第8話:太陽光発電と国の政策終了後ドイツに抜かれる

文字数 1,700文字

 この宮下工務店とのタイアップによる説明会に山倉光男が出て行き、加藤機械のセールスマンを山梨県内の宮下工務店の展示場4ヶ所に2人ずつ、貼り付け、相談会に参加させた。

 すると、この時期、ネットバブルの最盛期で株で儲けた人達が、太陽光発電パネルとソーラ・システム付きの住宅の販売が増えてきて、特に売電による収入、ローンを借りての売電のメリットを十分に説明していた。

 また、モデル住宅での太陽光発電や、床暖房のテストも土日には、開いて、お客さんを取り込む活動を接客的に続けた。NEDO新エネルギー・産業技術総合開発機構はニューサンシャイン計画策定時に新エネルギー開発推進のために発足。

 さらにNEDOが、太陽光発電技術の開発や利用促進について、現在でも中心的な役割を果たした。NEDOは、太陽光発電の普及をさらに進めるためには技術面でのさらなる発展が必要であると考えていた。

 そのため太陽電池のモジュール効率や寿命の向上、またモジュールや蓄電池などの製造コスト低減に関して具体的な数値目標を提示しています。そのためには広く開発能力やアイディアを公募することが有効であると考えた。

 そして「革新的次世代太陽光発電システム技術研究開発」の公募を開始しました。「革新的次世代太陽光発電システム技術研究開発」の公募制度は、これまでの概念にとわられない発想やアイディアで、コスト低減と性能向上を目指した。

 そのためNEDOが掲げる数値目標を達成しうる研究機関に対しては委託研究の形で研究費を負担するという制度。これは、現在太陽電池や太陽光発電の分野において世界をリードしている日本が、さらに今後も世界をリードすための政策。

 これが、国家戦略であり2002年にRPS法が成立。日本語では、再生可能エネルギー利用割合基準。電機を供給する電気事業者に対し需要家に供給・販売している電力量の一定割合を新エネルギーで発電された電力でまかなうという基準を定め義務づける制度。

 つまり、これ迄のような火力や原子力などの資源に依存していた発電だけでなく、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーによる発電を一定割合以上含んでいなければならないということ。

 RPSの基準をクリアするためには、電気事業者は自ら太陽光発電所や風力発電所を設置して一定割合以上の電力作る。そうした再生可能エネルギーで発電量を得るという方法が考えられた。

 また一方で系統連系という方法を用い各家庭に設置された太陽光発電システムからの余剰電力を購入も可能となる。結果としてRPSは電気事業者及び各家庭において太陽光発電などの再生可能エネルギー発電を促進する効果が期待できる。

 2007年の日本の太陽光発電の現状はサンシャイン計画やニューサンシャイン計画などの成功により、日本は世界に先駆けて太陽光発電システムを順調に開発し、導入してきた。

 当初は、石油の代替エネルギーとしてエネルギーの安定供給を目的としたものだったが、地球規模での二酸化炭素削減やクリーンエネルギーへの需要が高まった結果、日本の持つ太陽光発電技術が大きく注目された。

 積極的な研究開発、そして普及促進のための助成制度などが功を奏し太陽光発電分野において日本は生産量、設置数ともに世界一の地位を守り続けた。ところが、その地位に異変が生じた。

 太陽光発電システムの生産量こそ日本が依然として首位を守っていますが設置数においてはドイツが日本を追い越した。ドイツと言えば欧州最大の経済大国で、なおかつ早い時期から環境問題への意識が非常に高い国として知られている。

 ドイツは、お国柄通り太陽光発電を再生可能エネルギーの中核となるエネルギーとして積極的に導入し、遂には日本を追い抜くほどの普及を果たした。一方の日本では、国の助成制度が終了した。

 これにより設置数の伸びがマイナスに転じるなど普及促進に課題を残している。設置数世界一のドイツで稼動している太陽光発電システムのほとんどは日本製。環境先進国であるドイツにも認められている日本の太陽光発電システムを自国でも更に普及させるための施策が待たれる。
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