第7話 弁解したとて

文字数 4,209文字

しばらく時間が経ち、目を開いた。

とりあえず爺姿に戻ってっと。

爺「さてと…ムイを探しに行って弁解しないとな」

この死体を持ってって…いやいや街中でこれを引きずるのはやべーし。アイテムボックスに死体を入れる趣味なんかないし。

まっ放置でいっか。見られたらそん時はそん時。とりあえず今は考える時間なんてないしな。すぐにムイを追っかけないと。

そうしてムイが走った方向へとかけていった。


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困ったな〜。どこにいるんだ。

これを使うのはムイに申し訳ないけど緊急時代だしな。

爺「スキル発動!柔軟な嗅覚!」

ムイに匂いは…あの宿と同じ匂いがするこれか。うっなんだこのふざけた匂いは。嗅覚が良すぎるのも良くないねー。

さあてムイの方向へと追いかけるか。

そしてムイの方向へ行くと走っているムイと近くにラツカさんもいた。

まずいまずい報告されたらまずい。

そう思ったために一気にムイに近づいた。全速力で他の人から突風と思われるほどの速さで!

はっ!

ム「あっラツカさん!聞いてモゴゴ」

なんとか口を抑えれた。

爺「いやーラツカさんなんでもないですよ。ちゃんとそれについては解決しましたので」

ラ「?よくわかりませんけどわかりました」 

ア「それってどっちなんですか...」

爺「いやー助かります。じゃ」

ムイを抑ええながらラツカとアサハカと離れていった。

爺「あっラツカさん、後で話したいことがあるのでえっと...ファルンに来てください。奢りますので」

ラ「おっまじか!?じゃあお言葉に甘えてもらおう」

ア「やったー!これで夕飯が豪華だ」

そしてムイも手を上に上げて喜んでいる。

お前はさっき昼飯で食っただろ。まあ美味しいから2回連続でもというかメニュー変えれば全然いけるか。

ファルンの話を聞いたのか先ほどまで暴れていたムイが落ち着いたため運びやすくなったため結果的に良し、と考えてムイを路地裏に連れて行った。


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ム「ぷはぁ!まったくなんなんですか急に抑えてきて。というかさっきのあれは一体なんなんですか」

爺「あれはだなあ...」

ム「今思うとフードの男が私を襲ってきた感じがしたんですよね。でもそれを阻止した男の方がなんかめちゃくちゃかっこよかったです」

なんか思い出しながら惚気れているところ悪いがその男はここにいる。

爺「あれに関してはだなあ、フードの男を誘い込む作戦だったんだが別のやつが勝手に動いてしまって」

ム「それに関してなんでもいいですけど、その方はどこへ行ったかわかります?」

こいつあんなやばいことがあったのにどうでもいいとか思っているのか。こいつの将来が心配だがまあ今回は助かるしいいや。

爺「いやーなんかラツカに報告せよって言われてどっかに行ってしまったぞ」

ム「へー?じゃあラツカさんに会えばもしかしたら会えるのかな?でも私的にはラツカさんも捨てがたい...どっちを狙おうかしら」

ムイは綺麗だけどこんな思考なら結婚なんてできねえな。

爺「まあとりあえず夜飯の時は空けておいてな?」

別に一緒に居なくてもいいけど、そこでまとめて口封じしとくのが一番楽だしな。

ム「いやー今日は本当に最高な一日だわ。カルゼルと会ってからいいことばかりね」

昨日の『魔法を教えてください!』という謙虚な姿は果たしてどこへ...あっそうだ。死体片付けてねえから行かないと。

爺「とりあえずまた後でな。ちょっとやることがあるし」

ム「はーい」


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なんとか他の人に気づかれずに死体を片付けた。

死体は布に包んで入れておくか。

ではここからはお楽しみの遺品回収のお時間〜。昨日のお金を回収してっと。おっこの黒い液体はまさか!

