本文ト書き(完成しました)50P

文字数 15,471文字

ト書き完成しました。50Pです。
2017/06/18 06:52

2017/06/25追加

末尾に今後の展開について記載

2017/06/25 06:39
2017/06/18 06:52

(1)

場所 寿司屋店内

中には主人公・両親がいる


宇宙王女

 矢絣袴、卒業証書の入った書筒を持っている

「時間がないって言ってるでしょ! 早くこのデバイスに向かって、私と結婚するって言いなさい!」

 宇宙王女は、やや中二の入ったガジェット感満載のスマホを主人公に突きつける。


主人公 内心

 もうわけがわからない。

 だが、テメエの不始末らしいことは、うっすら分かった。

 地球のため、そして両親のため――


主人公 叫ぶ

「俺は、お前と結婚する!!」


 端末はピコーンと音を発すると、電子音声でしゃべりはじめた。


電子音声

『貴方と第三王女との婚姻を承認しました。ただいまよりこの星は、ピスケシア王家の直轄となり、星間安全条約の保護下に入りました。なお……』何かつづけて言っている。


主人公

「……はい?」


宇宙王女

 ガッツポーズ

「よっしゃああああ!! 間に合った!!」


(2)

場所 店の外


 宇宙王女はガラっと威勢良く店の戸を開けると、頭上を黒く覆った巨大な何かに向かって腕を突き上げた。

 巨大ななにか=宇宙戦艦


宇宙王女

「聞こえるか! 不良魚介類ども! この星は我々の管轄下となった! 速やかに退去しなければ、貴様の母星を破壊するぞ!」


 彼女の怒号が空に響き渡り、次の瞬間、黒い影=宇宙戦艦と地鳴りがすっと消えた。

2017/06/20 22:00
―― 約一時間前 ――


(3)

場所 浅草橋問屋街

梱包材問屋前


宇宙執事

「お嬢様、そろそろ卒業式が終わった頃……でしょうか。本当ならお供したかったのですが……」

梱包材問屋の荷物を抱えた宇宙執事が空を見上げる。何かを感じた。

「……ん?」

「……」

「気のせい、でしょうか……」

スタスタと歩いていく。


※気のせいではなかった。魚星人の宇宙戦艦が別異相空間をゆっくり移動していた。




場所 大学構内 卒業式


卒業式後の王女。矢絣袴姿。卒業証書の入った書筒を抱えながら、友人と会話している。

異常な重力震と高エネルギーを体で感知、端末でデータを調べる


宇宙王女「や、やばい……コレ……」


血相を変えてダッシュで大学を後にする→寿司屋に向かう

2017/06/20 22:33
(4)

場所 主人公の寿司屋の外

店頭にスーパーカブが停まっている

支度中の札がかかっている


場所 寿司屋の店内


出前からママが帰って来る。(ヘルメットを脱ぎながら)

ママ「ただいまー」

主人公「お帰りぃ!」

ママ「これで出前は終わりかな?」

主人公「うん。そろそろお昼にしよう」

パパ「昨日は中華だったから、今日はカレーの出前でも取るか」

主人公「さんせー」

ママ「私も」


パパが電話の脇から出前メニューの束を引っ張り出していると……


ガラガラ!!

支度中にも関わらず、威勢良く戸を開けて誰かが入って来た。


(5)


着物姿の女性(宇宙王女)「結婚してください! 今すぐ!」


宇宙王女いきなりプロポーズをする。


全員で王女を見る。呆気にとられている。


ママ「……お知り合い?」

主人公「あの……高校ん時の同級生」

パパ「付き合ってんの?」

主人公「はああ? いつ、俺が、女と付き合ってたってんだ? 毎日顔付き合わせてんだろ、俺ら」


王女「早く! 結婚するって言ってください!」


主人公「いやいやいやいや、俺ら付き合うどころか高校でも全く口きいたことなかったよねえ?」


 両親を睨み付けるが、彼等も自らの関与を態度で否定していた。


 カウンター越しにやりとり

 王女超必死


王女「結婚してくれないと困るんです!」

主人公「困るって、罰ゲームかよ、帰れ」

王女「頼むから!」

主人公「もう四年も会ってない女が、いきなり結婚しろとか、ぶっちゃけホラーだろ」

王女「おねがい! もう時間がないの! 結婚するって言って!」

主人公「だから何でだよ!!」

王女「貴方とこの星を護るためには、これしか方法が」



(6)


 頭上から『地鳴り』のような重低音&振動波が降ってきた。


王女「まずい! もう嗅ぎつけられた!」

主人公「どーゆーことなんだよ、だから!」


 時間を追う毎に地鳴りはどんどん強くなっていく。

 ゴゴゴゴ……


 抱き合って不安がる両親


主人公「なに、この、すごい音なに! あんた関係あんの!?」


 王女がうんざり顔で言った。


王女「あれは、貴方を殺しに来た魚型宇宙人の巨大戦艦よ。彼等に手加減なんか出来ないわ。地球は一瞬で火の海になる……」

主人公「……なッ!!」

王女「もう逃げ場はないわ。さあ、私と結婚すると言って。さもないと、全員死ぬ」

主人公「だから何で!!」


 タメ


王女「貴方があいつらの子供を、寿司ネタにしてしまったからよ!」

 天を指差す王女


主人公 内心の声 ――――え。


王女「時間がないって言ってるでしょ! 早くこのデバイスに向かって、結婚するって言いなさい!」


主人公 内心の声

 もうわけがわからない。

 だが、テメエの不始末らしいことは、うっすら分かった。

 地球のため、そして両親のため――


主人公「俺は、お前と結婚する!!」

2017/06/20 22:40
(7)

