

        波幸



























 ほんとうに正しいことのために戦ったのなら、負けても恥じることはない。

      キャサリン・アン・ポーター





































 第一我【色即是空】



























 くだらない、この世界は。

 大嫌いだ、人間なんか。







 「咲明!急げ!」

 「黄生、そっち逆だから。戻っちゃうからな」

 2人の男が、走っていた。

 黄生と呼ばれた男は、緑の髪に茶色の目、そしてあまり目立たないが、両耳には白のピアスをつけている。

 上下黒のコートのような服を着ており、上は中にさらしを巻いており、下はその中にズボンをはいている。

 腰には紫の布を巻いており、短い黒のブーツを履いている男、それが黄生だ。

 黄生が元来た道を戻ろうとしていたのを止めたのが、咲明と言う男だ。

 青の髪に金の目、そして耳には橙色のピアスをつけている。

 口元を覆い隠すようにして赤いマフラーを巻いているにも関わらず、上はさらしを巻いただけで、二の腕も出た状態でそれ以外は赤い布で覆われている。

 下はダボダボのとび職のような紫のズボンをはいており、茶色のブーツをはいている。

 こんな2人がなぜ走っているのかというと、簡単に言ってしまえば、黄生と咲明は賞金稼ぎをしているのだ。

 そして、狙った賞金首から反撃を受けている最中なのだ。

 「黄生!だからこっちだっつーの!ったく、いい加減その方向音痴どうにかならねえのか?」

 「それは違うぞ咲明。俺は気の向くままに走ってるだけだからな。方向がどうこうなんて考えて走ってないからな」

 「来た道かくらいは分かるだろうが」

 黄生と咲明の周りには、数人の男たちが取り囲んだ。

 逃げ場がなくなってしまった2人だが、こんなときにも話題は黄生の迷子になる理由についてだ。

 「だから、目印を自分で見つけてよ、どっちから来たとか何処にいくとか、そういうのを考えろってんだよ」

 「それが出来たら苦労しない。それに、そんなこと考えてる暇があるなら、俺は少しでも進みたい」

 「いやだから。進むのは構わねえけど、それが来た道だと意味ねえだろ?結局零に戻るだろ?そもそも、敵の“こちらへどうぞ”の看板を信じて走るお前はなんだ」

 「俺の素直さがこんなところでバレるなんて思わなかった」

 「そういう話はしてねぇんだよ」

 言い争いをしている2人に、男たちは襲いかかった。

 「「今取り込み中」」

 声が揃ったかと思うと、男たちはあっという間に倒れてしまった。

 「黄生、お前喧嘩したくて、わざとこんな状況作ってんじゃねえだろうな」

 「馬鹿言うな。俺だってもう若くはねえんだ。んな余裕あるかって」

 そう言いながらも、黄生も咲明も、次々に男たちを蹴り飛ばしていく。

 それもそのはず。

 2人は、武術に長けているのだから。

 黄生は剣術も得意なのだが、常に剣を持ち歩くのは不便だからと、特に理由がない限りは素手でのタイマンを望む。

 男たちを倒したあと、残された書金首の男は逃げようとしたのだが、咲明が身軽に宙を舞って男の前に着地する。

 「逃げられると思ってる?俺達、何のためにここに来たと思ってんだ?」

 「大人しくしてくれると助かる」

 「くっ、くそ!!!!」

 男は懐に手を入れたかと思うと、そこから飛び道具でもある銃を取り出した。

 そしてそれを咲明に向けて引き金を引こうとしたのだが、黄生に後ろから側等部を蹴られてしまい、意識を失ってしまった。

 「御苦労さまでした」

 機械的にそう言った男から賞金を貰うと、2人は互いの顔を見て口角をあげた。

 これでまたしばらくは食べるのにも寝るのにも困らないだろうと。

 「黄生、お前何喰いたい?」

 「んー、トマト」

 「トマトって。いや、栄養的には大事だけどよ、もっとこう、肉とか肉とかあるだろ」

 「トマトにチーズのせて生ハムのせてトマトで挟んで食べたい」

 「わかったわかった」

 なぜそんなにトマトが好きなのかは知らないが、とにかく、先程貰った賞金で、トマトなんて好きなだけ食べられるだろう。

 2人は店を探して歩き、手頃な店を見つけると店内に入った。

 そこで肉とトマト料理を頼み、満足行くまでお腹を満たした。

 「黄生、これからどうする?」

 「んー、とりあえず宿見つける」

 お腹いっぱいになったところで、2人は宿を探した。

 少し高い宿ではあったが、外装も内装もプライバシーもしっかりしていそうなところを見つけた。

