第5話:メガバンク、金融機関破綻

文字数 2,028文字

 3月20日、地下鉄サリン事件が発生し、オウム真理教による一連の凶悪事件が次々と明るみに出た。4月から高遠幸二は、佐倉から総武線で西千葉まで40分かけて通い始めた。友人の富田君は、大岡山でアパートを探して引っ越していった。4月19日、超円高、円が1ドル・79.75円を記録した。1996年が明けると2月13日、高遠利彦が20歳の誕生日を迎えた。

 4月1日、三菱銀行と東京銀行が合併して「東京三菱銀行」「現在の三菱UFJ銀行」が発足した。高遠利彦は大学の夏休みになると父に株投資をしたいので100万円貸して欲しいと言った。それを聞き、わかったと言った。でも、会社員なったら。必ず返せよと笑いながら言った。そして、数日後、現金を封筒に入れて手渡してくれた。

 9月に入り高遠利彦は、千葉のD証券で証券口座を開き父から借りた100万円と幼い頃からお年玉や小遣いから貯めた貯金から50万円を出し、150万円を自分の証券口座に入金した。9月29日、社民党、新党さきがけ、新進党らの一部議員により民主党が結成された。1997年2月10日、14歳の少年による連続殺傷事件「神戸連続児童殺傷事件」が発生した。

 この事件により少年犯罪がクローズアップされ、少年法改正論議が盛り上がるきっかけとなった。消費税5%に増税で立ち直りかけていた日本経済に打撃を与え景気は再び後退期に入った。その後、北海道拓殖銀行破綻し山一證券も破綻した。1997年9月初旬、高遠利彦は、千葉銀行の就職試験を受けた。その翌週、内定通知が届いた。一方、富田君は、富士通を受験して翌週に内定通知を手にした。

 1998年が明け4月から高遠利彦は千葉銀行、船橋支店で働き始め銀行の近くにアパートに入った。そして、5月の連休、高遠利彦は、気分転換に船橋競馬場にでかけた。昼食を食べに競馬場内の食堂に入ると水を持ってきた若いウエイトレスが水の入ったコップを倒して高遠利彦のズボンが濡れてしまった。彼女は平謝りするので大丈夫ですと言った。

 すると食事代金を精算する時、彼女が私が支払うから結構です告げた。そう言う訳にはいかないと高遠利彦が強く言うと彼女が涙を浮かべた。その時、誰でも間違いはあるから気にするなと言うと名前を聞かれた。そこで、今年の春、千葉銀行・船橋支店に就職した高遠利彦ですと言った。そして、名刺を渡し銀行口座を作る時は、是非、当店で宜しくと笑いながら言った。

 それに対し、私は、若水智枝と言い、この競馬場で育ったと告げた。その話が終わると、じゃーねと高遠利彦が彼女に行って店を出た。翌週、競馬場が休みの平日の午前9時半頃、競馬場で出会った若水智枝さんが千葉銀行・船橋支店に来て高遠利彦に会釈して銀行口座を開きたいと言った。そこで手続きを取り5万円を入金した。帰り際、高遠利彦がありがとうがございますと礼を言った。

 すると、また競馬場に来てねと言い帰っていった。その後、月に1回のペースで船橋競馬場に通い、高遠利彦は、颯爽と目の前を駆け抜ける競馬馬の姿を見て気分転換をした。それでも馬券を買おうとは思わなかった。そして、必ず、競馬場の食堂に行き、昼食を食べた・そして、若水智枝が暇そうなときは、雑談するようになった。こうして親しくなるのに時間はかからなかった。

 その後、月に1~2回、デートするようになった。1998年10月2日の朝、証券会社から高遠利彦に電話が入った。その電話で半導体関連メーカーのディスコの気配値が515円と安いと言われた。それを聞き2千株成り行き買い注文を出すと130万円で買え残金が20万円となった。1998年も押し迫った頃、高遠利彦は、船橋競馬場へ行き若水智枝に正月3が日に初詣に行こうと誘った。

 すると1月2日なら空いてると言うので10時に競馬場出口で待ち合わせた。約束通り彼女が来て、意富比神社「おおひじんじゃ」へ出かけた。彼女の住んでいるアパートは近くにあると言った。意富比神社「おおひじんじゃ」の御祭神は天照皇大御神と聞いて高遠は驚いた。すると彼女が意富比神社、別名・船橋大神宮は伊勢参りと日光参りが一挙に出来ると語った。

 意富比神社「おおひじんじゃ」に天照大神が境内摂社「常盤神社」に徳川家康公がお祀りされていた。さらに伊勢神宮にもご縁があり、一説では伊勢神宮が分祠され建立されたとも言われている。そこで、伊勢・日光に参拝したのと同じご利益がいただけてしまうのと彼女が言った。それを聞いて、なるほどねと高遠利彦が頷いた。

 初詣をしてから歩きながら彼女のお父さんが昔、美浦トレーニングセンターで馬の世話をしていたと話した。そのため、幼い頃から競馬馬に餌を与えたり馬糞掃除をしてるのを見て育ったと告げた。しかし、父が酒好きで体が不自由になり馬の世話の仕事を辞めた。その時、父の上司がみるに見かねて知り合いを通じて船橋競馬場で馬の世話係の育成の仕事を父に紹介してくれた。
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