店の外

宇宙船を見送った二人


主人公「はあ……。なんとかお引き取り頂けたようだな」

王女「なに言ってるの。これは一時凌ぎよ」


――彼女が宇宙船をおっぱらった後。

そっからが大変だった。


主人公「といいますと?」

王女「地球では、我々宇宙人の存在をおおっぴらに知られるような行為をしてはいけないの。私さっき連中に注意したけど、無視してここまで来てしまった。一旦引き下がったけど、諦めるとは思えない。だから急がないと」

主人公 ゴクリとつばを飲む。

主人公「……マジで君の星、とかに行って結婚式やるの?」

王女「ったりまえでしょ? 死にたいの?」


さっきの結婚宣言は期間限定の仮契約。

地球時間で十日以内に彼女の母星で入籍しないと、星間ナントカの保護が失効、あいつらがまた攻めてくる可能性が極めて高いという。

一旦大人しく引き下がったのは、彼女の星は高い軍事力と国力を持っており、星ごと破壊されるのは必至だからだ。


王女「じゃ、荷物まとめておいてね。私も自宅に戻って着替えてくるから」

主人公「お、おう、わかった。気をつけていけよ」

王女「ありがとう」


王女は振り袖を振り乱しながら、走り去っていった。

それを見送る主人公。



2017/06/20 23:04
(8)

店内


主人公 中に戻ってきた


パパ「なんか……お昼食べそこねちゃったな。あはは……」

ママ「そ、そうね」

主人公「……なんかわかんねえけど、済まねえ」


困り顔の笑顔の二人


パパ「よくわかんないけど、嫁が出来てよかったじゃないか」

主人公「だって宇宙人だよ? もうわけわかんねえよ」

ママ「でも……ずっと近所に住んでて、地球のためにやってくれたんでしょ? 悪い人じゃないわよ、きっと……うん……たぶん……そう……ねえパパ」

パパ「あー、出前の時間終わっちゃったな。俺がなんかメシ作るよ」

ママ「じゃ、じゃあ、荷物まとめておくわね」

主人公「なんかもう……済まねえ」


 主人公、座敷席に上がって体育座り

 スマホをポチポチしはじめる


主人公「あー……もしもし? 俺だけど」


主人公 心の声

 俺は高校時代の友人に片っ端から電話して、当時のあの女の情報を出来るだけ集めた。

 ……しかしというか、やっぱりというか、かなりイカれた女だということは分かった。


主人公「やっぱ宇宙人が嫁とか……ねえわ」

2017/06/20 23:47
(9)

ターミナル停泊中の宇宙船 外観→宇宙船 内部。作業部屋。ダンボールが積んである。

宇宙執事が大きな紙袋を持って入ってくる。


執事「やれやれ……やっと着いた。店から直接発送出来れば楽なんですけどねえ……」


 ドサっと床に紙袋を置く。中身はプチプチだのガムテープだの梱包資材

 留守中の様子をタブレットで確認している。


執事「ああ……やっぱり。ご出発ですか、お嬢様。イヤな予感がしていたのですが……」


 タブレットを置くと、テーブルに積んである小さめのダンボール(中になにか入っている)に、片っ端からガムテで封をしだした。


執事「なにやらキナ臭くなってきたようですねえ……。とっとと荷造りしてしまわなければ。これだから魚頭は嫌いなんですよ」ブツブツ





マンション(王女自宅)

外観→室内

私服に着替えた王女、トランクに荷物を詰めている。


王女「あ~~~~、急がないと……あああもう~~~~」


2017/06/21 01:26
(10)

つづき


 王女、荷造りしながら肩でスマホを挟んで電話している。


王女「あ~もしもし、私先日内定を頂いた者ですが、はい、そうです。ええ、大変申し訳ないのですが辞退させて頂きたく、あの、急に縁談が決まってしまいまして……、はい、はい、本当に申し訳ありません。それでは――」


 電話をしつつ、大きいゴミ袋に冷蔵庫の中身を片っ端から放り込んでいる。

 通話が終了し電話を切る。


王女「さて……次は大家さんのとこか。ったく、面倒なことになっちゃったなあ……」


王女「あ~もしもし、405号室の……しばらく実家に、はい、ええ――」


 通話が終わると、王女はガスや水道の元栓を閉め、電気のブレーカーを落した。



場所 マンション廊下


 荷物を持って部屋の外に出る。

 鍵を掛け、ガジェットじみた端末をかざす。

 SF的な封印が施される。


王女「これでよし、と……」



(11)

場所 マンション地下


 ゴミを集積所に出し、地下駐車場の隅にある王女の宇宙バイクのところに来る。

 カバーがかかっているので外す。

 ワイヤレスキーで起動。

 荷物を積む。

 ガジェットで通信する。


王女「私だけど、今から出るわ」

執事『事態は概ね把握しております。現在発進準備中でございます。

お嬢様よりお預かりしておりましたオークション出品物は全て発送完了致しました。なお現在進行中のオークションにつきましては、一時中断致しました。

以上よろしいでございましょうか』

王女「問題ないわ」

執事『それと、現在そちらの近くに不審な飛行物体の存在を感知しております。大変申し訳ございませんが、私は現在、発進準備のため船を動くことが出来ません。自力でこちらまでお越し下さいますよう、お願い申し上げます』

王女「問題ないわ」

執事『どうぞご無事で』


 王女、ヘルメットを被ってマシンを発進させる。


 地下駐車場から出て行く王女を、道路のスミで不審なドローンが監視していた。

2017/06/21 01:38
(12)

場所 魚星人の宇宙船

外観→船内


魚星人A「くそ……ピスケシア星の王女、まさかあんな手に出るとは……」

魚星人B「いっそ地球ごと破壊してしまおう」

魚星人A「いや、それはマズい。連中は必ずピスケシア星に行くはずだ。地球を出たところで始末しよう」

魚星人C「だめだ。この星系を出るまで待つんだ。さもないと我々の星が破壊されてしまうぞ。あれは脅しではない。連中の恐ろしさ、忘れたわけではあるまい」

魚星人A「そうだった……。ピスケシア星は軍事国家だ。しかし、星よりも家族の方が大事じゃないのか?」

魚星人D「当たり前だ!」


魚星人B「いや……よく考えたら、外でも手を出したら滅ぼされるんじゃ……あ、事故を装えばあるいは!


