高瀬瑠々菜とHをする権利

文字数 1,147文字

……ところで、その紙、なんなんだ?
ひと区切りついた所で圭一は振り返り、さっきから意次が机の上に出し、悦に入って眺めている紙に目をやった。

丁度、学校でよく配るプリント類の半分ほどの大きさである。
(何か提出物ってあったけ?)
しかし、それは一枚だけでなく、机の上にズラリと何枚もあるではないか。どうもおかしい。
フッフッフ、よくぞ聞いてくれたな……。
見せてやろう。
何々……なんだこりゃ……権利書?
その紙の一番上には大きな字で『権利書』と書かれていた。

そして、その先の文言をそのまま読み上げようとして……圭一は危うく出かかった言葉を呑み込んだ。
ゲエエッ!……なっ……なんだよ、これっ!?
そこに書かれていた内容に我が目を疑う。
高瀬瑠々菜とHをする権利
(高瀬瑠々菜って……あの、高瀬さんのことか!?)
教室の後ろの方を振り返る。

そこに一人、物静かに座る美少女。
……。
紙に書かれた名前の張本人、クラス委員長の高瀬瑠々菜(たかせ・るるな)だ。

長く伸ばした黒髪と雪のように白い肌。線の細い儚げで物静かな佇まい。それでいて、凛とした気の強そうな顔立ち。

相反するイメージが混在してミステリアスな雰囲気を醸し出している。
……。
委員長ではあるが口数が少なく、他の女子たちと違って連れ立って行動する所は見かけない。かといって仲間外れにされているわけでもなく、本人もそれを気に病んでいるだりしている風もない。
……♪
男子からすると、小顔にスラリとした手足、それでいてブレザーの上からでも明らかにグッと前に向かって盛り上がったその胸の膨らみと、抜群に魅惑的な異性なのだが……。

しかし、完璧な容姿であるために、かえって気後れしてしまって誰一人声をかけられず、ただ眺めるだけという超がつく高嶺の花。
……。
なんというか、周りの者をして自分とは違う世界の住人――そう、別格の存在……例えば、卒業して何年かしたらTVとか映画に女優として出演しているのを見かけて、始めてしっくりくるというような……そう思わせる孤高の美少女なのだ。
(た……高瀬さんが、一体どうして、どうやって、何がどーゆーワカメで、Hをする権利なんぞをこの万年下ネタ大魔神に!?)
えっ……Hって、エッチのHのことだよな!? Hをするってのは、つまり、その……
頭の中に、清楚で品の良い下着を身に着けた彼女の白い裸体がボワンッと浮かんだ。

その柔らかそうな肌に指を触れると、クールな無表情が途端に艶めかしく歪んで、甘い喘ぎ声が唇の間からこぼれ落ちる。
ああんっ……
……。
……っ!
!!!
~~~~~~っ!
~~~~!!!
暴走する妄想に翻弄される圭一が、権利書と彼女との間で目玉を行ったり来たりさせているのを見て意次が満足そうに頷いた。
どうだ? 羨ましいだろう?
う、羨ましい……。
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登場人物紹介

望月美卯(もちづき・みう)

圭一の幼馴染の少女。気が強くハキハキした性格だが真面目で性的知識にはウブな側面もある。

上杉桜(うえすぎ・さくら)

陽気で快活、茶目っ気がある美卯の親友の少女。面白そうなことにすぐに首を突っ込む。

高瀬瑠々菜(たかせ・るるな)

圭一のクラスの委員長。
美人過ぎるせいか近寄りがたい雰囲気を持つ少女。

清玲寺亜希(せいれいじ・あき)

女子テニス部主将。学園理事長の孫娘でもあり、ハイソなお嬢様として全校でも有名人。

幸村圭一(ゆきむら・けいいち)

年頃のスケベ心を隠しながら、学園生活を送るごく普通の男子学生。
素直でお人好しだが、恋愛の積極性には欠ける。

伊達意次(だて・おきつぐ)

圭一のクラスメートにして悪友。
自他ともに認めるスケベ大魔神。

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