あぶれた1話、志堂とナツ②【2007年6月某日、志堂回想】
文字数 495文字
【本編で掲載していないけれど、確実に行われたやりとり】
「なぁ」
「何ですか?」
「あー続けたままでいい」
志堂が手を止めて顔を上げるとそう言った。両膝の上にのせた肘。その指先を組む。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・。・・・・・・何ですか?」
何が「続けたままでいい」だ。気になってそれどころじゃない。用があるならさっさと言って欲しい。
「いや、別に大したことじゃないんだが」
尚もためらった後、ナツは指先を見つめながら、小さな小さな声で言った。
「・・・・・・。・・・・・・頭ポンポンして欲しい、って」
「・・・・・・。・・・・・・何ですって?」
「何でもねぇ」
言いながら、いつも通り窮屈なソファにごろんと横になる。顔は向こう。とてもじゃないが見せられないのだろう。
彼女に言われたに違いない。うれしくてたまらなかった。うれしくてうれしくて、誰かに話さずにはいられなかった。うまく装飾ができないナツは、出来事をそのまま差し出す。だから、噛めば素材本来の甘みがにじむ。
真っ赤な耳。ナツはかわいい。
志堂は口元が緩むのを抑えきれず「何? 詳しく」と言った。
「なぁ」
「何ですか?」
「あー続けたままでいい」
志堂が手を止めて顔を上げるとそう言った。両膝の上にのせた肘。その指先を組む。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・。・・・・・・何ですか?」
何が「続けたままでいい」だ。気になってそれどころじゃない。用があるならさっさと言って欲しい。
「いや、別に大したことじゃないんだが」
尚もためらった後、ナツは指先を見つめながら、小さな小さな声で言った。
「・・・・・・。・・・・・・頭ポンポンして欲しい、って」
「・・・・・・。・・・・・・何ですって?」
「何でもねぇ」
言いながら、いつも通り窮屈なソファにごろんと横になる。顔は向こう。とてもじゃないが見せられないのだろう。
彼女に言われたに違いない。うれしくてたまらなかった。うれしくてうれしくて、誰かに話さずにはいられなかった。うまく装飾ができないナツは、出来事をそのまま差し出す。だから、噛めば素材本来の甘みがにじむ。
真っ赤な耳。ナツはかわいい。
志堂は口元が緩むのを抑えきれず「何? 詳しく」と言った。