02. 山陰地方「廃トンネル(旧由井場隧道)」

文字数 553文字

2014.07.09. 〈IK記述〉

山陰地方、県境。旧道の道端に(まつ)られた石仏を過ぎて、湿った雑木林を抜けた山奥に在る、廃トンネル。

トンネルの出入り口は下草と苔で覆われていて、アーチ環上部に設けられた銘板(めいばん)は読み取りづらい。付近に、車両のすれ違いのための小さな待機スペース跡が残っている。

トンネル内壁の材質はコンクリート。石灰成分の荒んだ白色と苔の濁った緑色、ひび割れと染み、それらが重なって模様に見える。

内部道路は直線、全長は150mほど。

天部に消灯したランプ。側壁に反射板の残骸、浅い横穴が2箇所、人の輪郭を想像させる黒染みが3箇所。

ペットボトル。包装箱。缶。ゴム長靴。ビニール袋。瓶。18Lポリタンク。マフラー。角材。ラッカースプレー。コンクリートブロック。賞状。巻き尺。ポリバケツ。携帯ラジオ。油性マジックペン。文庫本。うちわ。

(しる)して枯れた(つぐ)み字を、朗読に(とも)して、()き上げる。

ピース。心配ばっか。まってけろ。暗いね。本能ってジャマ。うしろ。わかってくんない。参上ヤマズー。目。捨てる神あればシカトする神あり。練習大事。つながらなくていい。きこえる。極楽。もつれってやつ。除菌。あーいえばそーゆう。勘。こいつラブ。息止めて出勤。オバケはいません。ずっとさむい。キノコタケノコ。泣くのヤダから仲良くしてよ。
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