第4話

文字数 322文字

左の後ろ脚が折れていた。
骨が飛び出て、肉を裂き、血が出た。
朦朧、おひさま、鳩が居る時間。
何も聴こえない。
ぷるるる…
誰の声だろう?
鳩みたいな声。
そうか、鳩。
行かなきゃ。
彼らしか、友達は居ないんだ。
あの時の中年男の指先のにおいを思い出していた。
あの時、連れてってくれたなら。
食うに困らなかっただろうし、こんな目に合わずに済んだだろうか?
食う時間や物は違っても、おんなじ暖かい部屋で、お互いがなんか食べるのを見る。
時にはタイミングも合うだろうし、男の食事中にみいみい鳴いたら何か分けてくれたかもしれない。
野良中の野良、つまはじきが見る夢の様な夢。
ぷるるる…
その恍惚は、またもあの変な声に破られた。
鳩の場所、ぱたりと倒れた。
もうそこから、動けなかった。
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