エピローグ

文字数 540文字

 伊月ちゃんを殺害した谷口弘は、亜由美さんの通報によって警察に逮捕された。

 そして恋人を失った僕は、会社に出られなくなるほど心を病んでいた。だけど亜由美さんがお見舞いに訪れるようになってから、僕の心は少しずつ癒やされていった。

 亜由美さんもあの事件で親友と恋人を一度に失った被害者だった。でも彼女は自分を省みず、献身的に僕と接してくれたことが何よりも嬉しかった。

 半年ほどで社会復帰した僕は、やがて亜由美さんと付き合うことになった。そして今なら、伊月ちゃんや谷口がそこまでして亜由美さんを独占しようとした理由が理解できた。

 亜由美さんは天使だ。伊月ちゃんでも及ばない魅力が彼女にはあった。だから亜由美さんに近づく虫けらどもは、恋人である僕が駆除するしかない。

 そういえば最近、亜由美さんは小学校時代の同窓生に再会して、しつこく言い寄られたとぼやいていた。宮田という名前の男で、小学生の時から彼女のことが好きだったらしい。

 だが言うまでもなく、亜由美さんは僕の物だ。邪魔物はこの手で地獄に落としてやらなければならない。

 場所はどこでもいい。ビルの屋上でも崖の上でも。

 もしくは亜由美さんが張り巡らせた、蜘蛛の巣からであっても。





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