冒頭小説パート

文字数 961文字

以前カクヨムに掲載した短編です。この作品から広げていきます。
800字なので読んでね♥800字なのはコンテストのレギュレーション上限よ!
(カクヨム寿司小説コンテスト応募作品)
2017/06/18 07:11
「結婚してください! 今すぐ!」

 高校の元同級生女子が、大学の卒業式から矢絣に袴姿そのままで実家の寿司店に直行して来た。そしてまさかのプロポーズ。全く身に覚えがない。

「いやいや、俺ら付き合うどころか高校でも全く口きいたことなかったよねえ?」

 両親を睨み付けるが、彼等も自らの関与を態度で否定していた。

「結婚してくれないと困るんです!」
「困るって、罰ゲームかよ、帰れ」
「頼むから!」
「もう四年も会ってない女が、いきなり結婚しろとか、ぶっちゃけホラーだろ」
「おねがい! もう時間がないの! 結婚するって言って!」
「だから何でだよ!!」
「貴方とこの星を護るためには、これしか方法が」

 ふと頭上から『地鳴り』のような重低音&振動波が降ってきた。

「まずい! もう嗅ぎつけられた!」
「どーゆーことなんだよ、だから!」

 時間を追う毎に地鳴りはどんどん強くなっていく。

「逃げ場はないわ。さあ、私と結婚すると言って。さもないと、全員死ぬ」
「だから何で!!」
「貴方があいつらの子供を、寿司ネタにしてしまったからよ!」

 ――――え。

「時間がないって言ってるでしょ! 早くこのデバイスに向かって、結婚するって言いなさい!」

 もうわけがわからない。
 だが、テメエの不始末らしいことは、うっすら分かった。
 俺は叫んだ。

「俺は、お前と結婚する!!」

 端末は電子音声でしゃべりはじめた。

『貴方と第三王女との婚姻を承認しました。ただいまよりこの星は、ピスケシア王家の直轄となり、星間安全条約の保護下に入りました』

「……はい?」

「よっしゃああああ!! 間に合った!!」

 彼女はガラっと威勢良く店の戸を開けると、頭上を黒く覆った巨大な何かに向かって腕を突き上げた。

「聞こえるか! 不良魚介類ども! この星は我々の管轄下となった! 速やかに退去しなければ、貴様の母星を破壊するぞ!」

 彼女の怒号が空に響き渡り、次の瞬間、黒い影と地鳴りがすっと消えた。
 俺、これからどうなっちゃうの?

2017/06/18 06:46
2017/06/18 06:47
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登場人物紹介

主人公(扇屋 太一)

二十代前半

一般ピープル

「人の握った寿司は旨い」


都内某所の寿司屋の二代目。かっぱ巻が好き。

密かに回転寿司に通っては、メロンやケーキを喰い散らかす。

趣味 フィギュア集め

ゲームの好み タワーディフェンスや育て要素のないSLG

好きなヒトデ キヒトデ(食えるから)

宇宙王女(魚野 水希)

大卒ホヤホヤ

「お土産の寿司折りに生ものが入ってないのは許せません」


東京で日本人として生活していた宇宙人。

主人公とは高校の同級生だった。

が、在学中は特にからみはなかった。

当然ながらロマンスも一切ない。お互いの視界に入っていなかった。


仕送りが少ない時は、日本のキャラクターグッズを宇宙オークションに出して稼いでいる。女子大生がご当地グッズをメルカリで売る感覚である。


実家は宇宙の王族。勢力範囲には水棲型生物が多い。

基本はお嬢様だけど、軍事国家の王女で少々気性が激しい。

守ると決めたものは、命をかけてとことん守る根性と行動力の持ち主。

細かいことで悩むのは苦手。



地球は彼等に大人気のスポットだが、宇宙連邦未加入のため、不可侵エリアとなっていた。(タテマエ上。互いに牽制しているので侵略されてないだけ)

この女のように、こっそり訪れたり、住み着く宇宙人が後を絶たない。

なお宇宙人は、同胞以外は近縁種を共食いしても気にしない。


好きなデートスポット 水族館、デパ地下

好きなスイーツ 舟和のいもようかん

嫌いな食べ物 キムチ

宇宙執事

宇宙王女の従者。兎型宇宙人。
「梱包材がなくなったので浅草橋に行ってきます」

普段は宇宙エアポートに停泊している宇宙船の中で、主人に頼まれたオークション出品物の発送作業をしている。

魚星人

普段はヒューマノイド体だが、魚体化することもある。
魚体後は、地球で言うところのマグロに酷似している。
「貴様を惨たらしく煮付けにして腐らせてやる」

家族でバカンスのため地球を訪れていた。
魚体化して海遊びをしていたところ、子供が流され漁師に捕らえられる。冷蔵され仮死状態に。→魚市場→主人公の寿司店へ新鮮なまま届けられる。
生体反応を追ってきたが、寿司店で途絶える。(シメられた)
家族の復讐を誓う。

地球帰りは、寄生虫を持ち帰ることがあるので、母星のエアポートで厳しく検疫を受ける。

主人公の両親

少々からだがしんどくなってきたので息子にけっこー任せている。

ほかは何も考えてない。

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