文字数 571文字



 女が仕掛ける罠。男が仕掛ける罠。  

 罠は、どちらの場合でも目の前でそれが起こっているのが見破られてしまうものには魅力はない。  罠は、周到な事案でなければならない。  
 一定の事が済んだ後で、「あれは罠だったんだな」と振り返らせてくれる。その気付きがやってきてくれた時、罠は仕掛けられた者の歓びの度合いが、仕掛け人である者よりも高いことに気づく事ができる。(少なくとも、私はそうだ。)  
 罠は、駆け引きとは異なる。私は、駆け引きという行為、言葉も好きではない。  
 罠には、愛がなければならない。  
 駆け引きには、愛よりもエゴが優先される。  
 さて、あなたの目の前に現れてくれた魅力ある対象者は、罠が似合う人なのか、駆け引きが相応しい人なのか。あなたの懐刀は、どちらを選択するだろう。
「そのどちらでもないよ。真正面から正直に向き合っていけばいいじゃないか。」  
 瞬時にそう返してくれる輩、きっと沢山いるだろう。  
 それはそれで正しい。  
 ただ、それだけが己の懐刀では、何とも味気がないと感じてしまうという思いが、自分の思考回路の真ん中に鎮座してしまっている。  

 私の何が欲しかったんだい?私に罠を掛けてくれたなんて、嬉しいじゃないか。    

 そう思わせてくれる対象者に出会えたなら幸せだ。私は、自信高くそう言い切れる。
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