第4話 第1回家庭科の授業

文字数 907文字

「1年生の家庭科の授業では1学期にズボンを作ります。いいですか?大切なことなのでもう一度だけ言ってあげます。ズボンを作ります。」

ズボンを作るから何なのだろうか?
ぶっちゃけズボンなんてすぐ作れるだろう。
私は裁縫が得意なのだ。
小学校の高学年の頃には1人で筆箱を作れるくらいにはなっていたし。
でも、皆は違ったみたい。
ズボンを作ると聞いて、教室中が少しざわつく。

「ズボンを作るためには、採寸が必要です。皆で仲良く採寸をしましょう。」

そう、ことはこっから始まったのである。
私がこの学校で浮くことになったのは、この日からである。

1週間は経ったのだが、私にはまだ友達がいなかった。
完全にスタートダッシュに出遅れてしまったのだ。
それも仕方があるまい。
皆、最初から友達がいる環境で始まっているのだから。
新顔の私になんか目もくれない。
そんな中、ある女の子岩本さんが一番最初に声をかけてくれた。
調子に乗った私が良くなかった。
彼女を信じすぎた。
彼女を信じた私は、その家庭科の授業の時に話しかけた。

「ねぇ、一緒に測ろ?」

岩本さんは他の女の子2人と測っていた。
道理で私は1人だ。
先生は2人1組でと言ったのだ。
というより、割り切れる数なのだから普通、2人1組で作業するだろう。
んで、3人のところがあったからそこに声をかけたというだけとも言える。
すると、岩本さんの口からは衝撃の一言が…。

「他にもいるでしょ?」

ん?
『他にもいるでしょ?』だから何?
君は、いま3人でしているんでしょ?
私を混ぜてくれないの?
まじかよ、こいつ、いやこの子。
心狭っ。
その発言に、流石の周囲にいた生徒たちもぎょっとした目で見ていた。
フラれた私は、何が起こったのか分からなかったが瞬時に状況を把握し、別の子に当たった。
目に留まった子達の方へ。
またフラれるのも嫌だったから、気を使い気味に。

「ごめんね、測ってくれるかな?」
「いいよ、あんなの気にしない気にしない。」

うわ~、いい子~。
これが表面的なものだとしても、私の心には滲みる。
暖かいわ。
こんなにいい子がここにいるだなんて。
その時は自然な流れでそう思ってしまった。
それが良くなかった。
なぜならば、彼女たちは傍観者だからである。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

藤宮 マキ(Fujimiya Maki)

・内気

・女性

・中学:科学部(副部長)

・高校:帰宅部

・理系

・ちょっと変わってる

・文学少女

中村 ミチコ(Nkamura Michiko)

・中学校教員

・女性

・英語専門

・吹奏楽部顧問

・おばさん?

金井 マナブ(Kanei Manabu)

・中学校教員

・男性

・元理化学研究所研究員

・若い

・理科専門(生物)

・卓球部顧問

・子供っぽいところもある

藤宮 アキ(Fujimiya Aki)

・マキの双子の妹

・気が強い

・女性

・バドミントン部

・理系

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み