第9話 虫愛づる姫?(五)

文字数 541文字

それを言うなら、あなたはでしょう?

どうして花や――百歩譲って虫でも、せめて蝶を愛でないのですか⁈

(あ、またウサギ化した。でも、いちいち突っ込むの飽きたからスルー)

あんた、まさかとは思うんだけど…

この毛虫が蝶になるって知らないんじゃないわよね?

は?この毛虫が?

蝶に?

はは、嘘だー!

もう、からかわないで下さいよー

姫もお人が悪いんだから!

やっぱり知らなかったのね。

蝶が最初からあの形で生まれてくるとか思ってたわけ?

右馬の佐

そ、それは……そう言われてみれば、確かに……ヘンですな
毛虫はやがて蛹になるの。その蛹の〈皮〉を破って、蝶が出てくるのよ。だから〈皮虫〉って言うの
な、なるほど!
毛虫を醜いと言って嫌い、蝶を美しいと言って愛でる人が多いけれど、変な話だわ。

皆、絹でできた服を珍重するけど、あの絹は蚕が吐き出す糸で作るのよ。

蚕が蝶になってしまったら、もう糸を吐いてはくれないわ!

ひ、姫…

あなたはもしかして今、とても深いお話をなさっているのですか?

別に深くはないと思うけど…

わたしはただ、自分で毛虫を飼って、毎日眺めて、一緒に遊んで、それでわかったことを話しているだけ。

わたしは…

自分の目で見たことしか信じないし、自分が好きって感覚だけを信じるの!

この姫…

もしかして…かっこいい…の…かな?

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