好きな子と、好きなことを!

文字数 655文字

えっ……俺も作る……?
おう、好きなこと書いて、好きな女の子の名前でサインするだけだぜ。
(う……マ、マジか……好きな子と、好きなことを……)
辺りを見回せば、もうほとんどの生徒たちが登校してきている。
(ウチの女子って高瀬さんを始めとして、実はけっこうレベルが高いよな……)
恋愛感情とまではいかないものの、男としてそそられる可愛い子は割と沢山。
(その誰とでも、この紙の上でなら好きなことができるのか……)
(……なんて素晴らしいシステムなんだ!)
……たとえ、それが妄想に過ぎないとしても!
ゴクリ……。
お……おーっし……試してみるか……。
……とは言ったものの、いざとなると誰にどんなことをしてもらう権利にしようか迷う。

圭一は筆記具を手にして机に紙を広げたままハタと考え込んだ。
(う~っ! いざ書くとなるとなかなか難しいぞ、こりゃ……)
(修学旅行の夜なんかの「好きな女子の名前教えろよ」ってのと似てるかも)
真面目にありのままの欲望をさらけ出せばドン引きされるし、その後、微妙な立場に陥りかねない。

かといって、「後で一人で書くよ」というのも野暮だ。

自分だけ好きな女子の名前を言わない卑怯者になってしまう。
(ぐぬぬぬ……高度な政治的判断力とバランス感覚が必要な案件……!)
(高瀬さんは確かに美人だし、意次もすでに書いてるから安牌っちゃ、安牌なんだけれど……)
それだと面白味がないだろう。

しかも、圭一的にはやはり高瀬瑠々菜は高嶺の花であり、冗談であってもそういうネタとして名前を使うのは気が引けた。
「う~ん、……あっ、そうだ!
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登場人物紹介

望月美卯(もちづき・みう)

圭一の幼馴染の少女。気が強くハキハキした性格だが真面目で性的知識にはウブな側面もある。

上杉桜(うえすぎ・さくら)

陽気で快活、茶目っ気がある美卯の親友の少女。面白そうなことにすぐに首を突っ込む。

高瀬瑠々菜(たかせ・るるな)

圭一のクラスの委員長。
美人過ぎるせいか近寄りがたい雰囲気を持つ少女。

清玲寺亜希(せいれいじ・あき)

女子テニス部主将。学園理事長の孫娘でもあり、ハイソなお嬢様として全校でも有名人。

幸村圭一(ゆきむら・けいいち)

年頃のスケベ心を隠しながら、学園生活を送るごく普通の男子学生。
素直でお人好しだが、恋愛の積極性には欠ける。

伊達意次(だて・おきつぐ)

圭一のクラスメートにして悪友。
自他ともに認めるスケベ大魔神。

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