 ピシケシア軍大艦隊を想像するB(ぶるぶる)


魚星人D「俺は……俺は諦めないぞ! 星なんてどうでもいい! 家族を殺されたんだぞ! いますぐ殺してやる!」

魚星人C「待つんだ。気持ちは分かるが今手出しをしてはならん」

魚星人D「だったら俺一人で殺る!!」


 D、宇宙船を飛び出す


(13)


魚星人A「ああ……私が地球に行きたいなどと言わなければ……」

 頭を抱える


魚星人B「貴方だけの責任ではない。地球は、いい所だからな……」

魚星人C「確かに。あの子たちも喜んでいた……」


回想


地球でのバカンスの様子→子供が海流にさらわれていなくなった→

漁船に捕らわれる→氷で仮死状態に→魚市場でせりにかけられる→

寿司屋に買われて寿司ネタにされる


回想ここまで


魚星人B「地球人め……。恐ろしい種族。我々を喰らうとは……」

魚星人C「この星の魚類は知能が著しく低い。仕方のないことだ。我々とて、猿を喰らうこともあるだろう? 同じことよ」

魚星人A「同じことで済ましてよいものか! あの二人、必ず始末してくれる!」

 ぐっと拳を握りしめる

2017/06/21 19:13
(14)

場所 寿司屋前

バイクの王女、主人公を見送る両親

モブ やじうまのご近所さん

上空に報道ヘリ マスコミはまだ寿司店を嗅ぎつけてはいない


主人公「じゃあ……行ってくるよ」

 嫌そうな主人公

王女「ご子息は私が責任を持ってお預かり致します。急にこんなことになってしまい、申し訳ありません。私が事前に彼等を始末……いや静止出来ていれば」

主人公「仕方ねえだろ、あんなもんどーやって止めんだよ。それに、これは俺の不始末だ。やっちまったもんはしょうがねえ」

王女「(主人公)君……」

主人公「じゃあな。後は任せた」


王女耳打ちする

 (あまり時間がないわ。急ぎましょう)

主人公 うなづく


バイクで去って行く二人。

両親とご近所さんが見送る。


 お隣さん「息子さん、宇宙人のお婿に行くんです?」

 ママ「ええ、地球を救うため、らしいですわよ」

 パパ「そうなの!?」

 ママ「パパ…聞いてなかったの…

2017/06/21 20:48
(15)

場所 公道

バイク、すっと消える(光学迷彩)

王女と主人公、二人乗り ヘルメット装着している


運転中の王女「いま、追手が迫っている」

主人公「マジで! っていうかこれ無線ついてんのかすげえ……」

王女「ちょっと、マジメに聞いて! 命を狙われてんのよ!」

主人公「ごめん……ちょっと色々混乱しててつい」

王女「やはり非合法な手段に出てくるみたい。なんとしてもターミナルに着かなければ」

主人公「ターミナルって?」

王女「私の宇宙船が停泊している……あー、宇宙港よ。これで通じる?」

主人公「ガッツシわかった。つかエアポートとかじゃないの?」

王女「知らないわよ、私がつけたんじゃないもん」

主人公「サーセン」

王女「それより、ヘルメットの顎の下のとこにスイッチがあるから、それ入れて」

主人公「えと……こうか?」


 ブゥン、と音が。体がバリアで覆われる。


王女「万一のための保険よ。あとは振り落とされないようにがんばって」

主人公「がんばるったって、おい……」

王女「来た――」


 背後からあやしい影が高速で迫って来る。

 形はよく分からない。

 何かを射出してきた。

2017/06/21 20:58

(16)

王女たちを追って来た魚星人D視点


二人のすこし後ろをドダイ(浮遊&推進能力のついたステップ状の機械)のようなものに乗って追ってくる。そんなに早くない。


魚星人D「見つけたぞ……王女め」


プレデターのように腕にメカぽい武器がついている。

コブラがサイコガンを撃つ体で構えて、攻撃してくる。


魚星人D「死ね!! 貴様を煮付けにして惨たらしく腐らせてやる!!」


小さいモリのような射出武器が王女のバイク目がけて数本、ホーミングしながら飛んでいく

2017/06/21 21:13
(17)

場所 王女のバイク


主人公「ぎゃッ! なんか当たったぞ」


 魚星人のもりがバリヤに弾かれて飛んでいった


王女「ケガは」

主人公「だ、大丈夫……」


 そういう言ってる間にも何本がかすめていく


 王女、バイクから武器を取り出し、後ろを見ずに乱射する


主人公「だーーーっ! めくら撃ちとかないから!」

王女「うるさい、ちゃんと見えてるよ。後部カメラがあるんだから大丈夫」

主人公「当たってないけど」

王女「耳元で大声出されたら、当たるもんまで当たらないわよ!」

主人公「ごめん」


 もりが王女の肩をかする


王女「きゃあ!」


 苦悶の表情の王女、バイクがややコントロールを失って蛇行するがすぐ立て直す


(18)


(続き)


主人公「大丈夫か!!」

王女「あんたは自分のことだけ心配なさい。振り落とされたら死ぬわよ」

主人公「だって……血が」

王女「かすり傷よ。船で治せる」

主人公「でも……」


 王女の血は赤い

 腕に血の筋が


主人公 心の声

 こいつの血、赤いんだ。地球人と同じ、赤い血……。

 いやでも魚星人だって赤かったはずだぞ?

