美卯と桜
文字数 640文字
さて、教室のあちこちでは似たようなお喋りの花が咲き、ワイワイガヤガヤと活況を呈していた。
圭一たちとは別の一角。
そこには、両手を合わせて親友の望月美卯(もちづき・みう)を拝み倒している上杉桜(うえすぎ・さくら)の姿があった。
そこには、両手を合わせて親友の望月美卯(もちづき・みう)を拝み倒している上杉桜(うえすぎ・さくら)の姿があった。
小柄で少しあどけなさの残る顔立ちの桜は性格も子供っぽい所があり、この悲鳴も半分おどけた口調だ。トレードマークの短く結った髪の房をピョコピョコと揺すって懇願する。
対する美卯は真面目な優等生気質。取り付く島もない態度で長い髪を払う。
この二人のやりとりはやりとりで、圭一たちに負けず劣らずの……とはいえ、ま、とにかく、どこのクラスにもあるいつもの朝の教室のひとコマなのであった。