 ゆっくりと風呂にも浸かり、フカフカのベッドにも寝て、疲れも取れたような気がする。

 翌日目を覚ますと、朝食の準備をしに来た宿の使い人が、新聞をどうぞと言って一部置いて行った。

 寝惚けたままの黄生が新聞を開くと、そこから数枚のビラが落ちた。

 「ん?」

 それを咲明が拾って脇の方に置こうとしたのだが、その手が止まった。

 食い入るように見ている咲明に、黄生は何があったのかと聞いてみると、一枚のビラ、というよりも手配書を見せてきた。

 「なんだこれ?耶納華・・・?」

 「すげぇ賞金額だぞ。そんな重罪人には見えねえけどな。これだけあれば、充分喰っていけるってもんだ」

 「へー」

 暇つぶしくらいにはなるかと、2人はその耶納華という手配書に書かれている男を探すことにした。

 服装までは分からないが、そこに書かれている男は、銀色の髪に赤い帽子のようなものを被っており、目は黄土で赤いピアスをつけていた。

 そこに写っている耶納華という男は笑っており、とても極悪人には見えない。

 それなのに、賞金の額はとんでもない。

 まあ、人を見た目で判断してはいけないというのは、こういうところもあるのだろうと、宿を出た黄生と咲明は適当に歩いて探してみることにした。

 「あてもなく探すなんて、まあ、俺ららしいっちゃらしいな」

 「こんな目立つもの被ってたら、すぐに見つかりそうなもんだけどな」

 あてもなく彷徨い始めて僅か15分。

 「ん?」

 民家から出るゴミが置いてある収集所にて、なにやら物音がした。

 猫だろうか、それとも自分たちのような定まった生活をしていない人間だろうかと、ちらっとそっちの方を見てみる。

 するとそこには、捨ててある食べ物を口にしている人の姿があった。

 「・・・・・・」

 それを終始無言で見ていた黄生に気付き、咲明は声をかける。

 「おい、そんなじーっと見ない方が」

 「あれ」

 「どれ?」

 「あれ」

 黄生が指差した先にいる、ゴミを漁っているその姿は、どこかで見たことがあるような、いや、確実に見た。

 銀色の髪に赤い帽子を被った1人の男。

 男がこちらに気付き目が合うが、互いに動きを止めてしまった。

 それからすぐ、男は2人から逃げよと走りだした。

 「黄生!追うぞ!」

 「わかってる」

 男、耶納華は青のジャケットを羽織り、中にはさらしを巻き、下は白のズボンで茶色のブーツをはいていた。

 何か口に入れいているのか、頬を大きく膨らませたまま、こちらの様子を窺いながら走り続けている。

 「にがすか!!!」

 「俺もうダメ」

 「おいいいいいいい!!!黄生、面倒になっただけだろ!!」

 急に走るのを止めて休んでしまった黄生の代わりに、咲明は全力疾走で耶納華を追いかける。

 そして鬼ごっこが長時間続いた後、咲明は見事に耶納華を捕まえて来た。

 「お疲れー」

 「お疲れーじゃねえよ・・・!!はあっ、もう、心臓が止まりそうだ・・・!!」

 ぜえぜえはあはあ言いながら、咲明は捕まえた耶納華を正座させた。

 一方、咲明に任せてのんびり待っていた黄生は、宿の朝食で出ていたパンを袋に入れて持ってきていたため、それを食べていた。

 「なんだよお前等!!俺を捕まえやがって!!覚えてろよ!!!」

 「お前何しでかしたんだ?とんでもない賞金額になってただろ?」

 「はあ?」

 耶納華は、自分が賞金首になっていたことを知らない様子だった。

 生死問わず、と書かれている手配書が多い中、耶納華はそう言ったことは書かれていなかった。

 生け捕りにしてどうしようというのか、もしかしたら拷問にかけようというのかと、咲明は黄生に何か尋ねようと隣を見てみると、黄生が耶納華を餌づけしていた。

 「何やってんだお前」

 「いや、欲しそうに見てたから」

 「欲しそうに見てたからって、傍から見たらそれ、完全に犬扱いだからな」

 耶納華は、黄生が持っていたパンをじーっと見ていたため、黄生はパンを少しちぎって、耶納華の前で動かしている。

 それを首を動かしてじーっと見ている耶納華は、なぜか正座をしたまま大人しくしている。

 「よし」

 「よしじゃねえよ」

 黄生がよし、というと、耶納華は本当に犬のようにそのパンの欠片を食べた。

 「あんたは命の恩人だよ!!!ありがとう!!何か礼が出来ればいいんだけど」

 「いや、捕まってくれればそれでいいから」

 「それは出来ねえ!!」

 「きっぱりだな」

 咲明の言葉をすぐに否定すると、耶納華は何やらもごもごと言っていたのだが、それは聞きとれなかった。

