第4話
文字数 3,327文字
“ それを一番よく理解しているのは風馬自身であろう ”
(桜花)
「 …─── あの子の人生をこんな形で縛り付けてしまった。将来の生活ができると言ってもいつ死ぬやも知れぬ与えられた命令には異議も許されない監視下に置かれてゆくこれからの生き方では、あの子の願うものとは持たせてやれないのか… 。」
重い表情に桜は首を横に振った。
(桜)
「 ……あなた… 先代様もみんな、あぁは仰っていたけれど… 私達があの子に手を差し伸べたことは何も間違ってなどいません。」
「 風馬は、…あの子は誰が何と言おうと私達の大事な子です。」
あの時、
自ら命を絶とうとし本当の父親の罪を、全てあの子が背負ってしまったものを今度は私達が、
「 責任を持っていつか、本当の安寧を築ける時代を実現させてあげることが私たち親のしてあげられる事だと思っています。」
(桜)
「 風太と何も変わりません。里の子達もみんな同じ愛情を受け、血で推し量る事などあっていい筈がありません。」
「 あなたの風馬への思う気持ちは、あの時..名を与えたあの子にそれを証明したではありませんか。」
“ 今はまだ歴史の血は…この子達兄弟、異なる家族である絆がいつの日かきっと ”
「 風人である事や和国を成立させる朝廷との争いの傷跡が癒える日が来ると、私は子供達を信じています。」
(桜)「 何があっても貴方ならきっとみなも分かってくれているはずです。」
(桜花)
「 ────.. そう 偽りの無いお前の言葉だから…… 」
何があってもこれまでずっと信じていられた。
“ ありがとう、桜…。”
(風馬)「 ……。」
(偶然居合わせ二人の話を聞いていた)
“ 父上…”
“ 母上……。”
「 ────..。」
(強く何かを決意する)
(先代)「 よいな、風馬。」
(風馬)
「 心得ております。……、」
“ … あにうえ ”
(寂しそうな風太)
“ またおやくめにいっちゃうの…? ”
(風馬)「 …… 風太 . . 」
しばらくしたら、
すぐに帰ってくるから・・。
“ 父上と母上を 困らせちゃだめだぞ ”
(風馬)
「 ッ!」
──────────…。
(体の震えを抑え込む腕がギュッと締まる)
うなされ、体中冷や汗がふつふつと顔の皮膚から浮き出てくる。
意識は起きていた。
だが、風馬自身が今見ている夢は現実に覚めている感覚が無い見えない何かに苦しめられているようなそんな感じだった。
……………………、
(足音)
ヒタ……・・、 ヒタ… ヒタ・・・。
“ 風馬…。”
(隙間風) ヒュルッ!
(障子)
「 カタカタ…ガタッ!」
“ 風馬… 。 ”
(風馬)「うぐ…っ!」
(風太)
「 ……、あにうえ?・・??? …………、」
パサッ、(ふすま布団)
(勇真)「 ふうにぃ? 」(勇真も起きてしまう)
“ 風馬… 。”
(風馬)「 ( 何で… どうして俺に付きまとう ) 」
“ お前は・・ ”
(闇の魔の手が襲いかかる)
「 !! 」
..ッ!
“ お前は誰だっ!? ”
──────────────────── ・ ・
闇が笑う。
(???)
