第5話 糸目の男

文字数 3,140文字

モヤモヤしながらてきとうにこの街に住んでいる人たちに聞き込みをした。

とりあえずどこに出るかとか特徴とかないといけんしな。

爺「すいません。ちょっとお尋ねよろしいでしょうか?」

村人1「はーい?どうしたんですか?」

爺「最近、ここらで事件というか誘拐についての情報が欲しくてですね」

村人1「ひぇー!!」

そう言いながらどこかへと行ってしまった。

どうしたんだ?急に。

仕方がないので他の村人に声をかけると

村2「あー確かに最近多いですよね」

爺「ええ、それに少し興味があるので」

村2「そうですねえ。子供が基本的に攫われて、あとは目撃者がいたらその人も拉致されたり殺されたりもしてますね。昼も夜も関係なく人攫いが行われることが多いですね」

爺「ありがとうございます」

さっきの兵士から聞いた情報とほぼ同じだった。

ただ拉致した人は殺人も起きてるのか。なんであの人たちそんな怖いこと教えてくれないんだ。

他の人たちにも聞いてみたが、みんな似たり寄ったりな情報だった。

今日は冒険者ギルドやら聞き込みをしたせいで結構いい時間になったな。

おっこの宿良さげだな。

ふらっと入るとここの宿の娘さんらしき人が立っていた。

おおなんだか魔力が高いな。

爺「お嬢さん、ちょっと泊めさせてもらいたいんですが」

宿の娘?「はい、まだ空いておりますので構いま...せんよ」

なんか今一瞬間が合ったような気もしなくはないが。

いやなんかずっとこっちを見てくるな。

娘?「...では8番室をどうぞ」

爺「...どうも?」

なんだかぎこちない雰囲気になってしまったが部屋へ向かった。

部屋に入るとベットと鏡がある普通の部屋だった。

爺「しかしさっきの娘は一体なんだったんだ。魔力が異様に高かったし私が凄腕と気づいたのかな?」

ま、どうでもいいか。さてじゃあ飯でも食いに行くか。

そんなことを思いながらこの宿を出た。出る時にまた見られていたような気もしたが無視して進んだ。

さっき美味しそうな食堂を見つけたんだよなー。

そこを覗いて見るとそこそこ繁盛しているが昼間ほどは盛り上がってはいずに落ち着いていた。

主に昼って感じかな?珍しい。

まあ主が昼だろうが夜だろうが別に入るけど。

すると色々とメニューがあった。

爺「何にしようかまようのお」

ロックバードにジャイアントオーガ、イベコブタ...うわっタレも選べるのか。

どのタレも非常に合いそうだな。

爺「米さえあればなあ」

この世界にはメンや米なんて物はなくほとんどがパンだ。なんかどっかの遠い地域なら米とかパンとかあっちの世界の食糧が多いとか伝えられていたからそこに行けば食えるんだろうけど。

異世界人が建国てしたのかな?