 「なんだ?なんで捕まるのが嫌なんだ?そもそも何したんだ?」

 「俺は何もしてねえ!!!!捕まるわけにもいかねえ・・・」

 「・・・・・・」

 何かを思いつめたような耶納華の表情に、黄生も咲明も頭をかいた。

 だからといって、耶納華がこれから先、誰にも見つからずにいられるかと言われれば、それは無理に等しいだろう。

 そもそも、賞金稼ぎの2人が、どんな理由があろうとも、賞金首を逃がすわけにはいかないのも理由の一つなのだが。

 「何か訳があるなら聞いてやるよ。まあ、だからといって逃がすわけにもいかねえけどな」

 「なんだお前!鬼だな!」

 「そうなんだよ、こいつは鬼なんだ」

 「黄生、俺に恨みでもあるのか」

 ふう、とため息を吐いた咲明をよそに、黄生は耶納華にこう告げた。

 「俺達は賞金稼ぎだから、賞金首をみすみす逃すわけにはいかない。けど捕まりたくない理由があるなら、理由くらいは聞いてやれる」

 「・・・なんだよ、お前等賞金稼ぎか」

 これで逃がしてもらえる可能性も確立もグンと低くなったと、耶納華は肩を落とした。

 「いや、いいんだ。なら俺をさっさともとの研究所に連れ戻してくれ。今更俺が助かる道なんてないんだから」

 「なんだ急にネガティブにやりやがって」

 まるで耳が垂れた大型犬のようにしょぼんとしてしまった耶納華を見て、黄生と咲明は互いに顔を見合わせる。

 詳しいことを聞こうとしても、「いや本当にいいんだ」と言って、頑なに話そうとしない耶納華だが、ちらちらとこちらを見てくるあたり、あと何押しかしてほしいのだろう。

 面倒臭くなった黄生はそのまま引き渡そうと言いだすと、焦った耶納華は事情だけでも聞いてくれと言ってきた。

 「最初から話しゃあいいんだよ」

 「すみませんでした」

 耶納華が話し始めるとき、黄生はまたパンをつまみ食いしていた。

 それを見て、咲明が俺にもくれと言ったため、2人でパンを食べていた。

 「俺は研究所で働いてて、ていうか、働いてるっていうよりも、そこで居候?みたいな感じでさ」

 「要するに脛を齧ってるのか」

 「違う!!別に親が金持ちとかそういうんじゃねえから!!!・・・ただ、俺もなんでそこにいるかはよく覚えてないんだ。けど、とにかくその研究所で暮らしてるんだけど、なんていうか、怖くて・・・」

 「怖い?」

 耶納華の言っていることがいまいち理解出来ない黄生と咲明は、互いの顔を見合わせて首を傾げる。

 何が怖いのか、どうして怖いのか、耶納華に尋ねてみるが、耶納華は話したいのか話したくないのか、口を開こうとしては閉じ、また開いては閉じを繰り返していた。

 まあ、何にせよ、耶納華には賞金がかかっているため、2人は早く差し出しに行こうと考えていた。

 「じゃあわかった。話さなくて良いぜ。けど、俺達はお前を連れて行く。なぜなら、俺達は賞金稼ぎで、お前には賞金がかかってるからだ。アンダースタン?」

 やれやれと言った風に、咲明がため息を吐きながらそう言うと、耶納華は大きく口を開けていた。

 「鬼!!!お前は鬼だ!!!なんで帰りたくないって言ってか弱い羊を、狼の群れに返すようなこと平気でするんだよ!!最低だ!人間として最低だ!!!」

 「うるせえな。なんなんだよ。お前がか弱い羊かどうかは知らねえし、狼の群れに返すったって、お前がもともといた場所だろ。何がそんなに嫌なのか聞いてんのに、答えねぇのはお前だろ?俺達に何の非があるってんだよ」

 「・・・・・・」

 「なんだよ」

 咲明の方を思いっきり睨みつけている耶納華に、咲明は腕組をして目を細めていると、黄生がゆっくり立ち上がった。

 それに気付いた咲明が何処に行くのかと聞けば、耶納華がいた研究所のことは実は知っていると言い出した。

 「なんだよ、そうならそうと早く言えよな」

 「悪い。今もまだあんなことしてたのかと思うと、言いだせなくてな」

 「なっ・・・なんでお前知ってんだ?」

 どうして研究所のことをこの男は知っているのかと、耶納華は黄生に尋ねる。

 黄生はただただじーっと耶納華のことを見ては、小さく息を吐くのだ。

 それがさらに耶納華の心を動かしたとでも言うのだろうか、耶納華は壁の方に頭をつけた格好で口を開いた。

 「俺も実態は知らねえけど、まさかあんなことをしてたなんて・・・。人間としてあるまじき行為だと思うよ・・・。なんたって、クローン実験で人間を複製させてるなんて知れたら、俺達研究所にいる人間はどんな目で見られると思う?これからまっとうに生きていけるかどうか心配だよ俺ぁ・・・」