“ 見つけたぞ 風馬 ”
(風馬)「!!?」
( はっと意識が覚める )
…。
(虫) 「リィィィィ…ン、リィィィ───・・。」
(風馬)
「 ………、」
「 ( …夢・・? ) 」
モゾモゾ…─────・・ 、
モゾ。
(風太) (背中から抱きつく)
「 ふうまにいちゃん。」
(風馬)「!」
(風太)「 ・・…… どうしたの? 」
…モゾ。
(勇真)「 …? 」
(向かい側からひょこっと顔を出す)
(勇真)
「 にぃ? 」
(風馬)「 風太、勇真… 」
………… ... 、
(風太)「 ───… ふうまにぃちゃん、どうしてふるえてるの? つめたい.. 。」
(風馬)
「 風太、…… 」
(勇真)「ぅんしょ・・、こわいゆめみたの? さむそう… ゆうのときもね、ふうにぃこうやってくれるんだよ、ほら。」
二人で前と後ろ。
幼い小さな弟達の体温に氷のような悪夢の闇に囚われていた体中の震えが風太と勇真の温もりによって風馬はようやく落ち着きを取り戻した。
(風馬)「 ……? 」
冷たい嫌な汗をかいていたはずの顔もいつのまにか火照っているのが分かる…。
目の前に勇真の純粋な寝顔と後ろには自分の背中に顔を埋めて心配しながら甘えているつもりの風太を感じながら 大丈夫だから。と起きようとしたが・・
(風馬)
「 風太、勇真、大丈夫。何でもないからお前たちの布団に… 」
(風太)「 ヤダ。今日はあにうえといっしょにいたい…。」
(勇真)「 あさね、さむいんだもん。でもふうまにぃちゃんといっしょならさむくないもん。」
(風馬)「 ……。」
起きように寝返りもうてない風馬だったが、二人の優しさを思うときつい体制でも風太と勇真を抱き寄せて寝るようにした。
(風馬)
「 …風太、勇真、・・・・ありがとな。」
(勇真)
「─スゥ..。───、…。」
(風太)「 ……… ・・・、」
「 うん。」
ギュ..ッ。
(やがて夜が明けてゆく)
────────────────…。
「 …チュン、チュンッ。」
「 … 」
(静かに開けられる障子)
(勇真)
「 …、…─────・・。」
朝の冷たい空気が外から流れこんだと同時に
風馬が部屋から出て行った気配がした。
─── トン..。
(風太)
「 …ん… ・・───…。う…ん、……風馬にいちゃん?」
「 あに・・・ …!?」
(勇真)
「 ───・・、 スゥ..。」
一緒になって寝ていた勇真と仲良く毛布がかけられているのに気付いた風太は気になって後を追うように起きてしまった。
「ガタガタ…ッ ガタ!」
(風太)
「 風馬にいちゃんっ 」
(風馬)
「 …? 風太、おはよう。まだ早いのにこんな時間に起きてこれたのか?」
(風太)「 うん、勇真は寝てる。……・・、・・・.. 、」
「クシュン! …。」
(風馬)
「 まだ寝てていい。勇真ももうすぐ時間まで起こそうって思ってたから 」
(風太)「 ううん、ぼくももうお兄ちゃんだから。これからは兄上といっしょに起きて勇真をおこさなきゃ。」
「 あさのおしごと、やるの!」
(風馬)
「 ──風太は偉いな。それじゃあ、俺は今から火を起こしてくるから、風太は勇真が起きたら寝床を片付けて廊下の雑巾掛けをしてくれ。」
「 勇真と二人でできるな?」
(風太)「 うんっ、 大丈夫。勇真起こしてくる!」
(風馬)「 ────… 」
“ あの子、お兄ちゃんになれたことが凄く嬉しいみたいなの ”
“ きっと、自分がそうだったから。”
(桜)
「 あなたが あの子の事よくおしめや、あやして見てくれていたように勇真のお世話も、あぁやって面倒良く見てあげようとするところは自然と風馬に似たのかしらね? 」
(風馬)「 風太が?」
“ ははうえ、”
(風太) “ ゆうま、ないてない? ”
(桜)
「 えぇ、ずっと赤ちゃんだった時、私の背中におぶさっていた間あの子、いつも静かに寝ていたの。でも風馬が私の代わりにおんぶしてあげようとすると… 」
「 ににっ。」
(風馬)「ん?」
(勇真)
「 にゆ、まうあっ。… に、にーにっ!」
