接触、胤。須らく局蹐は、

恐れという感情を生物は持っているらしい。
自身の身を護るため、生命の渇望とも取れよう。
彼らが私を目にしたとき、恐怖したのは未知の存在だからか？
それとも構築されたコミュニティ外の存在への排他反応か。
則ち護身であることははっきりとしている。

「...な、なんだ？」
「女の子...か？」
「おい！嬢ちゃん！そっちは危ないぞ！」
複数人に謎の音を向けられた。攻撃ではないようだ。何の意図があるのだろうか
「早くこっちへ来い！あぶないぞ！」
それぞれの人間は別の音を出すようだ。音色・音程・長さ・パターンが違う。
それが意図するのは
何かの情報？意図があるはずだ。おそらく何かをこっちに伝えようとしている。
近くへ行けばもっと何かわかるかもしれない。
彼女は地を踏みしめ、勢いよく蹴った。木々が揺れ、揺れる木々の数倍はあるだろうか、崖の上までひとっ飛びだった。

人間の集団の目の前にちょうど降り立った時、人々は...恐怖に染まっていた。
「バ…バケモノ！」
「さっきのって...この女の子が...？」
「見た目はそうでもバケモンだ…！」
みるみる顔が青ざめ、震えてしまう男たち。

今にも逃げ出しそうな雰囲気の中、茂みから飛び出してきたもう一人がいた
「わぁ！いまのどうやったの！」
ネイカだった。
真っ青だったはずの男たちの表情は一瞬で兵の表情に変わった。
「離れていろ！ネイカ！」
そう叫んだ先頭の男は、怪訝な顔でこちらを向く二人の少女に自分がおかしいのかと思わせられる。
「ねぇなんでリュオン、そんなに怖い顔するの？」
ネイカに恐怖はなく純粋に好奇心でここに立っている。だからこその問だった。
「ねぇ、あなたは何て言う名前なの？私ネイカ！」
「お...おい...！」
ネイカが話を進めるのを男たちは狼狽することしかできなかった。

ネイカの言っていることを理解できない彼女はただ無言でネイカを見つめる。

「もしかして...喋れないの？大変！家族は？どこにいるの？」
「話が分からないのか...」
落ち着きを取り戻したリュオンは彼女に歩み寄る。
「なぁ...大丈夫なのか？」
「だいじょうぶ！この子がそんな怖いことするわけないでしょ！ね？」
そう言ってこちらを向く少女。
この場は彼女のおかげで穏便に済ませられそうだ。

彼女はネイカと言う少女のおかげもあって意図せずして”人”都の邂逅を果たした。
「あ、そうだ！名前！あなたの名前は？」
彼女は困惑した顔で、今まで必要のなかった名称について熟考した。
当然返答の術はないので喋れない素振りを察したリュオンが