 さばいた魚に異常はなかった。

 ううう……宇宙人って一体


 王女と魚星人の撃ち合いが続く

 どちらも光学迷彩なので走行中の他の車からは見えない

 王女は民間人の車両を避けて撃っているのでなかなか当たらない

 魚星人は見境なく撃ってるので、ときどき車に命中して横転炎上などしている


(19)


(続き)


 ドスッ! 荷物にモリが一本刺さる

 普通に金属の棒状のものである


主人公「うわっ、刺さった!」

王女「そんなばかな!」

主人公「あ、ごめん、荷物に……」

王女「この忙しい時に紛らわしいこと言わないでよ!!」

主人公「ま、まままま、ま」

王女「今度は何!」


主人公「前見て!!!!」


対向車にはみだしてしまい、大型トラックが目前に迫る!

2017/06/21 21:31
(20)

(続き)


王女「やば! 掴まって!」


 王女あわててバイクを操作、浮上するときりもみしながらトラックを避ける。

 後ろから突っ込んできた魚星人がバンパーにぶつかってふっとぶ


主人公「ひええ……きもちわる」

王女「ごめんなさいトラックの人」

主人公「あいつまともにぶつかったっぽい。まけたかな」

王女「ならいいけど。急がないと……飛ばすわよ!!」


 急加速で背もたれに押しつけられる主人公


主人公「ぐええ」



(21)

(続き)


 高速で進む宇宙バイク。

 王女を後ろからまじまじと見る、主人公。


主人公 内心の声


 うわあ、あちこち傷だらけだよ。俺のせいで……

 そういや、なんで俺だけバリヤついてんの?

 もしかしてそのせいで、こいつ血だらけに?

 すまねえ……マジすまねえ……

 俺のために(泣)


王女「どうかした? あと少しだからがんばって」


主人公 内心の声

 がんばってんのお前じゃん……

 そんなになってまで……


主人公「お前さ、なんで俺にそこまでしてくれんの? 俺と結婚とか本気なのか?」

王女「私は、地球が好きだから」

主人公「……それって理由になってねえよ。だいたい俺なんかと一緒になって後悔しねえのかよ」

王女「後悔? べつに。ぜんぜん知らない人でもないし。それにね」

主人公「それに……なに?」


(22)

(続き)


王女「私、結婚するなら地球人って決めてたの!」


 主人公、ズッギューンとやられる


主人公「ったって……あの……お前は王族だし……その……俺としては心の準備が……」

王女「諦めなさい。貴方に選択肢はないわ。――ご両親を守りたいでしょ?」

主人公「そりゃそうだけど……そ、それに、お前はホントにいいのか?」

王女「いいのか、とは?」

主人公「だから、俺と結婚なんて、俺なんかで、それともあれか? 宇宙人は俺みたいのが好みとかそういうやつ?」

王女「……宇宙人宇宙人言わないでよ。これでも結構東京暮らし長いんだから。日本人とそう感覚は遠くないと自負してるわ。私は王位継承権を持ってない。だから気楽な地球暮らしが出来たんだけどね」

主人公「じゃあなんで」

王女「たしかに――選べない状況だったのは事実よ。私もこの星を、第二の故郷を守りたい一心だった。でも、貴方の潔さが気に入った」

主人公「そうかい? 俺ぁ迷うのが苦手なだけだ」

王女「気が合うわね。――私も同じよ」


 バイクのモニタに何かちらっと映る。

 王女の顔が一瞬ゆがむ


(23)

(続き)


王女「もうじきターミナルの入り口に着くから」

主人公「そっか……早く、その……傷、手当しないとな」

王女「だから、何としてもあいつを振り切らないと!」


 王女、後方に向かって銃を撃つ


主人公「またあいつか! しぶてえな!! おい!!」

王女「なに、今忙しいの!」

主人公「俺にも武器寄越せよ!」

王女「地球人に扱える武器はないわ」

主人公「ちくしょう! あいつあんだけ撃ってて弾切れとかねーのかよ!」


 王女に疲弊の色が見える。

 バイクがふらふらしはじめる


 主人公、前方を見て青くなる


主人公「おいおいおいおい……今度はなんなんだよ……」

王女「うそ……でしょ。何も反応が……」

主人公「挟み撃ちかよ……」

2017/06/21 22:31
(24)

(続き)


 王女はバイクを停めた

 遠くにいる巨大な敵。ターミナル入り口で待ち構えている。

 向こうから接近してくる様子はない。


主人公「おい、なにをする気だ」


 王女無言でバイクのシートの上に立つ

 武器を構える。ガシャガシャと狙撃モードぽく長く変形させる。


 ビュンビュンもりがかすめていき、荷物やキャノピーに突き刺さる

 それでも構えるのをやめない


主人公「おい! 降りろ! あぶねえよ!」


 王女無視して狙いを定める

 もりがヘルメットに当たり、バイザーが砕け、額から血が流れる

 ヘルメットは損傷軽微


王女「的に向かって真っ直ぐ突っ込んで来る獲物を」

王女「外したりはしない!」


 王女、入魂の一撃で魚星人を撃破


主人公「やった!!!!」


(25)