 「・・・へー、クローン実験してたのか」

 「そうなんだよ。それを聞いちまって、俺は怖くて研究所を抜け出し・・・・え?」

 「え?」

 「え?じゃなくね?え?」

 愕然としながら話してくれた耶納華をよそに、黄生はふんふんと頷いていた。

 その反応に対し、耶納華はキョトンと目を丸くさせ、え?え?と自問自答をする。

 一体今何が起こっているのかと考えた時、出てきた答えは一つしかなかった。

 「おま・・・知ってたんじゃなかったのか!?俺を騙したのか!!!」

 「あー、勘違いしてたみたいだ。あれは別の研究所だったな。確か、ハム研究所だった」

 「なんだそれ!ただの工場じゃねえのかよ!!てか、俺を騙して情報を引き出すなんて、お前なかなかやるな!見直したぜ!」

 「ああ、ありがとう」

 「・・・なんだこいつ」

 黄生を怒るなり貶すなりするのかと思いきや、最終的には黄生を褒める言葉を述べた耶納華は、親指をグッと突き出していた。

 それに対して黄生は平然と御礼を言っており、そんな2人のやりとりを見て、咲明は肩を落とすのだった。

 しかしここで重要な単語となったのは、クローンという言葉だ。

 動物実験であれば幾つも成功例を見せている実験ではあると耳にはしているが、まさか人間を使って行われているとは思っていなかった。

 「今のなし!!!騙されて喋ったことなんて、聞かなかったことにするのが人情ってもんだ!!なしなし!!」

 「なしにはできねえな。なあ黄生?」

 「まあな。正直、人間を使ってクローン実験をしてるなんて、信じられないな」

 「だ、だろ!?信じるな!俺の作った夢物語だからな!!!」

 慌てて両手をブンブン振り乱しながら否定を続けている耶納華のことなんて見向きもせずに、黄生と咲明は話していた。

 一生生き続けられるとしたら、きっとそのような技術に辿りつくのだろうが、それを人間でやってしまったら、今生きている自分はなんなんだという話になる。

 人間だけではない。例えそれが動物だとしても、同じことだ。

 「じゃあ、俺達もこいつを連れて行った場合、実験台にされるかもしれねえってことか?」

 「そんな簡単に実験台にされるのは嫌だな」

 「はー、このご時世にそんな実験をしてるなんてなぁ。暇な奴らがいたもんだ」

 あーあー、と伸びをしながらそう言っている咲明の視界に、耶納華が入った。

 言ってしまったことを今更後悔しているのか、とても沈んでいるようにも見えるが、悔やんでも仕方ないと自分を励ましている姿は、なんとも言えない。

 「耶納華だったか」

 「え、なに?」

 「なんだその態度は。まあその実験が本当であれなんであれ、俺達も生活していかねえといけねぇから、とにかく連れて行く。いいな?」

 「良くない。だから!俺は戻りたくねえの!!!絶対に!!!」

 「んなこといったってなぁ・・・。黄生、どうする?」

 力付くで連れて行くことも可能と言えば可能なのだが、この元気そうで体力がありそうな男を連れて行くとなると、それなりに体力を消耗することになる。

 そんな面倒なことは黄生が許さないだろう。

 いや、許さないというか、すごく嫌そうな顔をされるのは分かっている。

 「咲明、俺疲れたから後頼む」

 「いやいや、疲れたって何もしてねぇよ?耶納華を連れて行くってことを話してただけだよな?なんで疲れるんだよ」

 「いやもうダメだ。なんか久しぶりに頭使ったら疲れてきた。耶納華、この辺で昼寝出来るとこ知らないか?」

 「ああ、それなら良いとこあるぜ」

 黄生と耶納華はなぜか2人仲良く歩いていってしまった。

