第5話

文字数 733文字

エルンストに埋め込まれた諺は、「De duivel op het kussen binden――悪魔でさえ枕に縛り付ける」で、意味は「頑固さは何をも克服する」であった。元々頑固な性格ではなかったものの、この諺を埋め込まれたことにより物凄く頑固な性格になってしまった。フェリクスを旅に誘う時も、断られたら地の果てまで追いかけるつもりでいたようだった。見た目からは頑固な感じは漂ってこないからこそ、その台詞を聞いた時、フェリクスは恐怖を感じたという。

「ところで・・・その、諺の異変?について俺は何も知らない。どこに行けばいいのかとか、エルンストは知っているのか?」
「ええ。大体は。とりあえず、もうここの村には異変はありませんので、違う町に行くのがいいかと。」

そうか、とフェリクスは返事をするが、フェリクスにとってここはまだ見知らぬ土地。違う町と言われてもどこにあるのかはさっぱりであった。

「そうですね・・・っと。」

そんなことを呟きながらエルンストは懐から地図を取り出す。地図なんて持っているのか!?と驚くフェリクスに、エルンストはそりゃあ持ってますよ、と少し引いた返事をする。どうやらエルンストは諺研究所から放出されてから、かなりこの辺りのことを調べたらしい。他の町にも行ったそうだ。でも、そこには諺の異変はなかったとのことだった。この村がエルンストにとっても初めての異変なのだ。

「ここの町とかどうですか?この村でも話を聞くくらい有名な町らしいですし。」

地図を指さしながらエルンストはそう言う。
たしかに、それほど大きな町なら人も沢山いるだろうし異変だって起きている可能性が高いだろう、とフェリクスも推測する。決まったのなら、早速行ってみるまでだ。2人は村から駆け出した。
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