Fin
文字数 371文字
「せ、ん、ぱーい!」
気のせいかと思ったが、また聞こえた。立ち上がり窓から顔を出すと、こちらに向かってビニール袋を持った両手をブンブン振っている人がいた。
「水澤!? どうしたの!」
「もーいくら心配しても要領を得ないんで来ちゃいましたー!」
「ちょ! 静かに! 待って今行くから! マスク付けて!」
不要不急という近所の目もあるから慌てて迎えに行こうとした。しかし中々マスクが見つからなかった。焦っている内にインターホンが水澤の到着を知らせた。囚われた過去から生還したようなこのタイミングに、まるで現実がどっと押し寄せて来たようだ。でもそれは救われてもいるようだった。
インターホンには出ずに玄関へ向かった。今は水澤の厚意に感謝して、その押し寄せる現実に身を任せようとドアを開けた。訪れた笑顔は、吹き抜ける風と一緒に埃を窓の外へと運ぶようだった。
気のせいかと思ったが、また聞こえた。立ち上がり窓から顔を出すと、こちらに向かってビニール袋を持った両手をブンブン振っている人がいた。
「水澤!? どうしたの!」
「もーいくら心配しても要領を得ないんで来ちゃいましたー!」
「ちょ! 静かに! 待って今行くから! マスク付けて!」
不要不急という近所の目もあるから慌てて迎えに行こうとした。しかし中々マスクが見つからなかった。焦っている内にインターホンが水澤の到着を知らせた。囚われた過去から生還したようなこのタイミングに、まるで現実がどっと押し寄せて来たようだ。でもそれは救われてもいるようだった。
インターホンには出ずに玄関へ向かった。今は水澤の厚意に感謝して、その押し寄せる現実に身を任せようとドアを開けた。訪れた笑顔は、吹き抜ける風と一緒に埃を窓の外へと運ぶようだった。