現場043 嵐子と厳四郎が出会った柳生の一刀石

文字数 680文字



「狩野岑信」の第五十二章で、嵐子と厳四郎の出会いについて書きましたが、そこに出てくるのが「柳生の一刀石」

 写真は実際の一刀石(奈良県奈良市柳生町、2022.11.8撮影)。

 行く途中、ちょっと後悔したくらい山奥にある。それはともかく、当初、嵐子と厳四郎の出会いのシーンは、錦秋、赤や黄色の鮮やかな色彩の中でと考えていたのですが、行ってみると、杉林ばかり。しかも、一刀石の周囲は日中でも薄暗い。ただ、それはそれで趣がある。また、山中、本当にたまにポツンと立っている楓や紅葉が目に鮮やかで印象に残りました。そこで本編のように変えた次第。

 そして、一刀石の手前にあるのが天石立神社。その御神体は花崗岩の巨石。周囲には同じような巨石がゴロゴロ。嵐子が石から石へと跳び移りながら抜刀術の鍛錬をしていそうで楽しくなりました。実際、その辺りは柳生の剣士たちの鍛錬の場であったそうです。

 私のイメージとしては、物語の時代、太平の世となってすでに百年、柳生の剣術も将軍家御家流としてすっかり洗練され、鍛錬の場も山野より道場が中心に。そんな中、一人野性的な嵐子は異端視されていただろうな、というもの。

 柳生を訪れた際は、陣屋跡、一刀石・天石立神社、芳徳禅寺・柳生家墓所、旧家老屋敷などを見て回りましたが、とにかく柳生の里そのものの雰囲気が素敵でした。ひょっこり柳生十兵衛が出てきそう。そしてその祖父、「剣聖」とまで呼ばれる石舟斎も、国人領主としては大勢力のはざ間で何度も辛酸をなめています。こんな山奥の小さな領地を守るために・・・。本当に歴史ファンにはたまらない場所だと思います。
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