 その後ろを少し離れながら、咲明が頭を悩ませて歩くのだった。

 太陽が程良くあたるが影もある広場に着くと、そこに黄生と耶納華は寝転がり、咲明も後から横になる。

 「あー、寝そうだ。寝ていいよな。これは寝ろっていってるも同じだよな」

 「陽気が俺達をそうさせるんだ。陽気のせいだ」

 「お前等呑気だな」

 そう文句を言いながらも、咲明もいつの間にかうとうとしてしまった。

 それは全て、陽気のせいだと。







 「炎涼様、耶納華が見つかりません」

 「ちゃんと研究所内全て探したんだろうな」

 「もちろんですよ。耶納華は俺が作った傑作ですからね。まあ、こんなことがあったとなると、作り直さないといけないかもですけど」

 1人の男が、椅子に座っていた。

 100近く、いや、それ以上あるかもしれない沢山のモニターを前にしながらも、男はコーヒーを啜っていた。

 黒髪に茶色の目をし、黒のワイシャツに黒のネクタイをつけている男のことを、前にいる男たちは炎涼と呼んでいた。

 この研究所にきて11年、つい最近最高支持者になった有能な男だ。

 その男の前にいる男たちは、2人いた。

 1人は紫の髪をして黄土の目をした、陸という男だ。

 陸という男は研究に関してトップであり、常に白衣を着ている。

 もう1人の男は波幸といって、青の髪に茶色の目をしている男である。

 いつもマスクをしているこの男は、炎涼の部下でもあり、陸たち研究員の一員でもある。

 「大地に今監視カメラを全部チェックさせてますから、すぐに何処へ行ったかはわかると思いますよ」

 大地と言うのは研究員の1人で、黄土の髪に青の目を持っている男で、陸の最初の部下である。

 「監視カメラ幾つ設置されていると思ってるわけ?陸は馬鹿なの?」

 「俺を馬鹿と言ったか?波幸覚えておくんだな。俺の頭脳はこの研究所内で一番だ。その俺を馬鹿なんて二度と言うな」

 「頭脳明晰な陸だから分かってるとは思うけど、単に頭が良いのと頭の回転が速いのは別だからね。それに、俺の記憶じゃぁ、大地はマイペースだから、急いでやってるってこともないと思うよ」

 「お前等、そこまでにしておけ」

 波幸に噛みつきそうになった陸を見て、炎涼が軽く止める。

 この部屋にモニターがあるのに、どうして耶納華に逃げられてしまったのかと言われると、きっと炎涼が仕事で部屋からいない時間帯を見計らってのことだろう。

 「ねえねえ、耶納華見つかったのー?」

 「宥海、入ってくるなと言っただろう。これでも会議中だ」

 「会議って、3人しかいないじゃない。それに、私達暇なの」

 クスクスと笑いながら部屋に入っていたのは、2人の少女だ。

 とはいっても、同じ顔をしている。

 2人して黒の長い綺麗な髪をしており、まつ毛も長く、唇も赤く熟れている。

 身長も同じくらいだが、違うところがあるとすれば、ホクロが宥海は右で結羽実は左と、左右逆なのと、1人は表情豊かなのに対し、もう1人は大人しくて無表情というくらいだろうか。

 「結羽実だって久しぶりに羽根伸ばしたかったのよね?」

 「伸ばしたかった」

 「ほうらね!!!」

 「宥海、結羽実を連れてこの部屋から出て行くんだ」

 椅子に座ったままの炎涼が、眉間にシワを寄せながらそう言うが、宥海は言う事を聞こうとしない。

 そんな炎涼の睨みにも似た表情に屈することなく、宥海はこう答える。

 「ひどーい!!!私は結羽実の本体として、結羽実のことを観察しろって言われているから、24時間365日欠かさず一緒にいるっているのに!!!自由にこの建物内を回ることさえ赦されないっていうのね!!!」