(続き)


 王女、シートから降りる


王女「貴方はここで降りなさい」

主人公「どゆこと?」

王女「私があいつを引きつける。そのすきに、貴方はターミナルに行って。私の従者が助けてくれる」

主人公「……どういうつもりだよ。まさか……囮になる気か!」

王女「援護が期待出来ない以上、ほかに貴方を守る手段はないわ」

主人公「だからって」

王女「早く! いつあれが向かってくるかわかんないのよ!!」


 主人公、渋々降りる


王女「ちょっと離れて」


 王女、バイクのパワーをあげていく

 ゴゴゴ……


 王女、目に入った血をグラブの甲で拭う


王女「――どうか、無事で」

主人公「待って!!」


 バイク、ロケットのように飛び出していく

2017/06/21 23:12
(26)

(続き)


 王女のバイクを追い越すように、飛び出す宇宙執事

 ちらと王女の方を見て、微笑む(ように見える。ウサギなのでよくわからない)

 ななめ上を通り抜けていく宇宙執事を、驚いた顔で見上げる王女


 王女のバイクは急ブレーキ

 ギャギャーっと

 金田のバイクのように横向きに止まる


 ポンポンと忍者のように巨大な敵=甲殻類型機動兵器に接近していく宇宙執事を見送る


(27)

(続き)


 宇宙執事、うやうやしく機動兵器に礼をする。


執事「私、姫の執事をやっております。ああ……名乗るほどの者ではございません」


 執事、背中からすらりと剣を二本抜く。腕は自然に下げている。

 機動兵器の複数あるカメラが動き、執事をじっと見る。

 機動兵器から拡声器の声が聞こえる


魚星人『申し訳ないが、ここを通すわけにはいかない』

執事「理由はどうあれ、地球上でそのような、はしたない物を……」 


 執事、剣を構える


執事「そちら、駆除対象、ですね」


(28)

(続き)


王女「xxxxx! 遅いわよ!(宇宙執事の名前(未定)を叫ぶ)特攻するところだったじゃないのよ!」

宇宙執事(通信)『申し訳ございません、お嬢様。自力でなんとかして頂こうと思っておりましたが、さすがに自爆されては国王様に八つ裂きにされてしまいますので。では、後はお任せ下さい』


 主人公、王女に駆け寄る


主人公「あれは――!?」

王女「私の、オークション出荷担当……じゃなくて」

主人公「え」

王女「私の、騎士よ」

主人公「騎士……。強いのか」

王女「我が軍最強と謳われた男よ」

主人公「なにそれえ……クソかっこいいんですけど……」

王女「父が、私のボディガードにつけた男が、弱いはずないでしょ」

主人公「でもさっきオークション出荷担当って」

王女「気のせいよ。まあ見てなさい」


 王女はドヤ顔で、遠くで斬り合っている宇宙執事を指差した。


(29)

(30)

(続き)


場所 ターミナル入り口前

宇宙執事とカニ型機動兵器が戦っている。

戦闘イメージはデビルメイクライ、牙狼などのスタイリッシュ系

 牙狼→二刀流なので銀牙騎士・絶狼でしょうか。


カニ内の魚星人『私も不本意だが、家族を殺されては黙っているわけにいかない』

執事「母星はどうなっても……ですか」

魚星人『母星よりも――――家族の方が上、なのだ』

執事「魚頭の理屈がここで通じるとでも」

魚星人『理解はしている。だが――』


むっちょ戦っている。

カニ、ハサミを振り回したり、足の先で突き殺そうとしたりする

執事、華麗によけつつ刀で攻撃


スタイリッシュな戦闘の末、カニ大破


執事「お嬢様に傷をつけた罪は重い」




(31)

場所 王女の宇宙船

全景→医療ルーム


処置用ベッドで、医療メカによる治療を受ける王女

ベッドのわきのイスに腰掛けて心配そうに見ている主人公


主人公「済まねえ……俺のせいで……」

 しょんぼりしている


王女「大丈夫、すぐ治るからこんなの」

主人公「致命傷だったらどうすんだよ。ヘルメットに当たったやつだって、ちょっとズレてたら即死だったんだぞ」

王女「私は死なない。そう信じてるから」

主人公「……ったく、付き合いきれないぜ」

 呆れて席を立つ


王女「あの――」

主人公「ん?」

王女「ありがと」

主人公「おう。養生しろ」

 主人公、医療ルームを出て行く


宇宙執事「優しいお方ですね、お嬢様」

王女「うん、知ってる」

執事「そうでございますか」

王女「あいつは、普段店で殺生してるぶん、生き物にやさしく出来るときにはやさしくする主義。そういう男だって、私は知ってる」

執事「その情報、どちらで?」

王女「――学校で」

 王女はほほえんだ。

2017/06/21 23:29
(32)

場所 休憩ルーム

窓から外が見える→宇宙空間

主人公、飲み物を片手に窓の外を眺めている。


主人公「俺……マジで宇宙に来たんだな。宇宙飛行士でもねえのに……」


 眼下には青い地球。


主人公「あー……衛星写真で見るのとマジ同じなんだな、地球って」

主人公「俺、ホントに宇宙人のお婿になるんか。マジ信じられんわー」


 ソファに腰掛けて、だらりとする。


主人公「電話で聞いたあいつの噂、どれもこれも、宇宙人だからそう思われてた。ってのが多そうな気がすんな」

主人公「たとえば、調味料の使い方がおかしいとか、どうでもいいものを急に怖がるとか、だれもいない場所で誰かと話してるとか、唐突に大声で笑い出すとか、いつのまにか弁当が届いてたりとか、登校途中で雨降ってきたのに、全く濡れてないとか……」

