04. 四国地方「廃屋(シカユの家)」

文字数 927文字

2015.10.12. 〈IK記述〉

「シカユ・ノ・イエ」

四国地方、里地。田畑や小川、里山林などの自然に包まれた場所に在る、平屋建て一軒家。

木造の和式建築で古風な外観。つる草が壁面に立ち伸びていて、瓦屋根の一部が自然荒廃で崩落している。玄関のガラス引き戸の格子部に、小さな紙片が差し込まれている。

廃屋内は、木床の廊下伝いに襖や障子戸で仕切られた部屋が並んでいる。湿気がたまって傷みが進んでいて、残留物も多くが朽ちている。

居間、台所、洗面所、風呂場、トイレ、仏間、座敷、個室、小部屋。

居間跡、台所跡、仏間跡、座敷跡、個室跡の残留物に、字の書かれたぼろぼろの紙片が目立つ。廃屋の裏手に木造の納屋跡がある。

スリッパ。ろうそく。座椅子。ごみ箱。ノート。缶。座布団。湯呑。筆。便箋。丼。キャラクターグラス。原稿用紙。写真立て。ビール瓶用ケース。箸。洗面器。芳香剤。線香差し。経机。書道用紙。灰皿。照明器具。茶碗。こたつ。わら半紙。鉛筆削り。目覚まし時計。皿。カレンダー。布団。扇風機。手紙。図鑑。枕カバー。すずり。鏡台。オセロ盤。

(しる)して枯れた(つぐ)み字を、朗読に(とも)して、()き上げる。

なんでなの砂になる。仏ぶつブツ。克服すべき過去でしかなかったわけです。賀正。その判断があなたにとって一生の憂いになりますように。参上ヤマズー。本物だけがいればいいんだから。自分で交換めんどくさい。記憶は思い返すたびに書き換えられるって。引き算で考えるの好き。吉日。家に人が出入りすると家が傷む。心も同じで。関わりが起こると心が傷む。頼むから働いて。健康。間に合わない余裕がない。買っておいて忘れたまま。冷蔵庫を開けるたびに見つけて楽しい。ずっと入れ忘れたままにしたいくらい。陽光。人並の幸せはまったく実現できないから。私並みの幸せに徹します。火の用心。謹んで目撃せよ。自身に向けるべき怒りを他人に向け続ける人だった。性格の問題です不一致。へいわ。はわい。南の島。人の思いに寄り添おうとするのは大切なことだけど。人のために自分を変えようとするのは。自分に申し訳ないのでした。ご無沙汰しております。希少で珍しいからといっていつまでも珍重され続けないから。そこのところを見誤らないように。家宝。
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