 明らかに嘘泣きだと分かる仕草で、宥海は自分の顔を両手で覆う。

 その宥海の隣で、結羽実は慰めるように宥海の背中を撫でていた。

 「結羽実はクローンだけど、こうして私の気持ちも分かってくれるわ!それは私と結羽実が一心同体という証拠よ!!」

 ズビシ、という効果音が出そうな勢いで、宥海は人差し指を炎涼に向けた。

 それから少しの沈黙の後、面倒になった炎涼が波幸にアイコンタクトをすると、波幸は宥海の首根っこを掴んで外に連れ出した。

 すると、自然と結羽実も一緒に部屋の外へと出て行く。

 まだドアをドンドンと叩く音が聞こえてくるが、聞こえないことにしておこう。

 「もー。完全に閉めだされちゃったわ」

 「宥海、部屋に戻ろう」

 「わかったわよ。結羽実とのシンクロ率が上がったのを自慢しようと思ってたのに。まあいいわ」

 手を繋いで、2人は部屋に戻って行く。

 宥海と結羽実を追い出した後、また話は耶納華の話に戻っていた。

 「陸、お前が作ったなら最後まで責任取れと言いたいところだが、セキュリティーを突破されたとなると、お前1人の責任とは言えないな」

 「でしょう?」

 「でしょうじゃない」

 「いやそうじゃなくて、耶納華は優秀でしょう?それは前前から知っていたことなんですけどね。ちょっと油断しちゃったかなーって感じですかね」

 へへ、と笑いながらそう言う陸に、炎涼は額に手を置く。

 そしてゆっくりと息を吐くと、前にいる2人にこう告げる。

 「ここのことを嗅ぎまわってる男がいるという話を聞いた」

 「ああ、あの男のことですか。けど、証拠が出たところで、俺達は一種の狂った政府の人間からの密命を受けてやってるだけであって、責任はそっち持ちだと思いますけど」

 「だが気をつけろ」

 「わかってますよ。俺だってここまできてお縄は御免ですからね。気をつけますよ、金目の将烈にはね」

 陸が口にした“金目の将烈”という男。

 噂でしか聞いたことがないが、その名の通り、金の目をしているようだ。

 名を将烈というらしく、その姿を確認した者はいないという。

 いや、将烈という男自体、実在しているのかさえ分からないのだ。

 秘密警察という組織で部下を従えている、冷酷非道な男という噂だけは、これまでにも聞いたことがあった。

 血も涙もないその男が、この研究所のことを勘付き始め、捜査をしているかもしれないというのだ。

 「もしものときは、あいつらどうするんです?折角集めた被検体ですけど」

 「全細胞やDNA、血液は冷凍保存してある。それだけを持ち出せば、最悪、あいつらはどうなろうと知ったことではない」

 「おー、怖い。炎涼様のそういうとこ、俺嫌いじゃないですよ」

 「気持ち悪いことを言うな」

 人間1人を守るよりも、身軽で簡単に持ち運べる冷凍保存したそれらの方が、優先順位が上ということだろうか。

 冷凍保存の部屋の鍵は波幸が持っているようで、炎涼が確認をすると、波幸は小さく頷いた。

 「おいおい、波幸が鍵当番で大丈夫かあ?なんなら、この優秀な俺が変わってやってもいんだぜ?」

 「結構だ。お前に渡すとすぐに失くすから」

 「その生意気な口、閉じてやろうか」

 「ちょっと俺より長くここにいるからって、いつも偉そうなんだよ」

 「偉いんだよ、俺はな!ねえ炎涼様もそう思うでしょ!?」

 「知らねえよ」

 とんだとばっちりを受けた炎涼は、少し冷めてしまったコーヒーを飲み干す。

 窓などほとんどないこの建物にある窓の中で一番大きな窓がある炎涼の部屋。

 そこから見えるのは地上の綺麗で美しい景色、ではなく、鉄壁とも言えるコンクリートの壁で覆われた視界のみ。

 久しぶりに空を見たい、なんて感情があるのなら、きっとここにはいないだろう。

 太陽光だけ天井からなんとか差し込む中、天気はどんよりとしている。

 「それより耶納華のことだが」

 少々話の論点がズレてしまっていたが、本題に戻るとしよう。

 炎涼がそう口を開くと、それに対して最初に答えたのは、耶納華のことを一番知っているであろう男、陸だった。

 「炎涼様、御心配なさらず。あいつは多分生きてますし、賞金までかけて手配書ばらまいたんだから、すぐに見つかりますよ」

 「それはいいが、ここからどうやって逃げたのか、なぜ逃げたのか。もしも中に裏切り者がいるなら始末しなければいけないし、耶納華の独断となると、これは別の問題になるぞ」

 別の問題、この言葉を聞いた瞬間、この部屋の中の空気が変わった気がする。

 炎涼の言った別の問題とはどういうことなのか。

 その場がしーん、と静まり返ったかと思うと、次に口を開いたのは波幸だった。

 「耶納華の脱走を手引きした者がいるとしても、耶納華の独断だとしても、処罰もしくは処分ということになりますね」

 「そうだな。まあ、耶納華には解剖という手もあるがな」

 「えー、炎涼様物騒ですよ。止めてくださいよ解剖なんて。あれでも俺が可愛がって育てたんですからね」

 「なら、甘やかしすぎたんだろうな。逃げないように教育するか、逃げられないように躾でもしておけ」

 波幸の提案に、炎涼は淡々と答える。

 炎涼の口から出た“解剖”という言葉に陸は激しくではないが多少なりとも反発をするも、軽く一蹴されてしまった。

 一番耶納華のことを詳しくしっている陸からしてみれば、今回の耶納華の脱走は思いがけないもの、というわけでもなさそうだ。

 口元の笑みを崩さずにいると、すうっと細めた目でそれを見ていた炎涼に聞かれる。

 「陸、お前勝手に耶納華に何かしたんじゃないだろうな」

 陸の横に立っていた波幸も陸の方に顔を向けるが、陸は平然とした表情のまま、さらに口角をあげて笑った。

 両方の白衣の袖を捲くった状態で、左腕には何かのカルテをはさみながらポケットに手を入れ、右手は肘を軽く曲げて掌を上に向ける。

 「何もしてませんよ。そんなことして、俺に何のメリットがあるってんです?ましてや、耶納華ほど優秀な奴はいないっていうのに。これからの実験にも支障を来すじゃないですか」

