広島に行く話

文字数 512文字

新幹線に乗って西に向かう。
車内でも前日のモヤモヤを引きずっていた。
ずっと言いたかったこと、でも言っちゃいけないことをとうとう口にしてしまったのである。
正確にはメッセージを送信した、であるが。

はーーーーーー
長いため息。
思い出しては項垂れてしまう。
伝えることではなかったのだ、ずっと心に留めておくべきだった。
はぁぁぁぁーー
さっき肺の中から空気を出し切ったと思っていたのに、再びため息がこぼれた。
ゆっくり頭を起こして窓の景色を眺める。
気持ちは晴れないままだ。
項垂れ、ため息、また項垂れるというループを繰り返していたら片道4時間の旅はあっという間だった。
項垂れた首が乗っている新幹線の床にめり込む前に到着して良かった。

広島駅に着き、新幹線改札口を出ると弘子さんが迎えに来てくれていた。
私の名前を呼び、ぶんぶんと手を振る。
弘子さんとの出会いは、今後別の作品で触れることになりそうなので今は割愛する。
弘子さんは広島の海側に住んでいる。
先日弘子さんが東京に来た際、私が少し案内をしたこともあって「月末、広島に行くんです」と伝えたところ、「その日、お昼ならお付き合いできますがいかがですか」と連絡をもらい、ランチをご一緒にすることになった。
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