第1話

文字数 190文字

 あれはまだ肌寒い三月のはじめ、たった二ヶ月の闘病のあと、母が逝った。あっけなかった。母の兄たちがいろいろと助けてくれ、葬儀をあげた。あれから半年。人が一人消えても世の中は何も変わらない。人の死なんてあっけなくて・・・なんだかくだらない。
 冷房のきいた仕事帰りの電車に揺られながら、里奈はまた同じことを考える。自分が冷たい人間に思えて、いつもそれ以上は考えないようにしている。
 
 
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