現場048 妖婦登場の場・旧安田庭園

文字数 630文字



「狩野岑信」の第六十章で、吉之助たちの新たな敵となる女性キャラが登場(実は再登場)。悪女とは呼びたくなかったので、「妖婦」としました。今後、その特異な発想と大胆な行動が太平の世をかき乱して行きます。

 写真は、彼女が大奥の中臈として最初に姿を現した場所。元禄時代、常陸笠間藩の下屋敷であった旧安田庭園(東京都墨田区、2022.12.19撮影)。

 ただ、現在の庭園は明治期に造られたもの。明治時代にこの庭園を買い取った安田財閥の創始者・安田善次郎が大幅に手を入れた。その後、東京市に寄贈されるも震災や戦火によって荒廃。昭和44年に東京都墨田区に移管。それを機に資料を基に全面的改修がなされ、明治作庭時の姿を取り戻した、とのこと。

 また、江戸時代の庭園では、隅田川から水を引き、潮の干満で池の水位を上下させて景色の変化を楽しむ「潮入」構造が採用されていたそうです。これは奇しくも甲府浜屋敷(浜離宮恩賜庭園)と同じ。残念ながら、水門は閉じられ、導水溝も埋められてしまいました。

 そんなこんなで、元禄時代の人々が見た景色ではありません。物語の中では最低な好色漢にしてしまった本庄宗資ですが、どんな趣味をしていたのか、見てみたかった。

 ともかく、雰囲気としては十分大名庭園。隅々まで手入れが行き届き、気持ちよく散策できます。そして、今どき珍しい入園無料。隣接して刀剣博物館があり、近くには北斎美術館も。さらに江戸東京博物館が再開すれば、一日楽しめるエリアになると思います。
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