第15話 友達に会いたい

文字数 767文字

 家出から帰ると、怒られたことは怒られた。でも私の笑顔に誰も文句を言うことは無かった。
 私は一人で出かけたあの野球場を大人になった今でも忘れられないし、絶対忘れることはない。それは絶対だ。
 人生で初めて、外は輝く宝石だと知ったし、人生で久々に心を許せる友達が出来た。
 そして、私は外で働いてみたいと強く思うようになった。だって、お金が無かったから。

 だって、またあの友達に会いたかったから。

 そして、一緒に野球を見たい。そう思った。

 お金が無ければその願いはかなわない。

 だから私は出来事を正直に主治医に話した。すると主治医はある提案をしたてくれた。
「デイケアに通ってみましょう。それと就労支援施設を利用してみましょう」
 私は主治医に「アルバイトがしたい」と言ったら、「すぐにアルバイトをするのは負担があるからアルバイトで働くために、練習をしてみよう」とのことだった。
 だから、私はデイケアと就労支援施設に通うことにした。

 私は半年以上デイケアと就労支援施設で過ごした。平日は毎日頑張って通った。毎日どこかへ通ったことのない私は、ここで毎日日中にしっかりと活動することが出来始めた。その為、大きく体力が付いた。
 そして、施設の仲間や職員の方にもめぐまれた。みんな優しくて、兄や姉のように接してくれた。家族意外と暫く話すことがあまりなかった自分は、ここで人と触れ合い温かさを知った。それが自信にもつながった。
 デイケアでも就労支援施設でも様々な状況の人がいた。私のように精神疾患で悩んでいる人も、うつ病などで辛いと嘆いている人もいた。でも、みんな一生懸命前に進もうと頑張っていた。だから、私も頑張れた。みんなのことを応援していると、みんなも私を応援してくれた。

 そして、体力が付き人との関わりを学び、自信が付いた私はアルバイトを始めた。
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