 「お前が他人を優秀なんて言うのは珍しいな。褒めてるのか、それとも蔑んでるのか?」

 横からひょこっと聞こえてきたそんな声に対して、陸は右手もポケットに手を入れながら飄々と言う。

 「勿論褒めてるぜ?まあ、気付かなくて良いことにまで気付く優秀な奴っていうのは、時には“愚者”とも言えるがな」

 「・・・・・・」

 何か思い当たる節があるのか、波幸だけでなく、炎涼も少しだけ視線を動かした。

 再びコーヒーに手を伸ばした炎涼だったが、すでに空になっていることに気付くと、ため息を吐きながら椅子に深く座って脱力する。

 「陸忘れるなよ」

 「なんです?」

 「お前はその“愚者”がいなくなったから、今その地位にいられるんだからな」

 「ええ勿論。忘れませんよ。感謝してますからね」

 そう言ってニッコリと微笑んだ陸は、そろそろ研究に戻ると言って部屋から出て行く。

 その後、波幸も仕事があるからといって出て行った。

 1人部屋に残った炎涼は、コーヒーメーカーにも残っていないコーヒーを飲みたいとおもいながらも、淹れるのは面倒だなと思いながら、だらだらと一時間以上すごすのだった。

 目の前にあるモニター越しに見える多くの人間を眺めながら、頬杖をついて。







 「黄生、こいつ怒らねえかな?てか起きたら暴れんじゃねえ?」

 「仕方ない。起きてると暴れるし逃げるから最善の策を取っただけだ」

 「まあそりゃそうなんだが。あ、黄生、そっちじゃえねって。そっち行ったらまた元来たとこに戻っちまうぞ」

 「分かってる。ちょっとお前を試しただけだ」

 「なんで試すんだよ」

 相変わらず方向音痴の黄生は、昼寝をしたままずっと起きない耶納華を背負って歩いている咲明の前を歩いていた。

 後ろを歩いて着いてきてほしいところもあるが、ついてきていると思って後ろを見ると、あらぬ方向に向かっている時があるため、こうして後ろから指示を出しているのだ。

 しかもこんな一本道で迷うなんて、さすがとしか言いようがない。

 背負っている耶納華はまだ起きる気配がなく、咲明はそれだけ心配していた。

 もしも耶納華が起きて逃げたりしたら、咲明は追いかけられるとしても、黄生は面倒で追いかけて来ないか、追いかけてきても迷うかだろう。

 どちらにせよ、探すものが2つに増えるのだから、咲明にとっては疲れることだ。

 「咲明、手配書に書かれてる地図はこの辺だよな」

 「ああ、確かそうだな。なんだ、なんもねえとこだな」

 「ふん。地図を書いた奴は相当な迷い子だな」

 お前ほどじゃねえよ、と思いながらも言わないでいた咲明だったが、次の瞬間。

 地面がゴゴゴゴ、と動いたかと思うと、黄生と咲明がいる場所の目の前から、何かが現れた。

 それは鉄のようにも見るし、コンクリートのようにも見えるし、しかし柔らかい素材にも見える。

 そして階段が現れると、そこから2人の影が出てきた。

 「誰だ?」

 「さあな。地底の生物かもな」

 「黄生、お前それ真面目な解答か?」

 「地下に何かあるのかもな」

 「俺、お前が分からなくなってきたよ」

 1人は黄土の髪に青い目をした男で、もう1人は青の髪に茶色の目、そしてマスクをつけている男だ。

 青い髪にマスクをした男が、黄生たちを見てこう言った。

 「耶納華の手配書を作ったのは我々だ。連れてきてくれてありがとう。耶納華はこちらで引き取ろう」

 「お、おお・・・頼む」

 青の髪の男は自らを波幸と名乗り、黄土の髪の男は大地を名乗った。

 大地が咲明の前まで来ると、背でまだ寝ている耶納華を起こさないように引き取る。

 そして波幸は大地を先に階段の下に行かせると、黄生と咲明の方に再び近づいてきて、分厚い封筒を手渡した。

 「賞金だ。受け取ってくれ」

 「おお、さんきゅ」

 波幸は賞金を咲明に渡すと、そのまままた地下へと続く階段に足を踏み入れる。

 その時、波幸の背中に声が降ってきた。

 「あいつは怖いと言っていた」

 「・・・・・・何がです?」

 「おい、黄生」

 咲明は、あまり余計なことには首を突っ込むなと言いたそうな顔をしていたが、黄生は波幸のことをじっと見ている。

 時間にするときっと10秒もなかっただろうその間の沈黙は、とても長くて緊張する時間であった。

 先に口を開いたのは、咲明だった。

 「いやすんませんね。なんでもないんで、気にしないでください」

 へへ、と笑いながら黄生の腕を掴むと、一目散に走って行った。







 「うがああああああ!!!!ここから出せ!!!ばーか!はーげ!お前の母ちゃん、でーべそっ!!!」

 「五月蠅いわね、静かにしなさいよ。帰ってきて早々なんなの?」

 「帰ってきたわけじゃねえよ!!!気付いたらここにいたんだよ!!」

 耶納華は、大地に連れられて個室に押し込められていた。

