あぶれた言葉達

文字数 1,311文字

 




【本編で掲載していないものの、確実に行われたやりとり】



【2006年1月某日】鮫島勤×草進真琴
「・・・・・・は? え、お前キスもまだって冗談だろ? カレンダー見てみろ。もう2006年だぞ。あれからもう一年経ってんだよ! 
 どうりでいつまで経っても呼ばれないワケだ。三四歩以上手前じゃねぇか・・・・・・。とっくに裏でよろしくやってるもんかと思ってた。
 ・・・・・・いや、もう、何ていうかね、控えめに言ってドン引いてる。え、お前自分にどんだけ価値あると思ってんの? アイツの方がよっぽどかわいそうだよ。
 いい、いい。何かもう全部失せた。俺から頼むわ。アイツのこと、ホントに大事にしたげて。どんだけ頑張っても俺にはマネできないわ。降参しまーす」
 真琴は鮫島の言うことには素直に従った。幸か不幸かそれが男にとってネックとなった。嫌がってくれた方が強引に行きやすい分、攻めきれない。タイムリミットの方が早かった。
 複数受けていた医大、最後に合格通知の届いた県外の大学に進学を決める。
「じゃあな」


【2007年8月19日】火州飛鳥
「・・・・・・たまに思う。俺よりアイツの方がずっと幸せにできるんじゃないかって。医者になるんだと。どんだけの頭がいるか分からんが、どうあっても食いっぱぐれることはねぇだろ」


(2009年12月上旬)志堂槙
「・・・・・・ナツは無理強いはしないさ。あの子自身がそれで苦しめられてる。同じ思いは絶対させない。大切である程、きっと、護る」


【2007年某日】志堂槙
「知的好奇心、探究心が開花するのは、どんな時だと思いますか?
 答えは愛情で満たされた時です。あの子は今、来てる。邪魔をしないで下さい。私は講師だ。あの子の勉学を守る義務がある。


【2009年7月20日】多須真梨×草進真琴
「彼氏さん、サメジマくんと仲いいの?」
「どちら様ですか?」
「以前、父がお世話になったことがあるの。あなた、静岡の子よね?」
「・・・・・・」
「・・・・・・警戒されるってコトは近しいのね。それが分かっただけで充分だわ」


【2010年3月末】多須真梨
 真梨にとって間接の間接でも、鮫島につながるナツの存在を知った時から、祈り、その幸せを信じること、彼の幸せを願うことも償いの一つだった。
「私にも燃やせるものがある。槙ほど上質な素材じゃなくても」
「梨」の字。確かにその破片はあった。



【2010年某日】志堂槙×草進真琴
「まっすぐで、本当にどこまでも純粋で、心はさながら蝉を追っかけ回す子供のままだ。だから、大事にして欲しい。やさしくして欲しい。あの子の自主性を尊重して欲しい。本当に欲しいと望んだとき、存分に与えてあげて欲しい。甘えることを許して欲しい。あの子は」
「分かります」
「あの子は、本当に、繊細なんだ」
「分かりますよ。飛鳥さんはいつも怯えていました。私よりずっと」


【2010年5月】水彩透×江角恒星
【たまる】(奈良時代、古事記~)モノが集まって一カ所に多くなる。
 鎌倉時代~会いたい感情を心に集めて置くことができないくらい我慢できない「会いたくて――らない」

「・・・・・・。・・・・・・いや、たまるぜ? 『あの人』に聞いてみろよ」
「最低」







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