~ おわりに ~

文字数 550文字

――以上が無職時代を過ごした2009年の思い出だ。
なるべく見栄を張らずなるべく自虐に寄せず、イラストと写真を添え淡々と事実を綴った。

期間は6ヶ月、面接は13社。
再就職先は前職とはまた別の電機メーカー子会社で、再び契約社員採用だった。

〈決まる時は決まるし決まらない時は決まらない〉
よく語られる、当たり前だと分かり切っていたつもりの言葉ながら、半年に及んだこの転職活動を終えられたことで妙に身に染み渡ったのを覚えている。

やがてサッパリと忘れてしまうであろう五里霧中な毎日――。
それらの経験がわずかでも後の将来に役立っているのだろうか?
繰り返し模索を続けた結果として少しでもタフに成長できたのだろうか?

振り返ってみても未だによく分からないが、きっと自身の生涯において特別な期間であったことは確かなので、記憶が薄れる前にこうして書き留めておきたかった。

15年もの時が流れ、やがて今になり、〈無職〉という言葉を聞くとふと思い出す。
心許なくも心地よい、矛盾した2つの気持ちが適度な距離感で何故か互いに折り合いをつけていた、あの不思議な心境を――。

最後ではあるが、〈無職日記〉と題したブログや小説が限りなく世に溢れ返っている事実に、やはり私はどこまでも月並みな人間なのだなと思った。

2024年8月30日
いもう まい
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