時計の針は刻々と

文字数 693文字

 時計の秒針が1進むたび、私たちの一瞬は過去になっていく。今を生きているようでも、1秒未来を生きている。1秒過去が過ぎ去っていく。
 忘れたくない思い出がある。私たちが一緒に感じていた時間。残酷なことに、時というのはみるみるうちに過去へと変わってしまう。私たちの今まで過ごした時間はすべて、過去になる。時計が1秒ずつ青い空の思い出をセピア色へと変えていく。
 でも、過去は『嘘』じゃない。私たちが一緒にいたという事実は変わらない。その思い出も美しいものだ。たとえ青空がセピア色に変わったとしても。
 すべてが過去になるというのも残酷だが、時が止まってしまうよりはいい。過去があるというのは、歴史が作られたということ。思い出が増えたということだ。私たちはいつまでもピーターパンのままでいられるわけじゃない。青い若葉のときは時間が永遠のような気がして、一日を雑に過ごしてしまう。それで本当にいいのだろうか、一日一生。一秒一生。一秒先の私は、一秒あとの私とは違う。時間が止まるのは、きっと成長を終えたとき。それは死を意味するだろう。
 私たちは生きている。生きている限り、時間には抗えない。未来への歩みを止めることはできない。
 未来は見えないが自分の心で変えることはできる。どんなにつらい過去を胸に抱いていても、未来の自分だったらその思い出たちをどう眺めるかな?
1秒あとを大事に生き、1秒先をのぞいてみよう。そして、今一瞬一瞬を大切に生きよう。そうすることで、見えてくるものもきっとある。
 未来がバラ色だとは限らない。それでも生あるものである限り。
 時間を味方につけよう。過去も未来も、友達にしよう。
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