第27話:トランプ大統領、九州豪雨、新天皇、オウム死刑執行

文字数 1,716文字

 こうして2017年となった。昨年の米大統領選で既存政治に不信を抱く白人労働者の心を特例法に基づき、排外的主張を掲げ、暴言も辞さない実業家のトランプ氏は、既存政治への不満を吸い上げて「トランプ現象」を巻き起こし大衆迎合主義の台頭を印象付けた。

 トランプ氏は、メキシコ国境への壁の建設を柱とする不法移民対策を唱え、在日米軍の駐留経費の全額負担を求める考えも表明。就任初日に実行する政策としてTPPからの離脱を挙げた。その後も「一つの中国」政策に縛られる必要はないと述べ台湾の蔡英文総統と電話会談するなど型破りな言動を続けた。

 しかし、アメリカの保守層の上手に捉え、予想外の勝利を収めた共和党のドナルド・トランプ氏が1月20日、第45代米大統領に就任した。トランプ氏は就任演説で「米国第一主義」を宣言し、直後にTPPからの離脱を指示した。それにより米国の動向をめぐり不透明感が深まっている。

 国際協調を掲げたオバマ前政権からの様変わりは世界に衝撃を与えた。さらに地球温暖化対策の国際枠組み脱退も表明。内政ではイスラム圏からの入国禁止や国境の壁建設を打ち出した。ただ、幹部の解任が相次ぎ、トランプ氏とティラーソン国務長官の不和も伝えられるなど、政権運営は不安定なまま。

 ロシアがトランプ陣営と共謀し大統領選に介入した疑惑はフリン前大統領補佐官の訴追に発展し、政権を揺るがし続けている。7月5~6日を中心に台風3号と梅雨前線の影響で「2017年九州北部豪雨」が発生。福岡、大分両県で死者38人、行方不明者3人となった。

 3号は九州北部を横断し、気象庁は5日に両県に大雨特別警報を発表。大規模な土砂崩れや河川の氾濫が起き大量の流木で家屋や鉄道の鉄橋などが流された。不明者の捜索が長引き、農林水産業に大きな被害が生じた。政府は激甚災害に指定し、自治体の災害復旧事業への補助率をかさ上げした。

 台風は5号が8月7~8日に近畿・北陸を縦断。秋にも日本列島への上陸が相次ぎ、18号が9月17~18日に九州南部と四国、近畿、北陸を縦断した。そのほか、21号が10月23日に東海と関東を縦断した。総務省消防庁によると、死者は5号で2人、18号で5人、21号で8人に上った。

 政府は12月8日の閣議で天皇陛下が退位される日を「2019年4月30日」と定めた政令を決定し13日に公布した。同年5月1日に皇太子さまが新天皇に即位。即位と同じ日に改元も行われ、平成は30年と4カ月で幕を下ろすことになる。

 天皇退位は1817年の光格天皇以来約200年ぶりで、現行憲法下では初めて。新元号は来年中に発表される方向だ。今年6月に成立した退位を可能にする特例法は、施行日に天皇陛下が退位し皇太子さまが直ちに新天皇に即位すると規定。

 12月1日に約25年ぶりの皇室会議を宮内庁で開き、三権の長や皇族らの意見を聴いた。天皇・皇后両陛下の退位後の称号は「上皇」「上皇后」、秋篠宮さまは皇位継承順位第1位の「皇嗣『こうし)』となる。こうして2018年となった6月の大阪北部地震は、学校のブロック塀が倒れ通学中の小4女児が死亡するなど6人が犠牲となった。

 7月の西日本豪雨は14府県で計220人を超える死者を出し平成最悪の豪雨災害となった。広範囲な土砂崩れなどで1万7千戸以上が全半壊。避難所で暮らす被災者は一時、1万2000人を超えた。「災害級の猛暑」が続き、同月23日には埼玉県熊谷市で国内観測史上最高の41.1度を記録。

 9月の台風21号は近畿地方を縦断し、10人以上が死亡。高潮などで関西国際空港が閉鎖され、関西経済に打撃を与えた。最大震度7を記録した同月の北海道地震では、厚真町を中心に41人の犠牲者が出た。震源地に近い苫東厚真火力発電所が停止し、道内ほぼ全域の295万戸が停電するブラックアウトも発生した。

 法務省は7月6日、オウム真理教の元代表松本智津夫「麻原彰晃」元死刑囚と元幹部6人の刑を一斉に執行した。同26日にも、元幹部6人の刑を一斉執行。1995年3月に発生した地下鉄サリン事件から23年余を経て、一連の教団事件で死刑が確定した13人全員の執行を終えた。
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