ペロッ

これはせいさ...よくないよくない。うん。醤油だ。よし調味料ゲット!他にも味噌とか色々あるな。

というか米やら醤油やら他にも味噌とか色々元の世界合った物と同じもんが一箇所に集まっているのかな。他の異世界転生者が発明したのかな?

ま、後で神の使いさんにでも聞いてみるか。


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夜になり宿へ向かう。

爺「おーいムイ行くぞ」

ム「はーい、というわけで行ってきますね」

ムイのお母さん?「はいはい行ってらっしゃい」

また私とムイで一緒にファルンへ向かう。

爺「そう言えば聞きたいことがあるんだが、ムイは結婚か魔法を極めるどっちがいいんだ?」

ム「それはもちろん結婚に決まってるじゃないですか!」

爺「そうなのね」

ム「はい、私的には凄腕の魔法使いになればいい男が集まってくれるかなあと思ったので、ま、その前に結婚できればなんだっていいですけどね」

手をほっぺに押さえながらニヤニヤと妄想してるムイ。

爺「そう...」

この世界でも結婚は大変だな。そういやルルにもそんなこと言われてたけどガッツリ無視したな。ルルは他の人に切り替えできたのかなあ?

爺「まあ、ムイは綺麗だからなんとかなるんじゃない?」

ただラツカってなんか意味ありげな気がするんだよな。あいつを狙うのはきつそうだ。

ム「なんですか?急に。それになんでそんなこと急に聞いたんですか?もしかして私のこと狙ってます?」

爺「バカ言え、こんな老耄が狙うわけないだろうが」

ム「あはは、それもそうだね〜」

本当は老耄ではないんだけど。

すると、

?「ムイさん!どこへ行くんですか!」

急に男が声をかけてきた。

ム「え?何って食事をしに行くんですよ?」

?「この男は?」

ム「この方と一緒に出かけるんですよ?」

?「なぜですか!なぜ私とは一緒に食事と行かないんですか」

ム「いやー今からファルン行くんですよね」

すると男がこっちを向いてきて

?「貴様!蓄えがあるからこうやって高級料理店にムイさんと一緒に行くなんて。どうせ貴様もムイさんを狙っているんだろう?」

なんだこいつ。

?「お前見た目は紳士のように見えるが実際はムイさんと×××をしたいなど下心があるのだろうが!」

大声で下ネタを言うやばい男。

爺「貴様!て私をなんだと思っているんだ!そんな下心があるわけがないだろうが!」

よくわからん男にだけムイと一緒の分を怒鳴った。

面倒なやつと面倒なやつに絡まれながら移動したため、昼と比べてとても長く感じた。


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爺「まったく酷い目に遭った」

ム「あはは、なんでこんなに絡まれんでしょうね」

なんとか着いたが、先ほどの男を振り払った後にその後また二人から絡まれては同じことを言われる始末。

爺「なぜお前を好むやつはあんな変な奴らばっかりなんだ。ま、その当人も変なやつだけど...ボソッ」

ラ「あっカルゼルさーん!こちらです」

ア「おっなんだなんだ?さっきの女を連れて爺さんもやることやってんねー」

アサハカの話は置いといて、

爺「とりあえず入りましょうか」

店員は昼にも来たためか少し驚いていたが昼と同じように席に案内された。

爺「こっちで注文していいですか?」

ア「もちろん、爺さんの奢りだからなんだっていいですよ」

そういやアサハカもイケメンではあるけど...なんかこいつ雰囲気モテナイんだよな。

とりあえず注文をした。

爺「あっ話については食後でお願いします」

流石に飯中の話ではないしな。

ラ「ええ構いませんよ。それとそこの女性の方は?あっ名乗るならこちらからですね」

ム「ムイと申します。ラツカさんにアサハカさんは有名ですので結構ですよ」

随分とお淑やかな雰囲気に変わった。

猫被りか。

ア「ムイさんはさあ」

アサハカの目がムイを狙ってるような気がする。

アサハカ→ムイ→ラツカか。