(桜)「 起きたの、ゆうちゃん? ──… さっき、母乳も飲んだばかりだからこれはおしめじゃないみたいね、ふふっ。」
(風馬)
「 ………じゃあ..、勇真。ほらっ!」
「きゃうっ! ! エヘヘヘッ!」
風馬が広い空へ向かって高い高いをしだすと勇真は手足をばたつかせて喜んだ。
(桜)
「 ────不思議ね..。風馬がいてくれるだけで風太も勇真もどんなに泣いていても、二人ともすぐに泣き止んで笑って喜んでくれるの。良かったわね、勇真。」
(勇真) ”にーぃ!“
(風車を持って喜ぶ風太と重なる)
「 ………………。」
“ そう言えば、風太にもそんなことが・・。 ”
“ あにうえ ”
(クイクイと服を引っ張られる)
(風馬)「 ──風太、? 」
(風太)
「 ねぇ、あそぼ。 」
「 あのね、かたぐるま。きにのぼりたい!…それから……あのね・・ 」
(勇真)「 ? あっ。あう.. あっ、…ふうあっ。」(手を伸ばす)
(桜)「 ──…ゆうちゃんほら。てんとう虫さん、こんにちはって。」
(勇真)「?」
(風馬)
「 風太、勇真お前と遊びたがってるぞ。」
(桜花)
「 …─── あの子の人生をこんな形で縛り付けてしまった。将来の生活ができると言ってもいつ死ぬやも知れぬ与えられた命令には異議も許されない監視下に置かれてゆくこれからの生き方では、あの子の願うものとは持たせてやれないのか… 。」
重い表情に桜は首を横に振った。
(桜)
「 ……あなた… 先代様もみんな、あぁは仰っていたけれど… 私達があの子に手を差し伸べたことは何も間違ってなどいません。」
「 風馬は、…あの子は誰が何と言おうと私達の大事な子です。」
あの時、
自ら命を絶とうとし本当の父親の罪を、全てあの子が背負ってしまったものを今度は私達が、
「 責任を持っていつか、本当の安寧を築ける時代を実現させてあげることが私たち親のしてあげられる事だと思っています。」
(桜)
「 風太と何も変わりません。里の子達もみんな同じ愛情を受け、血で推し量る事などあっていい筈がありません。」
「 あなたの風馬への思う気持ちは、あの時..名を与えたあの子にそれを証明したではありませんか。」
“ 今はまだ歴史の血は…この子達兄弟、異なる家族である絆がいつの日かきっと ”
「 風人である事や和国を成立させる朝廷との争いの傷跡が癒える日が来ると、私は子供達を信じています。」
(桜)「 何があっても貴方ならきっとみなも分かってくれているはずです。」
(桜花)
「 ────.. そう 偽りの無いお前の言葉だから…… 」
何があってもこれまでずっと信じていられた。
“ ありがとう、桜…。”
(風馬)「 ……。」
(偶然居合わせ二人の話を聞いていた)
“ 父上…”
“ 母上……。”
「 ────..。」
(強く何かを決意する)
(先代)「 よいな、風馬。」
(風馬)
「 心得ております。……、」
“ … あにうえ ”
(寂しそうな風太)
“ またおやくめにいっちゃうの…? ”
(風馬)「 …… 風太 . . 」
しばらくしたら、
すぐに帰ってくるから・・。
“ 父上と母上を 困らせちゃだめだぞ ”
(風馬)
「 ッ!」
──────────…。
(体の震えを抑え込む腕がギュッと締まる)
うなされ、体中冷や汗がふつふつと顔の皮膚から浮き出てくる。
意識は起きていた。
だが、風馬自身が今見ている夢は現実に覚めている感覚が無い見えない何かに苦しめられているようなそんな感じだった。
……………………、
(足音)
ヒタ……・・、 ヒタ… ヒタ・・・。
“ 風馬…。”
(隙間風) ヒュルッ!
(障子)
「 カタカタ…ガタッ!」
“ 風馬… 。 ”
(風馬)「うぐ…っ!」
(風太)
「 ……、あにうえ?・・??? …………、」
パサッ、(ふすま布団)
(勇真)「 ふうにぃ? 」(勇真も起きてしまう)
“ 風馬… 。”
(風馬)「 ( 何で… どうして俺に付きまとう ) 」
“ お前は・・ ”
(闇の魔の手が襲いかかる)
「 !! 」
..ッ!
“ お前は誰だっ!? ”
──────────────────── ・ ・
闇が笑う。
(???)
