第2話

文字数 356文字

何度もそんな事が続き、昼間はほとんとエサにありつけなかった。
しかし夜、鳩は居なかった。
首をかしげながらも、かれにエサをやって頭を撫でて行く若い女性。
しかし、エサを食ってると、大人の猫に奪われた。
ついでに蚤までうつされた。
無理もない。
そこは彼の縄張りだった。
ぷるるる…
力なく一声。
すると大人の猫は立ち去り、二度と姿を現さなかった。
そこがかれの縄張りになった。
少し大きくなり、十分に甘えられず育ったかれは、やたらにメス猫が恋しくなった。
ある夜、遠くにメス猫を見つけ、鳴き掛けてみた。
ぷるるる…
あっちもこっちを見てる。
ああこんな時に、蚤が痒い。
毛づくろい。
逃してなるかともう一声。
ぷるるる…
痒みにまた、毛づくろい。
ぷるるる…
ぷるるる…
ぷるるる…
必死に鳴いたが、逃げられた。
その様子を見ていた中年男も、足早に立ち去った。
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