第20話:民主党が半減、中国の大気汚染

文字数 1,789文字

 しかし山根一郎も民主党の応援のために毎日、選挙運動していると民主党に対し期待を裏切られたとか、何もしてくれなかったじゃないかという、想像以上の国民の意見の強さに驚かされた。選挙の結果、野党第一党の自由民主党は、294議席「改選前119議席」を獲得し、単独で、絶対安定多数269議席」を確保する大勝で第一党に返り咲いた。

 また、公明党の31議席と合わせて衆議院再可決が可能となる3分の2を超える325議席を獲得し政権を奪還した。一方、与党民主党は、改選前の230議席の4分の1、前回衆院選の308議席からは、5分の1以下に留まる57議席しか獲得できず、藤村修内閣官房長官をはじめ樽床伸二総務大臣、城島光力財務大臣、田中眞紀子文部科学大臣ら現職閣僚8人「国民新党からの閣僚も含む」が落選。

 まさに壊滅的な大敗となった。現職の内閣官房長官が落選した選挙は過去に例がなく、現職閣僚の落選人数についても現憲法下でそれまで最多であった1976年の第34回総選挙、1983年の第37回総選挙での3人をはるかに上回なった。各省庁でも23人の副大臣、大臣政務官が落選し記録的な数字となった。

 その他、菅直人前内閣総理大臣、横路孝弘前衆議院議長、海江田万里元経済産業大臣、原口一博元総務大臣ら有力候補も小選挙区で落選。比例区で復活当選。内閣総理大臣経験者と直近の元衆議院議長の比例区での復活は現行の小選挙区比例代表並立制が導入されて以降初。議席数は、1998年の結党以来最少になった。

 また、民主党の参議院議員の数「88人」より少なくなった。野田首相は「最大の責任は、私にあります」と即日党代表の辞任を表明。選挙での動向が注目されていたいわゆる第3勢力では、日本維新の会が54議席「改選前11議席」、みんなの党が18議席「改選前8議席」と大幅に躍進する一方、民主党離党者が多数参加した日本未来の党は9議席「改選前61議席」と惨敗。

 第3勢力の中心となった日本維新の会とみんなの党は、一部で選挙協力を行ったが、28の選挙区では競合し、東京2区・東京5区・東京6区・長野3区の4選挙区では、日本維新の会公認候補とみんなの党公認候補の得票数の合計では当選した他党公認候補の得票数を上回るにもかかわらず共倒れする結果となった。

 また、これら第3勢力に埋没する形で国民新党、新党大地、日本共産党、社会民主党なども議席を減らし、おおむね左派・中道左派政党の敗北が目立つ結果となった。この結果、2012年12月26日の第182回、国会において第2次安倍内閣「自公連立政権」が発足。2009年9月に発足した民主党を中心とする政権は、1期、3年3カ月で幕を閉じた。

 この結果を知って山根一郎は、秘書をしていた大物議員に一身上の都合で、秘書を辞めますと言い、新宿の官舎を出て来た。自宅に帰ってきて、父、山根勤一に事情を打ち明けて、若いが投資と社会活動をして社会に貢献していくと宣言した。それに対して、山根勤一が、了解したと答えた。ところで、何をするのかと聞かれ、慈善事業、NPO活動をしたいと答えた。

 2013年1月16日、アルジェリア南東部イナメナスの天然ガス関連施設をイスラム武装勢力が襲撃、日本人を含む多数が人質にされた。アルジェリア軍が17日、施設内に突入、武装ヘリコプターも投入して犯行グループの32人を殺害したが、人質も巻き添えになり、外国人39人が死亡した。日本人の犠牲者はプラント建設大手「日揮」の10人で、国籍別では最も多かった。

 事件は、北アフリカの国際テロ組織、イスラム・マグレブ諸国のアルカイダから離脱したベルモフタール司令官率いる過激派「覆面旅団」が実行した。その背景には、アルジェリア政府と過激派の長年の対立に加え、この地域で誘拐がテロ組織のビジネスになっている問題もある。公害問題では、中国の大気汚染が深刻化し、白いスモッグの中をマスク姿の市民が歩く光景が各地で頻繁に見られた。

 その原因は、車の排ガスや石炭燃焼から発生する微小粒子状物質「PM2.5」であった。暖房に石炭を多用する冬場は特に汚染が広がり、中国の大気汚染指数、6段階で最悪の「深刻な汚染」が連日のように記録された。中国政府は自動車の規制や石炭の使用制限といった対策を打ち出しているが、抜本的な解決の見通しは立っていない。
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