3.

文字数 821文字

 私はというと、前述した通り、小学校の中盤から真面目な学級委員タイプに性格が変わった。

 こう言うと、良い方向に成長したかのように聞こえるが、実際はそうとは言い切れない。
 今のこの年齢になったから分かることだが、当時の私は、小学生にして早くも世の中のことが面倒になってしまったのである。

 自分のしたいようにだけ行動すると、ルール違反につながる可能性がある。
 ルール違反をすると、うるさい友達からはぎゃあぎゃあ言われるし、先生や親からも怒られる。
 こういうことをやっと理解した私は、その窮屈さと面倒くささに辟易し、早くも世捨て人の心境に陥ったのだ。

 周りは相変わらずだった。
 学校というところは、誰かと誰かの間でケンカが起こったとか、誰かが誰かに何かをしたとか言ったとか、子供なりのドロドロした人間関係や愛憎気悲劇に溢れた場所である。

 例えば、掃除の時間に男子と女子の間でケンカが起こったとする。
 だが、その原因はどっちもどっちだったり、またはお互いにちょっかいを出したくて、わざと争いを起こしていたりもする。

 そんなケンカは、どちらの味方に付くのも、仲裁するのも馬鹿らしい。

 これらのケンカはある程度で終わるのが普通だが、たまになかなか終わらなくて、先生に知られるところになったりすると、それこそ面倒くさいことになる。
 下校前のホームルーム(私達の学校では「帰りの会」という名称だった)の時に、クラス全員で話し合わなければならなくなるのだ。

 いつもであれば、「帰りの会」は十分程度で終わるのだが、ケンカを解決するための話し合いなんかやると、三十分またはそれ以上かかってしまう。

 その分だけ帰る時間が遅くなるのだが、それで誰にも何の支障が出なかったのは、のんびりした時代だったからだろうか。

 誰かが「そんな下らないケンカのためにみんなで話し合いをするのは、時間の無駄だと思います」なんて言わないかなあと思っていたが、そういうことは一度もなかった。
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