第3話
文字数 376文字
里奈が小学生の時に、両親は離婚した。理由は知らない。隣の市に住む父親とは、年に一度、クリスマスの頃に会う。でも一度も母は父と会わなかったし、父も母の話はしなかった。母が亡くなったことは父に知らせなかった。知らせなければ葬儀に来ようもないが、知らせても来ないかもしれないことが怖かったのだ。
向かいの家族を見たあと、自分のことを考えると虚しい気持ちになる。向かいの家族はまるで四つ葉のクローバー。健全で完璧で、幸せな家族の形。両親が離婚し、母が逝き、自分は不健全で不完全な人間のように感じる。
気温が上がってきた。帽子の下の額が汗ばむのを感じ、里奈は立ち上がった。今日はここまでにしよう。
母とここに住み始めて、一緒に植えたミモザの木。母がとりわけ大切にし、二階に届くほど大きく育ったその木は、心地よい木陰をつくる。里奈はその下で涼み、汗をぬぐった。
向かいの家族を見たあと、自分のことを考えると虚しい気持ちになる。向かいの家族はまるで四つ葉のクローバー。健全で完璧で、幸せな家族の形。両親が離婚し、母が逝き、自分は不健全で不完全な人間のように感じる。
気温が上がってきた。帽子の下の額が汗ばむのを感じ、里奈は立ち上がった。今日はここまでにしよう。
母とここに住み始めて、一緒に植えたミモザの木。母がとりわけ大切にし、二階に届くほど大きく育ったその木は、心地よい木陰をつくる。里奈はその下で涼み、汗をぬぐった。