第1話 入学式

文字数 1,468文字

入学式:13時30分

 「新入生の皆さん、保護者の皆さん、初めまして。」
 冒頭はそんな感じ。いくら新しい環境で少し興奮気味だとは言え、『学校長の挨拶』程退屈で強烈な眠気がすることはない。私の横には全く知らない、顔なんて見たこともなくて、声も知らない真新しい制服に身を包んだ女の子が座っている。でも、私程緊張していて、私程興奮している生徒はいないだろう。
 スカートが長くて、ポロシャツってところとかはかなり不服だけど、でもリボンがないのがいいんだよね。リボンなんて面倒臭い変なものを付けなくっていいのは、この中学校に行ってもいいなと思った1つの要因。これがなかったらきっと、この学校には入学していない。だって、友達とは別々になっちゃったし知らない人ばかりだし。
 この知らない人だけの環境でやっていけるのかなと言う不安はあるけど、今はとにかく他の生徒について知りたくてうずうずしている。どんな子たちなのだろうか。私と気が合う子はいるかな?
 (あ、あの子寝てる。まぁ、寝るよね…)
 入学式は終盤に差し掛かっていた。
 (あー、トイレ行きたいな。まだ終わらないかな。早く、早く~)
 入学式とか、卒業式とか、始業式とか、終業式とかってなぜかいつも最後の方になるとトイレ行きたくて仕方なくなるんだよな。話が長すぎるんだよ。
 「それでは、新入生の皆様はご退場ください。」
 (あーやっと終わった。これでやっと行けるわ。)
 もはや私はトイレのことしか考えていなかった。今すぐにでも目の前にトイレが現れてくれないかと思っていたくらいなのだから。今ならどんなに汚いトイレにだって快く入れる。そんな気分。なのに、5組だって?最後じゃないか。最後の最後まで残るしかなくて…。私のトイレ~。

 やっとトイレに行けて、用を足すと教室には既にほとんどの生徒がいた。私は最後の方で、ちょっと恥ずかしい。なんせ、前から2番目の席なのだから。結構目立つ。まぁいいか、他にもいたし。
 少しすると、若い男性教員が来た。割とイケメン?中肉中背の男性だが、顔面の偏差値だけで言ったら結構よい。と私は思ったのだが、私だけの意見では何とも言えない。でも、勉強ができてこの顔面ならば相当な阿呆でもなければモテるよね?
 「えー、僕はこのクラスの担任ではなくて副担任なんだけど、担任の先生が来るまでちょっと待っててね。」
 そういうと男性教員はまた、出ていった。
 それからまた数分後、今度は女性の教員が来た。
 「これから1年間皆さんの担任になる中村ミチコです。よろしくお願いします。」
 あー、担任は女か。中学校だから男なのかと思っていたけど、違ったわ。
 それから、中村先生の自己紹介と1週間の予定などの話になった。皆の自己紹介は明日行うとのこと。うん、楽しみだ。明日にもまだなっていないのにドキドキだ。
 一通り、中村先生の話が終わるとまたまたさっきの若い男性教員が来た。
 「あ、来た来た。はいはい、金井先生自己紹介して。」
 「そうでしたね。ここはまだだった。皆さんこんにちは、3組から5組の副担任、理科の金井マナブです。よろしくお願いします。卓球部の顧問もしています。なので是非、卓球部に入ってきてください。」
 「金井先生?部活動の勧誘は厳禁ですよ?」
 「あはは、はいはい分かりました。では、僕は失礼します。」
 この先生達の感じを見ると、割とフラットな先生が多いのかな?小学校はなぜか私のいた学年だけ厳しい先生が多かったから、中学校はそうであってほしいな。

 そんなこんなで、中学校の入学式は終わった。
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登場人物紹介

藤宮 マキ(Fujimiya Maki)

・内気

・女性

・中学:科学部(副部長)

・高校:帰宅部

・理系

・ちょっと変わってる

・文学少女

中村 ミチコ(Nkamura Michiko)

・中学校教員

・女性

・英語専門

・吹奏楽部顧問

・おばさん?

金井 マナブ(Kanei Manabu)

・中学校教員

・男性

・元理化学研究所研究員

・若い

・理科専門(生物)

・卓球部顧問

・子供っぽいところもある

藤宮 アキ(Fujimiya Aki)

・マキの双子の妹

・気が強い

・女性

・バドミントン部

・理系

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