第6話

文字数 1,051文字

思いもよらぬ展開に憔悴する中、買った車屋から事故見舞いと修理・買い替えへの入庫の提案があった。
しかし、あまり感じが良くなく遠方である事もあり、保留させてもらった。
後日買った時の担当者から改めて見舞いの電話が来た。
廃車になった場合、ローンの一括返済が発生する為それを組み込んだローンの組み換えが出来るかもしれない、と提案してくれた。
渡しに舟、乗り気になって話を聞くと、その場合100万円以上の車を買ってもらわなければならない、と付け加えられた。
この時点ではまだ修理して乗り続けたい希望があった為もしかしたらお世話になるかもしれません、と電話を切った。
車屋の盆休みが明ける前日、真っ先に相談しようとして電話して休みだった飯田市の車屋にもう一度電話した。
以前飯田市内で車が動かなくなった時、営業時間外にも関わらず対応してくれて、レッカーや代車についても保険会社とやりとりして親切に対応してくれて、その後休みの日に店に立ち寄ってくれたりもしていた。
まだ休みにも関わらず、早速休み明け車を取りに来てくれる事になった。

翌日、ちょうど昼くらいになり、飯を食ってくれながら、事故状況について話を聞いてくれた。
相手の「追い越ししてて、ブレーキ間に合わなかった」って言葉を伝えるとすかさず「じゃあ、間にもう一台居たんですね」と言った。
残念ながら、その確証はないと答えながら、やっぱりそう受け取るよな、と感じ、また、その車が居たか居なかったかで大きく話が変わるのかもしれない、とも思った。
とりあえず見て見ないと、との前置きから、予想される工程の説明を受け、車を積み込み持って行ってもらった。
代わりに積んできた代車を置いて行ってくれた。

また翌日、掛かってきた電話は信じたくないものだった。
直すなら120万。
相手の保険担当者の立会いで出た見積もり。
全損。
買い替えるしかない。
買った車屋の話に乗るしかない、と思ってる僕を察するかのように、ウチで扱ってるローン会社で同じ事が出来るかもしれない。100万の車を買う必要はない。買った時の表示価格49万からローン金利含めて100万超えてる話から、意味がわからない。
もし、審査通らなかったら、別の方法を考えましょう。
と言ってくれた。
心強い。
相手に過失つくだろうから殊更主張しまい。
そんな良心が仇となり招いた苦境。
良心を旨とする自分の商売にも、自信を無くしていた。
しかし、こんなにお客様本意に考えてくれる人も居て、しっかり事業を成立させている。
相談して良かった。
この人に頼ろう。
そう思った。
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