主人公「あ~……どれもこれも、宇宙人だからで説明出来そうなのばっかだな。あ、弁当はあのウサギ執事だとして……」


 コップに残ったドリンクを飲み干す。


主人公「んー……このジュース旨いな。地球でも売ればいいのに。売れるぞコレ」

主人公「うお、もう小惑星帯とか、はえー。向こうに木星見えるわ」


 再び窓際に立ち、生の天体ショーを楽しむ主人公。


(33)

(続き)


主人公「ん? あれって彗星かあ? 知らないけどよく来るって言うしな」

 窓の外に光の筋が見える。


 休憩ルームに警報音のあと放送が流れる。


執事『お客様、その場でシートベルトをお締めになるか、至急キャビンまでお戻り下さい。3分後、戦闘態勢に入ります』

主人公「戦闘態勢ぃ?」


 窓の外がシャッターに覆われる


主人公「……マジか」


場所 コクピット

まあまあ広い。コクピットというには広く、ブリッジというにはやや狭い……のか?

ネエル・アーガマぐらい



主人公入ってくる


執事「ここはお客様の来られる場所ではございません。キャビンでおくつろぎください」

主人公「戦闘って、あいつらなのか?」



(34)

(続き)


執事「我々が太陽系を出るのを待っていたようです。星系外であれば治外法権。我々がピスケシアに到着する前に消すつもりでしょう。恨むなら、子供から目を離した自分たちが筋というものですが……お魚さんにはムリなのでしょう」


 メインモニタに映る敵戦艦を見て、主人公ほえーっとなる


主人公「あっち、地球も焼け焦げにするすげえ戦艦だって聞いたけど、大丈夫なのかよ」

執事「無問題。……と言いたいところですが、お嬢様がいらっしゃらないので、すこーしだけ苦戦するかもしれません。さあ、キャビンにお戻りになるつもりがないのでしたら、そこの補助席についてベルトをお締めください」

主人公「ありがとよ!」

 シートに座ってベルトを締める

執事「では、始めましょうか」



(35)

場所 宇宙空間

遠くに1隻の宇宙船がいる→魚星人の戦艦


執事「やれやれ。お嬢様を起こさないように静かにやりませんと……」


王女の船、バリヤを張る。

小型無人機(ドローン)を数機排出、前方に飛ばす


敵艦から瞬き

何かが射出された


執事「ミサイルですか。様子見するヒマがあるなら全力でいらっしゃい」

船の手前でドローンが撃ち落とす


主人公「う、一発こっちに来るぞ!」

執事「無問題」

ミサイルは迎撃される


執事「さて、どう料理して差し上げましょうか。ククク……」


主人公ビクビクする

2017/06/22 02:15
(36)

(続き)


場所 宇宙空間

魚星人の戦艦から小型艇が多数出てくる



場所 魚星人戦艦ブリッジ

魚星人艦長「お前達、家族の恨みを晴らしておいで!!」

魚星人小型艇パイロットたち「「「キシャーー!!」」」



場所 王女の船ブリッジ

執事「魚だけに数で勝負ですか……。やれやれ」

 執事、VRゴーグルのようなものを装着する

主人公「おい、大丈夫なのかウサギさんよ」

執事「無問題。ただ、仕送りが少ないので誘導兵器が不足してございまして……」

主人公「ちょ! どうすんだよ、この船ほかに乗組員とかいないのかよ」

執事「ロボットやドローンを除けば、私とお嬢様だけでございます」

主人公「マイガー!!」


 主人公頭を抱える


(37)

(続き)


執事「この私がお嬢様をお守り出来ないとでも? 失敬な」


 執事は船外の無人機(ドローン)のコントロールを手動に切り替えると、ドローンの武装を換装した。

 ドローンは宇宙機雷を散布


執事「機雷も安くはないから使いたくないんですけど……仕方ないですねえ」

主人公「安くなくても使って!(泣)」

執事「もう撒いちゃいましたよ。もう1分もすれば爆発するでしょう」

主人公「どれ……」


 腕時計に目を落とす主人公

 執事の口元がつり上がる


執事「……3、2、1、0」



(38)


 宇宙空間で激しい爆発が起こる

 敵の小型艇、半分以下になる。


 執事、敵戦艦に通信を送る


執事「こちらxx所属xx号、艦長代理のxxである。これ以上の被害を望まぬならば、直ちにゲートまでの道を空けよ」


 応答はない


主人公「なんも返ってこねえなあ……」

執事「相手が誰だか分かって手を出しているはずなのですが、やはり魚の脳では理解はムリでしたか?」

主人公「どのみち王女に手を出したらやつらの星は破壊されるんでしょ? もう地球で手ぇ出しちゃったよね? ってことは……ヤケクソ?」


執事、ためいきをつきながら小さく頭を振る(ぷるぷる)

執事「だから魚頭は嫌いなんだ……」



(39)

(続き)


 あきらめかけた頃、通信チャンネルが開いた。


魚戦艦『お前たちは数多くの家族を殺した。よって皆殺しにする。』

執事「あくまで正当防衛だ。最初の不幸な事故を除いては」

魚戦艦『地球人、そして地球人をかばうお前達を許さない』

執事「それでは、攻撃をやめない――と」


 一方的に通信が切られた。


執事「やれやれ、これ以上船の備品を減らしたくないんですけどねえ」

 執事うんざりしている


主人公「あーやっぱヤケクソだコレ。じゃーもうアレだよ」

執事「アレ、とはなんでございましょう」


主人公「ぶっとばしちまえ!」


執事「お任せを」

2017/06/22 14:42
(40)