 押し込められていたといっても、それほど狭い部屋なわけではなく、どちらかというと優遇されている方だろう。

 「くそ!!あいつらを信じた俺が馬鹿だった!!!」

 「あいつらって?」

 「うるせえ!!!お前こそ、俺をここから出そうとか思わないのか!!」

 耶納華の入っている個室は、大きな防弾ガラスで四方が囲まれている。

 その先にいたのは、双子のようにそっくりな女性、宥海と結羽実だ。

 「思わないわ。ねえ結羽実?」

 宥海が結羽実に同意を求めれば、結羽実は無言でただコクリと頷いた。

 「折角ここから逃げ出せたってのに!!逆戻りじゃねえか!!」

 「良かったじゃない」

 「なんでだよ!!!」

 「ここなら誰にも狙われないし、三食ご飯は出るし寝るところもあって洋服もある。まあ、監視されているのは嫌だけど?だからって逃げ出すことじゃあないじゃない」

 「お前みたいな変人には分からねんだよ。俺はここから出ないとおかしくなりそうだ」

 「ふーん?」

 耶納華の言っていることに興味がないのか、宥海は結羽実と指を絡め、いわゆる恋人繋ぎをする。

 特別な関係というわけではないが、この二人は移動するときなどはこうしていつも手を繋いでいる。

 耶納華の叫び声だけが響く中、宥海たちは手を振って部屋を出て行こうとする。

 その際、頭を冷やすように言われたのは気のせいかもしれない。

 「だああああああ!!!!!!」







 「戻る!?本気か!!?」

 「ああ」

 耶納華を男たちに引き渡してからそれほど経たないうちに、黄生と咲明は踵を返していた。

 こう言う時に迷子になってくれれば助かるのだが、野生の本能なのか、黄生はくるっと綺麗に180度身体を回転させると、そのまま歩きだしてしまった。

 放っておくことも出来たのだが、それが出来ないのが咲明。

 黄生の後ろを止めながらも着いてくる。

 「考え直せよ。俺達に何が出来るってんだ?世の中には、知らない方が幸せなことが沢山あるんだぞ!?」

 「なら咲明は来なくて良いぞ。俺1人で行ってくる」

 「はあ・・・」

 まったく世話の焼ける男だと、咲明は黄生がまたおかしな方向に行きそうになるのを止めると、正しい道を示した。

 そしてまた隠れてしまっている階段を探していると、今度はそことは別の場所から、何かの気配を感じた。

 「咲明」

 「わかってら」

 互いに背を合わせて辺りを観察していると、一気に土の中から武装した男たちが出てきた。

 先程とは明らかに違うその雰囲気に、咲明はやはり止めておくべきだった、と深く後悔するのだった。

 武器を持っている男たちに対し、黄生たちは素手でなんとか戦っていたのだが、あまりに数が多かった。

 「咲明、走るぞ」

 「おうよ!」

 いっせーの、で走りだしたのは良かったのだが、思った通りというのか、黄生はあらぬ方向に向かって走っていた。

 「別の意味で天才だな」

 冷静にそう言いながらも、咲明は黄生の後ろを追って行くと、地下へと続く道が見え、そこに入って行く。

 階段があると思って入ったのは良かったが、そこにあったのは階段ではなかった。

 まるで滑り台のような巨大な平面の板があって、そこを2人仲良く滑って落ちて行く。

 「いててて・・・」

 「あいつを拾って碌なことがねえ・・・」

 長い長い滑り台が終わったかと思うと、そこは何処かの部屋だった。

 ただ何の為の部屋か分からなかったのは、そこが真っ暗だったからだ。

 「黄生、生きてるか?」

 「ただいま電波の届かない場所にいるか、食事という名の電源が入って・・」

 「はいはい、生きてるな」

 立ち上がり、手探りで出口を探そうと思った2人だが、急に部屋がパッと明るくなって目を瞑ってしまうと、何か吸いこんでしまった。

 それを吸いこむと徐々に身体は重くなり、意識も遠くなっていく。

 「(催眠ガス・・・!!)」

 そう気付いたときには手遅れだった。

 2人は、眠ってしまった。







 「ん・・・?」

 まだ重たい瞼と身体を起こすと、横にはすでに起きて胡坐をかいている黄生がいた。

 「あれ?俺達、生きてるのか??」

 「ああ。放りだされたらしい」

 「まじかよ。まあ、殺されなかっただけ良しとするか」

 「そうだな。腹が減ったな」

 「誰もんな話してねえけど、確かに腹減ったな」

 ぐうう、と力無くなったお腹の音に、黄生と咲明は足を進める。







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登場人物紹介

黄生:自由気ままなお尋ね者。

身軽だが極度の方向音痴。



『誉められた』

咲明:奇抜な服装のお尋ね者。

黄生の面倒をよく見ている。


『誉められた』

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