第5話
文字数 337文字
やっぱり・・・。ミモザは父親の誕生花だった。母がことさら大切にしていたミモザの木。入学式や卒業式、式典に向かう朝は、かならずこの木の下に母と並んで、写真を撮ったのだ。母はカメラと三脚を持ち、集合写真を撮ろう、といつも里奈に声をかけた。二人きりで集合写真と呼ぶのはヘンだと思っていたけど、母は家族写真のつもりだったのだろうか。
机には二年前の写真が飾ってある。里奈の入社式の日だ。里奈と、母。そして、祝福するようにたくさんの黄色い花をつけたミモザの木。
まだ濡れた髪から、しずくが落ち、里奈の目からも涙がこぼれた。離れて住む父、逝ってしまった母、自分。いびつな形をしているけれど、間違いなく自分の家族だ。
里奈は涙を拭いて、携帯電話を手に取った。父の番号に電話をかけた。
机には二年前の写真が飾ってある。里奈の入社式の日だ。里奈と、母。そして、祝福するようにたくさんの黄色い花をつけたミモザの木。
まだ濡れた髪から、しずくが落ち、里奈の目からも涙がこぼれた。離れて住む父、逝ってしまった母、自分。いびつな形をしているけれど、間違いなく自分の家族だ。
里奈は涙を拭いて、携帯電話を手に取った。父の番号に電話をかけた。