美術館の話

文字数 600文字

広島城の近くに美術館がある。
ちょうどピカソの展覧会が最終日であった。
弘子さんはこの後用事があるということで美術館の入口で別れることになった。
「弘子さん、今日はお時間作って頂きありがとうございました」
「気をつけてね、この後も広島楽しんで!」
弘子さんは何故ここまで優しくしてくれるのだろう。
帰りも弘子さんはニコニコしながら手を振ってくれた。

祐太さんにメッセージを送る。
「お母様とお好み焼きを食べました」
お好み焼きの写真も添付した。
きっと返信は来ない、基本的に既読つけて終わりというタイプの人だ。

入口でチケットを購入して中に入った。
最終日ということもあってどの作品の前にも長蛇の列ができていた。
スタッフが「どのお部屋からでもご覧になれまーす」と言っていたが、私は展示室1から順番に見ることにした。
多少並んでも時間にはまだ余裕がある。
美術館側も歴史や諸々の流れを意図して、絵や彫刻の展示の順番を決めているはずだ。
私は絵画に詳しいわけではないけれど、少しでもその気持ちを汲み取りたかった。

ピカソの絵は年代によって大きく作風が変わる。
家族ができてから温かみのある色彩を使ったり、柔らかい絵が多くなってくる。
また最近の研究では、X線や赤外線を当てると描かれている絵の下にまた別の絵が描かれていることがわかったそうだ。
ピカソだけではなく、ピカソにまつわる他の作者の展示もあった。
私は絵画や彫刻を一つずつ興味深く見た。
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