(続き)


 王女の船

 船体表面、数カ所で爆発


主人公「うあ、なんだ! ドカンっつったぞ!!」

 主人公シートにしがみついている


 ブリッジ内に警報がなる

 電子音声で被害状況が流れる


執事「魚頭だと思って油断しておりました、申し訳ございません」

主人公「何がどうなってんだよ!」

執事「敵小型艇が異相時空に入り船体表面に再出現して自爆したのです。船体に穴が空いてしまいました」

主人公「なんで来るの分かんなかったんだよ」

執事「あー……分かりやすくご説明しますと、船の目の前にワープされました」

主人公「だいたいわかった」

執事「参りましたね……これから大技をお見舞いしようと思ったのですが、修理しないと……」

主人公「ちょ、どーすんだよ」

執事「あ」

主人公「あ、ってなに? ねえ、あ、ってなに? なになに?(泣)」

執事「敵の主砲が飛んできてしまいました」

主人公「防いで!」

執事「…………」

主人公「がんばって!」

執事「…………」

主人公「まけるなおい!」

執事「ちょっと黙っててくれませんか。集中出来ません」

主人公「ごめんなさい」



場所 宇宙空間

ドローン数体が敵主砲射線上にシールドを展開する

次々に射貫かれていく

主砲ビームは勢いを若干弱めながら接近してくる



(41)


場所 ブリッジ


ドローンが全滅して

執事、舌打ちをする


執事「んー……。お嬢様を起こしてしまうのは不本意ですが」

主人公「さっきのドッカンドッカンで起きてんじゃね?」


 執事、主人公をジロリと見る


執事「かもしれませんが――まだお休みかもしれませんので」

主人公「このメインモニタげなもの、これこの線、敵の攻撃が接近してんだろ?」

執事「地球人のくせに飲み込みが早いですね」

主人公「日本人男子にとって、こんなの基礎教養だぜ」

執事「左様でございますか。では分かりやすいお話を」

主人公「おう」


(42)

(続き)


執事「さきほど射出しましたドローンが、全て撃墜されました。経費削減のためあまり装備を積載していないので……現状で防ぐ手段がありません」

主人公「そんな丸腰状態でよく王女を守るとか言っちゃうよな! 騎士さんよ」

執事「……ええ、恥ずかしながら。私は姫に護られながら戦う、弱い騎士でございます」

主人公「護られながら?」

執事「本艦はその予算をほぼ攻撃手段に振り込んでおりまして……」


 執事、コクピットのレバーやらハンドルやらをガチャガチャ動かしている


執事「姫が盾、私が矛、そういう役割分担なのでございます」

主人公「じゃあ……今は矛のみ、ってことか」


 執事、無言でうなずく。



(43)


場面 船外観


 変形して腕が生える(グラップラーシップ状)

 どこからか剣を取り出し構える


執事「これぞ我が剣。王家より賜りし、姫を守護する剣にございます」

主人公「くっそでけえ……」


 船のエンジン 出力が上がっていく


執事「お掴まり下さい。少々揺れます故」


 船が高速全身

 敵射線をややかわし、剣でビームを切り裂いて進む


 僅かに残った敵小型艇が体当たりしてくる

 剣を振る→技が出る→小型艇次々爆発

 爆発の中を突進する


 敵戦艦 全砲が王女の船を向く

 船体脇からミサイルが次々発射


 王女の船 キラキラとチャフのようなものを撒きながらミサイルをかわす

 数発喰らうが、そのまま特攻

 かなり接近している


主人公「ひいい!!」

執事「口を閉じていないと舌を噛みますよ!」

主人公「むぐぐ」


(44)

(続き)


 執事、剣撃で敵ビームを散らす

 すごい近い

 剣を上段に構える→そのまま突っ込む


 上方にスラスター

 カクンと敵戦艦の下に潜り込み、船体を真っ二つにする

 そのまま向こう側に抜けて、背後で大爆発


主人公「やった!!」

執事「ですが、かなりムリをしてしまいました。このままではゲートに入れませんねえ」



(45)


場所 ゲート前(長距離航行のためのハイウェイのようなものの入り口)


 船、ゲートの近くで停まる


主人公「どうして?」

執事「船体の損傷が激しいと、亜空間航行中に分解してしまうのです」

主人公「あちゃあ……んじゃ、修理しないとか」

執事「そういうことに――ん!?」


 電子音声の警告

  船体後部で爆発が発生

  外壁が破壊されました


執事「なん――だと!?」


 船外モニタで確認→地球で襲ってきたカニ型機動兵器が張り付いて破壊活動をしている


主人公「どどど、どーすんだよ! ケツじゃあ手が届かねえぞ!」

執事「……確かに」


 執事、ゴーグルやシートベルトを外しはじめた


執事「では、直接駆除するしかありませんね」

主人公「おい……まさか」


 執事、数歩歩いて振り返り


執事「いたずらは厳禁ですよ? 旦那様」

主人公 心の声 (いま旦那様……って……)


2017/06/22 19:42
(46)

場所 船外

カニ型機動兵器が外装を剥がしたり突っついたり破壊活動している


執事がエレベーターで船外に出てくる

背には地球で装備していた刀が二本

すらりと抜く


執事「どこまでもしつこい魚介類ですね。私が料理して差し上げます」

 執事構える



場所 医療ルーム

寝台


むくり 王女目を覚ます

部屋を出て

入院着みたいの脱ぎ捨てて廊下を歩いて行く


(47)


場所 船外

執事とカニ戦闘中

失うもののない魚星人、メチャクチャな攻撃をしてくる


執事「自分はいつも捨て身のくせに、他人にやられるとやりづらいもんですねえ」


 執事、あちこちダメージを負っている

 攻撃を受けたり躱したりしながら独り言


執事「避けない敵の動きを誘導するのは難しい。恐怖があればこそ――人は」

執事「弱点を」

執事「晒すのですがッ」


 巨大なツメを双剣で受ける

 足を踏みしめる


 カニ死角からツメを振り上げる

 執事の頭上に振り降ろす


ウッ!(;゚д゚)! 執事気付くが避けられない


執事 心の声 (半身躱して腕一本――仕方あるまい)


(48)


バシッ!!!!