爺「ただいかんせん遠いしなあ。まあのんびりそこへ向かってみるか」

そんなこと思い注文をしようとしたら

?「米ならありますよ」

肩を叩かれながらそんなことを言われた。

振り向くと糸目の顔にどこか謎めいていて服装は緑色を基調とした自然に住んでいそうないかにもな旅人服装だった。

爺「なっなっ」

?「ふふっ、そんなに嬉しいんですか?」

米があることに驚いてるいると勘違いしている謎の男。

爺「ってなんですか?急に」

?「なんだか米って言葉が聞こえたので話しかけたんですよ。これ見てくださいよ」

そう言われてアイテムボックスから米を取り出す男。

爺「ほう、こりゃまた珍しいものを持っておりますな」

?「これは商売道具なんですよ。知る人には知る一品ですので。特にこっちの遠いところで売れば高値ですし」

爺「ほう、わざわざそれを言うってことは取り引きですかな?」

?「ええ、こういうのは本題から入っていかないと何も進みませんしね」

爺「まあ私は今から夕飯なんだ。あんたは食ったか?」

?「いえ、私も今からですよ」

爺「ついでに奢ってやる。その時に色々と決めようじゃないか」

?「それでは食事はご馳走になります」

そして番号札を二人は貰い同じ席に着いた。

爺「っとまずは自己紹介からだったな。私はカルゼルだ。ただの陽気な旅人だよ」

?「私はマルタタです。私も旅人ではありますがそれでは生きていけませんのでまあ商人と言ったほうが正しいですかね」

爺「ま、人生において金とは絶対的に関わらなくちゃいけないしな。まあいい。それで米のほうだが」

マ「そうですねえ、いくらで売りましょうか」 

爺「ま、食べ終わるまでには決めてくれ」

にしてもこのロックバードは美味い。口の中に広がる辛いソースが肉とうまく絡み合ってる。それに臭みとかも一切なくただただ肉の香ばしさが口の中に入ってこりゃ最高だ。

マ「随分と美味しそうに食べますね」

爺「そんなに顔に出ておったか?」

マ「ええ、まあ良いことですよ。って!食べるの早いですね」

私のお皿にはもう空になってない。魔王に食事なんていらないからな。こんなもんただの味を楽しむだけだ。書き込む作業と変わらん。

爺「まあまあ私の食べるスピードになんて合わせんでええぞ」

マ「そうそう、それと最近この辺で人攫い飽きているんですよね」

爺「あーそれについては私も聞いたぞ」

マ「なんでもまた近いうちに人攫いが起きるとかなんとか」

爺「まじか」

マ「流石にどこでわかるは分かりませんけど、まあおそらくラツカさんの近くで事件が頻発しているので近くに居るのは怖がれる的なことがあるそうで」

ほーん?それは良いことを聞いちまったなあ。

マ「あっでは米1kgで35000ゴールドでどうでしょうか」

あっちの世界で何倍だ。まあでも

爺「買った。成立。何キロある?」

マ「随分と即決だこと。ボソッもっと振ってもよかったな」

爺「なんか言ったか?」

マ「いえいえ、50キロまではお売りいたしますよ」

私はアイテムボックスからお金、200万ゴールドを取り出して、

爺「ほらよ。そこに200万ある。釣りはとっておけ」

マ「ふーむ確かに200万ありそうですね。確認しなくて良さそうです」

爺「随分とてきとうなやつだな。そんなんで商売上手くいくのか?」

マ「あっはっは、大雑把なほうがいいんですよ」

爺「まあ有意義な一日になった。ありがとうな」

そうして席を立とうとした瞬間。

村1「ラツカさーん!あの人です。あの爺さんが事件について色々と聞いてきたんです」

昼間に話しをしようとしていて逃げられた人が私のほうに指を刺してきた。

ラ「あっ、あなたは」

ア「なんであんたがここに」

爺「いやあ」



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ラ「まったく、カルゼルさんを疑う気はないがそういった調査についてはあんまりやらないでくれよ。最近口封じのためにそういったやつらが居てもおかしくないんだから」

爺「申し訳ない...」

でも他の人たちは平気で喋っていたけど大丈夫かな?

ラ「まあ応援してくれたのは嬉しいのですけど、あなたは一応他の人からしてみれば少し異質な方なんですから」

ア「まさか、爺さんが手伝ってくれるとはなあ」

爺「あはは...」

ラ「そういえばさっきまで誰と話していたんです?」

ア「いやいやラツカさん、そういった個人の事情っぽいことについてのお探りはおやめになった方が」

ラ「それもそうだったな。いやーちょっとあの男が気になってしまって申し訳ない」

爺「あーいや別にあの人はただの商売人でちょっと色々も買っていただけですので」

ラ「とりあえず我々は引き続き調査をしますので」

爺「頑張ってください」

そうしてラツカさんとアサハカさんはどっかに行った。そういえばマルタタも気がついたらどっかに行ってたな。まあいいや。

私もここを出て宿に向かった。

娘?「あっどうも」

爺「はい、どうも」

受け付けを素通りしようとしたら

娘?「あの!すいません」

ここの娘さんらしき人が話しかけてきた。

爺「なんでしょうか」

娘?「その...私に魔法を教えてくれないでしょうか!」
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登場人物紹介

主人公 シュテル・シャルロット

この世界の魔王。

前世では会社を一代で築き上げて世界資産ランク100に入るほどのお金持ち。

人間の嫌なところばかり見てきた故か洞察力だけは異常に高い。

この世界では約800年を費やして人間・魔人大戦を終わらしてその後は魔王として魔族領の復興、生産力などを高めた。

その後は暗躍者として活躍するために世界に旅に出る。

ちょっとだけ頭おかしい

魔王の秘書 ルル

シュテル・シャルロットに1000年以上支えてきた秘書。

魔王を敬愛しているために魔王を辞めたと言われた時はどんな手を使っても捕まようとするヤンデレタイプ。でも根は優しい。

魔王体制崩壊後の臨時で一番偉い立場に就く。

(もちろん強制)

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