“ 見つけたぞ 風馬 ”
(風馬)「!!?」
( はっと意識が覚める )
…。
(虫) 「リィィィィ…ン、リィィィ───・・。」
(風馬)
「 ………、」
「 ( …夢・・? ) 」
モゾモゾ…─────・・ 、
モゾ。
(風太) (背中から抱きつく)
「 ふうまにいちゃん。」
(風馬)「!」
(風太)「 ・・…… どうしたの? 」
…モゾ。
(勇真)「 …? 」
(向かい側からひょこっと顔を出す)
(勇真)
「 にぃ? 」
(風馬)「 風太、勇真… 」
………… ... 、
(風太)「 ───… ふうまにぃちゃん、どうしてふるえてるの? つめたい.. 。」
(風馬)
「 風太、…… 」
(勇真)「ぅんしょ・・、こわいゆめみたの? さむそう… ゆうのときもね、ふうにぃこうやってくれるんだよ、ほら。」
二人で前と後ろ。
幼い小さな弟達の体温に氷のような悪夢の闇に囚われていた体中の震えが風太と勇真の温もりによって風馬はようやく落ち着きを取り戻した。
(風馬)「 ……? 」
冷たい嫌な汗をかいていたはずの顔もいつのまにか火照っているのが分かる…。
目の前に勇真の純粋な寝顔と後ろには自分の背中に顔を埋めて心配しながら甘えているつもりの風太を感じながら 大丈夫だから。と起きようとしたが・・
(風馬)
「 風太、勇真、大丈夫。何でもないからお前たちの布団に… 」
(風太)「 ヤダ。今日はあにうえといっしょにいたい…。」
(勇真)「 あさね、さむいんだもん。でもふうまにぃちゃんといっしょならさむくないもん。」
(風馬)「 ……。」
起きように寝返りもうてない風馬だったが、二人の優しさを思うときつい体制でも風太と勇真を抱き寄せて寝るようにした。
(風馬)
「 …風太、勇真、・・・・ありがとな。」
(勇真)
「─スゥ..。───、…。」
(風太)「 ……… ・・・、」
「 うん。」
ギュ..ッ。
(やがて夜が明けてゆく)
────────────────…。
「 …チュン、チュンッ。」
「 … 」
(静かに開けられる障子)
(勇真)
「 …、…─────・・。」
朝の冷たい空気が外から流れこんだと同時に
風馬が部屋から出て行った気配がした。
─── トン..。
(風太)
「 …ん… ・・───…。う…ん、……風馬にいちゃん?」
「 あに・・・ …!?」
(勇真)
「 ───・・、 スゥ..。」
一緒になって寝ていた勇真と仲良く毛布がかけられているのに気付いた風太は気になって後を追うように起きてしまった。
「ガタガタ…ッ ガタ!」
(風太)
「 風馬にいちゃんっ 」
(風馬)
「 …? 風太、おはよう。まだ早いのにこんな時間に起きてこれたのか?」
(風太)「 うん、勇真は寝てる。……・・、・・・.. 、」
「クシュン! …。」
(風馬)
「 まだ寝てていい。勇真ももうすぐ時間まで起こそうって思ってたから 」
(風太)「 ううん、ぼくももうお兄ちゃんだから。これからは兄上といっしょに起きて勇真をおこさなきゃ。」
「 あさのおしごと、やるの!」
(風馬)
「 ──風太は偉いな。それじゃあ、俺は今から火を起こしてくるから、風太は勇真が起きたら寝床を片付けて廊下の雑巾掛けをしてくれ。」
「 勇真と二人でできるな?」
(風太)「 うんっ、 大丈夫。勇真起こしてくる!」
(風馬)「 ────… 」
“ あの子、お兄ちゃんになれたことが凄く嬉しいみたいなの ”
“ きっと、自分がそうだったから。”
(桜)
「 あなたが あの子の事よくおしめや、あやして見てくれていたように勇真のお世話も、あぁやって面倒良く見てあげようとするところは自然と風馬に似たのかしらね? 」
(風馬)「 風太が?」
“ ははうえ、”
(風太) “ ゆうま、ないてない? ”
(桜)
「 えぇ、ずっと赤ちゃんだった時、私の背中におぶさっていた間あの子、いつも静かに寝ていたの。でも風馬が私の代わりにおんぶしてあげようとすると… 」
「 ににっ。」
(風馬)「ん?」
(勇真)
「 にゆ、まうあっ。… に、にーにっ!」
(桜)「 起きたの、ゆうちゃん? ──… さっき、母乳も飲んだばかりだからこれはおしめじゃないみたいね、ふふっ。」
(風馬)
「 ………じゃあ..、勇真。ほらっ!」
「きゃうっ! ! エヘヘヘッ!」
風馬が広い空へ向かって高い高いをしだすと勇真は手足をばたつかせて喜んだ。
(桜)
「 ────不思議ね..。風馬がいてくれるだけで風太も勇真もどんなに泣いていても、二人ともすぐに泣き止んで笑って喜んでくれるの。良かったわね、勇真。」
(勇真) ”にーぃ!“
(風車を持って喜ぶ風太と重なる)
「 ………………。」
“ そう言えば、風太にもそんなことが・・。 ”
“ あにうえ ”
(クイクイと服を引っ張られる)
(風馬)「 ──風太、? 」
(風太)
「 ねぇ、あそぼ。 」
「 あのね、かたぐるま。きにのぼりたい!…それから……あのね・・ 」
(勇真)「 ? あっ。あう.. あっ、…ふうあっ。」(手を伸ばす)
(桜)「 ──…ゆうちゃんほら。てんとう虫さん、こんにちはって。」
(勇真)「?」
(風馬)
「 風太、勇真お前と遊びたがってるぞ。」