王女がツメを手(から展開したバリヤ)で受ける


執事「お嬢様!」

王女「ナイトが盾も持たずに敵前に出るとは」

執事「申し訳ございません」


 王女フッと笑う


王女「……待たせたわね」


 王女、船体表面にバリアを張り、カニを引き剥がす

 空中に浮かんだカニを執事が十字斬りで仕留める

 背後で爆発

 王女と執事、グーを付き合わせる



(49)


場所 ブリッジ


 席を立ち、モニタで二人の戦いを見ていた主人公、汗だくになっている


主人公「すげえ……これ、CGじゃねんだよな……」

王女「なにがCGですって?」


 王女と執事が入ってくる


執事「おイタをしないよう、言っておいたのに。困った方だ」

主人公「おかえり! 二人とも無事か!」


 帰還を喜び、王女と執事に抱きつく主人公


王女「もう大丈夫よ。さあ、ゲートに入ってゆっくりしましょ」

主人公「それが……」

執事「申し訳ございません、お嬢様。しばらくゲートには入れません」

王女「なんでよー!」

執事「船体の損傷が激しく、強度が不足しております」

王女「え~~~、なんなのよ~~~」

主人公「お、俺も直すの手伝うから、な?」


 王女と執事が主人公をじっと見る


王女・執事「「ムリです」」

主人公「なんだよー、俺にもなんかやらせてくれよお」


 王女と執事がヒソヒソ話


(50)


王女「じゃあ……お寿司、握ってくれる?」


 主人公、ハチマキを巻く


主人公「あいよ! 板場はどこだい!」


 主人公 心の声

 (ここから、俺の宇宙寿司道が始まるッ!!)


(おわり)

2017/06/22 23:13
今後の展開は……


宇宙ヒッチハイクガイド

宇宙船レッドドワーフ号

スペース・ダンディ

カウボーイ・ビバップ

フィフスエレメント


に、


男女バディ物と三角関係と幼馴染みとグルメ(偏っている)とバイヤーもの


がミックスされるとおもいます(伝われ)

2017/06/25 01:31
2017/07/06 17:49
2017/07/17 04:37
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登場人物紹介

主人公(扇屋 太一)

二十代前半

一般ピープル

「人の握った寿司は旨い」


都内某所の寿司屋の二代目。かっぱ巻が好き。

密かに回転寿司に通っては、メロンやケーキを喰い散らかす。

趣味 フィギュア集め

ゲームの好み タワーディフェンスや育て要素のないSLG

好きなヒトデ キヒトデ(食えるから)

宇宙王女(魚野 水希)

大卒ホヤホヤ

「お土産の寿司折りに生ものが入ってないのは許せません」


東京で日本人として生活していた宇宙人。

主人公とは高校の同級生だった。

が、在学中は特にからみはなかった。

当然ながらロマンスも一切ない。お互いの視界に入っていなかった。


仕送りが少ない時は、日本のキャラクターグッズを宇宙オークションに出して稼いでいる。女子大生がご当地グッズをメルカリで売る感覚である。


実家は宇宙の王族。勢力範囲には水棲型生物が多い。

基本はお嬢様だけど、軍事国家の王女で少々気性が激しい。

守ると決めたものは、命をかけてとことん守る根性と行動力の持ち主。

細かいことで悩むのは苦手。



地球は彼等に大人気のスポットだが、宇宙連邦未加入のため、不可侵エリアとなっていた。(タテマエ上。互いに牽制しているので侵略されてないだけ)

この女のように、こっそり訪れたり、住み着く宇宙人が後を絶たない。

なお宇宙人は、同胞以外は近縁種を共食いしても気にしない。


好きなデートスポット 水族館、デパ地下

好きなスイーツ 舟和のいもようかん

嫌いな食べ物 キムチ

宇宙執事

宇宙王女の従者。兎型宇宙人。
「梱包材がなくなったので浅草橋に行ってきます」

普段は宇宙エアポートに停泊している宇宙船の中で、主人に頼まれたオークション出品物の発送作業をしている。

魚星人

普段はヒューマノイド体だが、魚体化することもある。
魚体後は、地球で言うところのマグロに酷似している。
「貴様を惨たらしく煮付けにして腐らせてやる」

家族でバカンスのため地球を訪れていた。
魚体化して海遊びをしていたところ、子供が流され漁師に捕らえられる。冷蔵され仮死状態に。→魚市場→主人公の寿司店へ新鮮なまま届けられる。
生体反応を追ってきたが、寿司店で途絶える。(シメられた)
家族の復讐を誓う。

地球帰りは、寄生虫を持ち帰ることがあるので、母星のエアポートで厳しく検疫を受ける。

主人公の両親

少々からだがしんどくなってきたので息子にけっこー任せている。

ほかは何も考えてない。

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