そんなわけで食事中はこの三人が話してて盛り上がっていた。そんな私は隣でグウェルゴンというよくわからん生態の肉を食った。

美味い。

そんなわけであっという間に食後に入った。

爺「さてさてそろそろいいですかな?」

ア「あっすまんすまん。カルゼルが招待してくださったのに俺らだけでお話しをして」

爺「まあそう長い話でもないしそんなに気にしないでくださいな。そうそうそれとムイは…まあ居てもいいか」

ム「?」

カ「で、どうされたんですか?」

爺「実はですね、この度ここいらで事件が勃発していたじゃないですか」

カ「あーはい誘拐の件ですね」

爺「それの犯人を見つけて殺したのでその報告をと」

ア「何!?」

ラ「おーそうなんですか!それはありがたいことですね」

ム「殺したんですか。もしかしてあのフードの人が?」

爺「そうそう、その人」

ラ「ん?ムイさんも現場に居たんですか?」

急にラツカの声が怖くなる。

爺「いやーそのそれはたまたまでして」

ム「いやいや、カルゼルにここに居てって言われたんです。あの時は本当に怖かったですね」

ラ「カールーゼールーさーん?」

その後めちゃくちゃ説教された。


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ラ「とにかく、一市民にこんな酷いこと絶対に危険ですのでやめてくださいね!」

ひどく怒られた。まあ確かに悪いことをしたっちゃしたんだけどさ、食事ご馳走したんだし殺させるつもりはなかったんだから、少しぐらい立っててもらったって。

ラ「なんだか反省の色が見えませんね」

爺「いえいえ、私カルゼル猛烈に反省しております」

ラ「まあ、二回目がないならいいんですよ」

うーん。多分またどっかでするな。というかさ

ム「ラツカさんが私のために怒ってくれてる…!」

こんな呑気なやつだしいいだろ。

ア「あっそうだ。爺さんよ。その殺したやつはどこにいるんだ?」

爺「それなら、布に包んだので後でお渡ししますよ」

ア「あーそれならわかった。へいへい」

ラ「ん?ちょっと待ってください」

爺「なんですか?」

ラ「つまりその人を殺したっていうことは拉致された人は今は」

あっ

ラ「放置されてるってことですよね!」

誰もお世話する人がいないのか。

ラ「もう早く言ってくださいよ!ほらアサハカ周辺を探しますよ」

ア「何で周辺なんですか?」

ラ「ここ事件が連発して同じ人の犯行ってことはそんなに遠くはないはずだから。私はパスカラ様に報告して動ける人を増員してくるのでアサハカは近くの冒険者ギルドに行って緊急クエストを!」

ア「あっはい。またねムイちゃん」

ム「ええ、お二人とも頑張ってくださいね」

そうして二人は出ていった。

ム「じゃあ私たちも宿に戻りますか」

爺「…」

ム「カルゼル?」

爺「いやちょっと野暮用ができた。先に戻っててくれ」

ム「…?そう、わかった」

ムイと別れて少し歩き月を眺めた。

爺「こんな満月の日にできるとは」

路地に入り魔王になり空を飛んだ。

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登場人物紹介

主人公 シュテル・シャルロット

この世界の魔王。

前世では会社を一代で築き上げて世界資産ランク100に入るほどのお金持ち。

人間の嫌なところばかり見てきた故か洞察力だけは異常に高い。

この世界では約800年を費やして人間・魔人大戦を終わらしてその後は魔王として魔族領の復興、生産力などを高めた。

その後は暗躍者として活躍するために世界に旅に出る。

ちょっとだけ頭おかしい

魔王の秘書 ルル

シュテル・シャルロットに1000年以上支えてきた秘書。

魔王を敬愛しているために魔王を辞めたと言われた時はどんな手を使っても捕まようとするヤンデレタイプ。でも根は優しい。

魔王体制崩壊後の臨時で一番偉い立場に就く。

(もちろん強制)

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